西川美穂は「見えるものと見えないもの」をテーマに、想像力を掻き立てるような作品を生み出します。
印象的な色使いと卓越した筆さばきによって、モチーフが独特な存在感を放ち、まるで手触りまで感じさせるようです。
見る者を惹きつけてやまない作品の数々をご紹介します。
西川美穂 Miho Nishikawa |
西川美穂の作品「キオクノヘンカ」が又吉直樹の小説「人間」文庫版の装丁画になりました。
芥川賞受賞作「火花」の装丁画になって以来、2度目のコラボレーションとなります。
4月21日(木)より発売開始予定です。お見逃しなく。
目に見えない存在
一貫して「見えるものと見えないもの」をテーマの根幹に持ちながらに制作する西川美穂。
又吉直樹の小説「火花」の装丁画にもなった作品「イマスカ」シリーズは、布の奥に隠れた何者かへの呼びかけでもあります。
西川にとって「見えるもの」は現実に映し出されるものごと、「見えないもの」は記憶や感情など、目には見えない内に秘めたものを指しています。
この世に存在する隠されたもの、視覚では感知できないもの、見ているつもりで見えていないもの。
絵に描かれたそれらは、心惹かれる独特の存在感を放っています。
日常の気づきから生まれる作品
これまで描かれてきた作品は、西川美穂が日々思ったことをきっかけに制作されています。
「まくらちゃん」シリーズに描かれているキャラクターは、子どもがお腹にいるときに生まれました。
妊娠中に身体がつらく、ずっと寝ていなければいけない時期に、作家自身がまくらと一体化しているかのような気分になったことがきっかけでした。
子どもが生まれ母となってからも、子どものおもちゃを布の中に包んで隠した様子を描くなど、
身近な出来事から着想を得て作品を描いています。
変わりゆく記憶、消えゆく記憶
西川美穂が近年新たにテーマに据えた「記憶」は、まさに「見えないもの」。
記憶は現実には現れることのないものですが、誰しも持つものであり、いつかは薄れて消えてしまうもの。
その記憶の今の形を表現したいという思いから描かれています。
過去に見たものは時間や感情によって変容し、写真で写し取った実際の風景とは異なる、全く別の「見えていなかったもの」に変化していくことがあります。
「キオクノヘンカ」シリーズは、作家自身の家族の写真をもとに描かれています。
最も身近な存在でありながら、過去と現在では家族に対して持つ感覚は変化しているのではないかと感じたことから、モチーフに選ばれました。
垂らし込みの技法による絵具の滲みが、消えていく記憶の感触を写し取っているかのようです。
2022年4月12日(火) ~ 4月26日(火)
営業時間:11:00-20:00
*最終日は17時close、他、館の営業時間に準ずる
入場無料
会場:阪急MEN’S TOKYO タグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 7F
西川美穂 Miho Nishikawa |
■略歴
1989年 栃木県出身
2011年 多摩美術大学造形表現学部造形学科 卒業
2013年 多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科絵画専攻油画研究領域 修了
■受賞
2008年 第4回世界絵画大賞展 大賞
2010年 多摩美術大学造形表現学部造形学科4年生展示 ART41 グランプリ
2010年 第31回国際瀧富士美術賞
2011年 第21回 ARTBOX 大賞展 大賞
2014年 損保ジャパン美術賞 FACE2014 入選
■展示
2010年 ART41(クレアーレ青山アートフォーラム)
2011年 西川美穂個展(ギャラリー壱零參堂)
2012年 第21回 ARTBOX 大賞展グループ展(世界堂ギャラリー)
2012年 西川美穂・吉田絢乃展(藍画廊)
2012年 MY Hamonious Exhibition2012(Shounandai MY Gallery)
2013年 第22回 ARTBOX 大賞グループ展(世界堂ギャラリー)
2013年 BIG WORKS Vol1(REIJINSHA GALLERY,Tokyo)
2014年 狭間にあるもの(REIJINSHA GALLERY,Tokyo)
2014年 GENOMICA(東邦アート)
2015年 MY Way2015(Shounandai MY Gallery)
2015年 50の顔(REIJINSHA GALLERY,Tokyo)
2015年 京都国際映画祭
2016年 50の顔2(REIJINSHA GALLERY,Tokyo)
2017年 第一回 KILALA ART展~KILALA美術学院卒業生による作品展~(宇都宮東武デパート)
2017年 ミヤラジ 宇都宮ラジオに出演
2018年 西川美穂原画展「キオク」(ギャラリー白線)
2018年 「FLOWER COLLECTION」フジギャラリー新宿
2018年 「Blue Collection」(東急百貨店たまプラーザ店4階アートサロン)
2018年 第ニ回 KILALA ART展~KILALA美術学院卒業生による作品展~(宇都宮東武デパート)
2018年 「クリスマスフェアー」 フジギャラリー新宿
2019年 「西川美穂展」 フジギャラリー新宿
2019年 rooms EXPERIENCE
2019年 「summer exhibition」s+arts
2019年 「洋々展」ギャラリー壱零参堂
2019年 「pickup」 REJINSHA GALLERY
2019年 「アート解放区」テノハ代官山
2020年 「現代美術作家によるだるま展」上野が、すきギャラリー
2020年 「アート解放区 CANBIRTH」高木ビル
2020年 「summer exhibition」s+arts
2020年 「THE GOODLAND MARKET × japaneseantiquefurniture × MIHO NISHIKAWA」
URBAN RESEARCH DOORS 南船場店(アートハンガー・立体)
2020年 「見えていないものー西川美穂展ー」上野が、すき。ギャラリー(松坂屋上野店)
■収蔵作品
株式会社世界堂(作品名 オトナとコドモ)
■装画
「火花」又吉直樹 (作品名 イマスカ)
「感傷ストーブ」川島結佳子著
■商品
荒川ザインステーショナリーライン×西川美穂コラボカレンダー