古西穂波は1996年兵庫県神戸市生まれ。
現在、武蔵野美術大学大学院 美術専攻修士課程彫刻コースに在籍中の注目若手作家です。
近年制作している「24 hours」シリーズは、街中で見かけた人や通りすがりの人を、24時間以内に一つの彫刻にするというルールのもと制作しています。
何気なく過ぎる日常の背景に流れる思いや人々の関わりを形にし、日々の営みとしての作品を制作していきたいという作品の魅力をご紹介します。
古西穂波 Honami Konishi |
撮影:松本隆
「木」という素材
古西穂波は、ひとつの木材から像を丸彫りする一木造りで作品を作っています。
かつては仏像など信仰の対象となるものの素材でもあった「木」。
明治の廃仏毀釈運動以降、仏像の制作が衰退し、木彫作品は展覧会へ出品されるようになりました。
信仰の対象から鑑賞の対象へと大きく変わっていったのです。
作家は「木」という素材が持つイメージの変遷や、過去から現代にいたるまでの時間の流れを意識しながら、
今を生きる人々の姿をかたどった木彫作品を制作しています。
24時間の枠組みの中で
「24hours」シリーズは、他者と自分の関係や、通りすがりのもう会えない人のことを考え、
その日のうち、つまり「24時間以内」に形に留めておきたい、というコンセプトで制作が始められました。
最近では人々がマスクをするようになり、表情が読み取れないことから、その人の雰囲気や印象を、まるでドローイングのように形にするという展開の仕方に変化してきています。
同じ人物を見ていても、自分と第三者では視点が異なり、それぞれは違う印象を持つということが起こります。
作家自身の記憶の底にあるような抽象的な形を、木を彫っていく中で発見し、取り入れて制作しているといいます。
日々の営みの中にある作品
「木」という素材が様々なイメージを持っていること、そしてある人物の見え方が視点によって変化するということは、作品の中で相互に影響し合っていると作家は考えています。
私たちが誰かに出会い、そしてその内面を知ると、イメージは変化していきます。
すれ違う人々は、都市の中ではマクロな景色の中の一部です。
ですが、ひとりひとりを知ることによってよりミクロの視点へ、日常風景の解像度が上がっていくような感覚を覚えるのではないでしょうか。
何気ない景色の中にある人々の関りや想いを、作家は日々の営みとして形にしています。
古西穂波 Honami Konishi |
1996兵庫県神戸市生まれ
2020武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
2021武蔵野美術大学大学院 美術専攻修士課程彫刻コース 在籍
展示歴
2018 「二彫展」武野美術大学、東京
「武蔵野美術大学オープンキャンパス」武蔵野美術大学、東京
2019「くうかんとりっこ」武蔵野美術大学、東京
「小平アートサイト:よりみち芸術」 小市中央公園、東京
2020「逸脱展」武野美術大学、東京
2021 「PEACEFUL展」石川画廊、銀座 東京
「コンシン展」gallery UG、馬喰町 東京
「SICF22」スパイラル、南青山 東京
「through me,through you」 Gallery T-space、品川 東京
「Any Kobe with Arts 」ダルビッシュコート、神戸 兵庫
受賞歴
第56回神奈川県美術展 奨励賞
Any kobe with Arts 2021 入選