1977年岩手県に生まれた清水は、2008年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業しました。かわいらしくもシニカルな視点と、巧みな画面構成力で築いた作品世界が人気を呼び、アーティストとしてのキャリアを始めるや否やすぐに頭角を現します。2016年に行われたタグボート主催のIndependent Tokyoでは見事にグランプリを獲得。
着実にアーティストとしてのキャリアを築き上げるなか絶え間なく描き方を模索しつづけ、2018年、絵具を拭き取ることで、白と黒の中にモチーフが印象的に浮かび上がる現在の技法に至ります。渾身の新作で挑んだTAGBOAT AWARDではグランプリを獲得し、海外での発表の場を広げました。
清水智裕Tomohiro Shimizu |
絵画の世界へ引き込む情景描写
どこかであってどこでもない情景と、何か問いたげな表情の人物の存在。
見る者を奥へ奥へと誘う、静謐だが心をざわつかせる作品世界が清水作品の根底にあります。
技法や題材を変えても表出する清水のエッセンスは、謎めいた状況や物語を想像させます。
「Unofficial」 72.7 x 72.7 cm, キャンバスに油絵具
「A Little Hope」 60.6 x 72.7 cm, キャンバスに油彩
「モンスター イン ザ ルーム」 60.6 x 72.7 cm, キャンバスに油彩
緻密に描きこむ表現
社会人を経て一念発起、東京藝術大学に入学し油絵を学んだ清水。
妥協しない姿勢で緻密に描きこむ表現に磨きをかけ、次々と作品を生み出します。
その技量が余すところなく発揮された細やかな描きこみは、いつまでも見続けていたくなります。
「Flicker」 91 x 80.3 cm, 油彩、キャンバス
「Bits Lights」91 x 80.3 cm, 油彩、キャンバス
足し算ではなく引き算の表現へ
近年は絵具を「拭き取る」という特殊な技法で制作している清水智裕。
それまでの緻密な描きこみから一転、足し算から引き算という新境地へ。
引き算と言っても、簡単なことではありません。神経を研ぎ澄まし、極限まで要素をそぎ落として「消す」ことで「描いて」いるのです。
絵画表現を追求し続ける清水ならではの域に達しています。
「Portion 1」33.3 x 33.3 cm, キャンバスに油彩
「Gaze」72.7 x 60.6 cm, 油彩、キャンバス
「護符」清水智裕, 53 x 53 cm, 油彩、キャンバス
「Motion #2」 53 x 53 cm, 油彩、キャンバス
「修辞法」 45.5 x 38 cm, キャンバスに油彩
清水による新作をご紹介致します。
これまでの作品の変遷を知れば、より奥深い魅力を感じられることは間違いありません。
「ルームメイト」33.3 x 33.3 cm,キャンバスに油彩
「Gym」53 x 65.2 cm, キャンバスに油彩
「Agent A, Agent B」45.5 x 53 cm, キャンバスに油彩
「Group B」45.5 x 53 cm, キャンバスに油彩
清水智裕 Tomohiro Shimizu |
清水智裕
1977年、岩手県出身
2008年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。
’08~’10年まで「ワンダーシード」にて連続入選し注目を集める。近年の個展に「Wanderlust」(’16年、Pon Ding/台北)、「THE 4TH CROSSROADS HOTEL」(’18年、銀座三越)、「FACELESS」(’18年、Azabujuban Gallery)など。シンガポールや香港での展示参加も。
Independent TOKYO 2016 グランプリ受賞。