大山貴弘 「八百万の個性 – exploring the uniqueness of Japan’s diversity」
2024年2月9日(金) ~ 3月2日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※オープニングレセプション:2月9日(金)18:00-19:00
※2月23日(金)は祝日のため休廊。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
東北芸術工科大学芸術文化専攻彫刻領域を修了した大山貴弘。”Drag Queen”(ドラァグクイーン)という主にゲイ男性による女装パフォーマーをモチーフにした、木彫作品を制作しています。このたび、tagboatでは初めて個展を開催いたします。
大山貴弘 Takahiro Oyama
1993 岩手県生まれ
2018 東北芸術工科大学・芸術文化専攻・彫刻領域 修了
【 展示歴 】
2020.9 「MONSTER Exhibition 2020」入選/渋谷ヒカリエ8/東京
2021.8 「Independent Tokyo 2021」/東京ポートシティ竹芝/東京
2021.10 「岩手芸術祭美術展」現代美術部門 部門賞/岩手県民会館/岩手
2021.12 「Epilogue 2021」/Gallery Art Point /東京
2022.3 「中央公民館アートフェスタ2021」/盛岡中央公民館/岩手
2022.8 「Independent Tokyo 2022」審査員特別賞 /東京ポートシティ竹芝/東京
大学院修了後、2年の社会人経験を経たのちに作家の道を選んだ大山貴弘。徐々に作品発表の場を増やし、弊社が開催しているコンペティション「Independent Tokyo 2022」では審査員特別賞を受賞しました。この度、tagboatでは初の個展開催となります。人形町のギャラリースペースには約3メートルの大型作品が登場。鑿(のみ)の後が残る粗々しい木彫で表現される力強い美しさを纏った作品群を是非ご高覧ください。
CONCEPT
日本の地方文化やサブカルチャーといった個性的な表現を美しいと思う作者が提示する、
風変わりな人物(Drag Queen)像のいる場所。
大山貴弘
彫刻という確かな存在に残す「Drag Queen」の美しさ
大山は美大生の頃より木彫による人物像を中心に制作してきました。彼がモチーフとして選ぶのは「Drag Queen」。派手な衣装や化粧といったショー的要素を含む女装に身を包んだ主にゲイの方です。
昨今ではメディアでも見かけることが増えた彼等・彼女等ですが、セクシャルマイノリティとして長い間社会から差別されてきた歴史を持っています。逆風の中、セクシャルマイノリティの人々の先頭に立ち、悲しみや苦しみを笑いへと昇華して周囲を励ましてきた彼等・彼女等。その力強い生き様の美しさを大山は木に刻み込みます。
大山が「Drag Queen」の存在を知ったのは大学2年生のとき。大学で講師としてDrag Queenの方が登壇したことがきっかけでした。作家自身がセクシュアリティに戸惑いを覚えていたという当時は、彼等・彼女等の存在を素直に受け入れることはできなかったといいます。
心境や環境の変化が重なり、初めてDrag Queenをモチーフとして選んだのは大学院の修了制作でした。自分という人間にしか出来ないことをしてみようと思えた、という大山は、Drag Queenの文化や歴史を美術的側面から再考察し、彫刻という確かな存在として表現し残していきたいと制作に向き合っています。
制作環境から見る木彫に込めた祈り
大山の作品は岩手県の実家に設けたアトリエで制作されています。「本州一寒い」といわれるそこは山々に囲まれた自然豊かな環境だそうです。素材に用いるのは「加工し易く、割れや捩れも少ない」という楠。チェーンソーや鑿(のみ)で彫っていきますが、一本の丸太から掘り出すのではなく、いくつかの木のパーツを継ぎ合わせる「寄木造」という技法を用いています。この技法は平安時代の仏像制作をきっかけに確立されたといわれており、丸太の大きさや形に捉われない造形を可能にしています。
作家の制作に影響を与えるもののひとつとして、民間仏の存在があります。岩手県の地元には誰が彫ったのかも分からない仏像・神像が祀られている神社仏閣が多くあるそうです。見慣れた仏様・神様とは少し風貌が異なり、個性豊かな姿で祀られているといいます。北の土地の厳しい自然のなかで人々の生活に寄り添ってきたそれらの存在は、時代を超えて今を生きる我々に人々が込めた祈りを伝えています。
大山は過去のインタビューにおいて彫刻という100年、200年残っていく作品について「Drag Queenやセクシャルマイノリティの存在がどう変化しているかはわかりませんが、未来の人達に逆境の中で力強く生きてきた”人間の美しさ”を伝えることが出来たらいいなと考えています」と語りました。彼等・彼女等の美しさは作家の手によって後世へ確かに紡がれていきます。
色に込められた多様性
大山の代表的な作品のひとつとして『珍宝虹色女王像』があります。色鮮やかな8体の彫刻から成るこのシリーズはLGBTQ+コミュニティの多様性を象徴する”Rainbow Flag(虹色の旗)”に基づき制作されています。Rainbow Flagは1978年にアーティストのGilbert Baker(ギルバート・ベイカー)によって考案されました。旗に使われた8色はそれぞれに意味が込められています。
ピンク:sexuality(セクシャリティ)
赤:life(生命)
オレンジ:healing(癒し)
黄:sunlight(太陽)
緑:nature(自然)
ターコイズ:magic/art(魔術/芸術)
青:serenity/harmony(平穏/調和)
紫:spirit(精神)
2022年「Art Fair HAKATA」にて8体揃って展示された珍宝虹色女王像
作品の制作中、大山は「作品と話をしているように感じる瞬間がある」と語ります。
”ここがまだまだよ”、”もっと美人に彫りなさいよ”
そんな風に語り合う時間が1番好きだそう。そうしているうちにフッと作品が話をやめて客観的に見える瞬間があり、いつもそれを完成のタイミングにしているといいます。
今回の個展では、木彫と版画の約13点を展示いたします。メインビジュアルにも使われている作品は、なんと高さ約3メートル。圧倒的な存在感を持つ作品は観る者の固定観念を揺さぶるはずです。祈りを込めて制作された作品たちをぜひ会場でご高覧ください。
今を生きる人々、そしてこれから生まれてくる人達に見て欲しいと思いながら制作しています。
大山貴弘
大山貴弘 Takahiro Oyama |
大山貴弘 「八百万の個性 – exploring the uniqueness of Japan’s diversity」
2024年2月9日(金) ~ 3月2日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※オープニングレセプション:2月9日(金)18:00-19:00
※2月23日(金)は祝日のため休廊。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
彫刻家・大山貴弘 × Drag Queen・ドリアン・ロロブリジーダ
2024年2月17日(土) 17:00-18:00
※入場無料・予約不要 どなたでもご参加いただけます。
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
作品のモデルとなったDrag Queenのドリアン・ロロブリジーダさんとのトークショーを開催。
会場でDrag Queenと彫刻作品の共演をお楽しみください。
MOVIE
出展作品(一部)
東京ステーションギャラリーにて、岩手・青森・秋田の民間仏の木像約130点が紹介されている展示が開催中です。残り少ない会期となりますが、大山の個展とあわせて是非足を運んでみてください。
みちのく いとしい仏たち
2023年12月2日(土) – 2024年2月12日(月) 10:00 – 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで
北東北のくらしが生んだ やさしい祈りのかたち
江戸時代、寺院の本堂の形状や荘厳(しょうごん)が均一化され、上方や江戸で造られた立派な仏像が日本各地の寺院でご本尊として祀られるようになったいっぽうで、地方の村々では小さなお堂や祠などを拠り所として、素朴でユニークな仏像・神像が祀られました。仏師でも造仏僧でもない、大工や木地師(きじし)の手によるこれら民間仏は、端正な顔立ちや姿のご本尊と違って、煌びやかな装飾はありません。
その彫りの拙さやプロポーションのぎこちなさは、単にユニークなだけではなく、厳しい風土を生きるみちのくの人々の心情を映した祈りのかたちそのものといえます。
青森・岩手・秋田の北東北のくらしのなかで、人々の悩みや祈りに耳をかたむけてきた個性派ぞろいの木像約130点を紹介し、日本の信仰のかたちについて考えます。
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大山貴弘 Takahiro Oyama
1993 岩手県生まれ
2018 東北芸術工科大学・芸術文化専攻・彫刻領域 修了
【 展示歴 】
2020.9 「MONSTER Exhibition 2020」入選/渋谷ヒカリエ8/東京
2021.8 「Independent Tokyo 2021」/東京ポートシティ竹芝/東京
2021.10 「岩手芸術祭美術展」現代美術部門 部門賞/岩手県民会館/岩手
2021.12 「Epilogue 2021」/Gallery Art Point /東京
2022.3 「中央公民館アートフェスタ2021」/盛岡中央公民館/岩手
2022.8 「Independent Tokyo 2022」審査員特別賞 /東京ポートシティ竹芝/東京