制作工程を種明かしする「How to Make」インタビュー。今回はタグボート取扱いアーティストの西川美穂さんにお話を伺いました。
西川 美穂Miho Nishikawa |
今回ご紹介いただく作品について教えてください。
『cloth 〜めげない少女〜』(F10、キャンバスに油彩)です。
赤色が印象的な作品ですが、この色を使う意図は何かありますか?
赤は「命を表す色」です。日々、人間は赤という色に本能的に反応しエネルギーを発揮します。
私自身が表現する赤は、主にバーミリオンを使い描きます。絵画に赤を使う理由は、私自身の描く絵画のメッセージ性やインパクトを、最大限に伝えたいという想いを込めているからです。実際に、赤色の絵具をキャンバスにのせた瞬間に一気に描き切ることが出来るのですが、それは赤色の力だと信じています。
制作現場はどのような場所ですか?
私の制作場所は自宅の一室を使っていて、太陽の日当たりが朝から夕方にかけ刻々と変化する環境で制作しています。
本来であれば環境が変わらない場所で描くのが一般的です。しかし、描いた絵がどのような環境に飾られるか分からないので、「どのような環境でも見栄える作品」を常に意識しています。逆に言えば、その日の天気、時間帯、気温、風向きなどによっても表情が変化する命ある絵画を意識して完成に導いています。もしかしたら描いた季節が作品を通じ分かってしまうかもしれません。
アトリエ風景
この作品はどんな材料を使用していますか?
全て油絵具を使っていますが、絵具よりもオイルを意識しています。「油絵」の言葉の中に「油」が入るように、重要なのは一番に「油」を扱っているという感覚です。
そのオイルの良し悪しで半年で剥がれてしまう絵、何百年も状態を保てる絵と道が別れます。
絵具は様々なメーカーの物を使用していますが、メーカーによって同じ色名でも色彩、混合オイル等が違うので、状況状態によって使い分けています。
特に好きな色は、
<ホルベイン>グリニッシュイエロー
<クサカベ>マンガニーズブルーヒュー
<マイメリピューロ orマツダ>バーミリオン
です。
この作品はどんな道具を使用していますか?
滑らかなタッチで深みのある絵画を表現するには、自分に合った道具にはこだわります。
筆は柔らかい羊毛刷毛、コリンスキーを使用します。油彩は豚毛が主流ですが、一切豚毛は使いません。より柔らかい筆を使用し、撫でるように塗り重ねていくことで筆跡が残らない画面を作ることができます。
そして、こだわり適したオイルに馴染ませ、何層も何層も塗り重ねていく事で奥深い色合いになっていきます。
この作品の制作工程を教えてください。
下地に関してはモチーフが決まり次第、チタニウムホワイトで下地作りをします。
その上に絵具を丹念に塗り重ね、環境と作品を常に見極めながらオイル、色、色彩、深みを考えながら完成に導いていきます。
上記工程を何度も繰り返し、深い色合いに変化していきます。
チタニウムホワイトとグリニッシュイエローを使用し形を考えていきます。
完成!
うちで過ごす時間が多くなっている為に絵を描く時間が増えています。そして最近は、日本が疲弊している世の中になってきているように感じ、少しでも気分が変わる絵が必要だと思っています。
作品を見ていただく方、飾っていただく方にとって、一瞬でも考えさせられる絵に出会う瞬間となるような、多少なりとも前向きになるような作品を作れたらと、心から願って描き続けます。
部屋のアクセントとして一輪の花を添えるように、西川美穂の絵を楽しんでいただければと思います。
絵画をインテリアとして飾っている様子もSNSでUPしているので参考にしてみてください。
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西川 美穂Miho Nishikawa |