代表作を買う
優れたコレクターにはいくつかの共通点がある。
彼らは、作品を単に部屋に飾るために購入しているわけではない。
アートを装飾品として見るのではなく、その本質的な価値を見極め、作品そのものの未来の可能性に投資しているのだ。
その中で特に重要なのが、「代表作」を手に入れることだ。これがアートコレクションの成否を左右する鍵となる。
理由は明白だが、代表作こそが価値を持ち、時が経つにつれてその評価が飛躍的に高まるからである。
アーティストの作品群の中で、最も注目され、メディアに掲載される作品は、その作家の象徴的な存在として扱われる。
展覧会のメインビジュアルとして使われる作品や、ミュージアムの展示において目玉となる作品は、後に市場での競争が激化することが多い。
アートは1点もののため、同じような作品が再び市場に出ることは極めて稀だ。
そのため、コレクターはその瞬間を逃すことなく、代表作を手に入れるべきだ。
歴史を振り返ると、ムンクの「叫び」がその好例だろう。
ムンクには他にも多くの作品があるが、「叫び」は教科書にも載るほどの名作で、2012年には1億700万ドル(手数料込みで現在の為替で約170億円)という驚異的な価格で落札された。
このように、代表作はその作家の名を不朽のものにし、他の作品との差が広がることは避けられない。
サイズが大きいものを買う
さらに、真のコレクターはサイズにこだわらない。
むしろ、大型作品こそがアートの力を最大限に引き出すものと考えるべきだ。
例えば、東京都現代美術館で展示されている高橋龍太郎のコレクションは、その多くがサイズが大きな代表作だ。
彼のコレクションは、自宅に飾るためのサイズを気にせず、アーティストの意図を最もよく表現した作品を選んでいる。
このアプローチが、結果として彼のコレクションの価値を大きく引き上げている。
一方で、サイズを気にして小品ばかりを集めていると、資産的な価値を高めにくい。
ミュージアムピースとなるような大型作品やインスタレーション作品は、アーティストにとっても特別な存在だ。
多くのアーティストが自信を持って制作する大型の代表作は、必然的に高い価値を持ち、後に美術館で展示されることもある。
お勧めするアーティスト
ここで注目すべきは、東菜々美という若手アーティストだ。
彼女は今から3年前に2021年タグボートアワードでグランプリを獲得し、その才能が一気に開花した。
「一筆書き」の手法で描かれる彼女の作品は、一見自由に見えながらも、独自のルールと制約の中で生み出されており、その独特の世界観が多くのコレクターや批評家から注目を集めている。
2年前の初個展を含めて過去のタグボートのアートフェアではすべての作品が初日に完売しており、昨年多摩美術大学の大学院を卒業したばかりにもかかわらず、その人気は急速に高まっている。
東菜々美の作品もまた、彼女の成長やアート市場での存在感の高まりとともに、価値が上がっていく可能性を秘めている。
彼女の特に代表作にあたる大型作品は、多摩美術大学の今年の卒業制作展に出品した傑作であり、将来的にミュージアムクラスのコレクションに加わる可能性がある。
真のコレクターが目指すべきは、アーティストが自信を持って世に送り出した大型の代表作を手に入れることである。
それは、単なる装飾品としてのアートではなく、未来に向けた価値のあるコレクションの第一歩となる。
東菜々美の作品を含め、若手アーティストの成長やその作品が将来どのような評価を受けるかを見極めつつ、代表作に注目していくことが、賢明なコレクターとしての歩みを導くだろう。
東菜々美の個展の事前抽選作品はこちら
抽選応募期間:9月24日(火)~29日(日)
当選連絡:9月30日(月)
お支払い締切:2024年10月3日(金)
【抽選方法】
9月24日(火)~29日(日)の抽選応募期間中に、お申込いただいたお客様の中から抽選で
東菜々美 個展ウエブサイト
http://tagboat.co.jp/nanamiazuma_colors_shapes_and_spaces/
東菜々美 インタビュー
https://tagboat.tokyo/artistinterview/nanamiazuma
東菜々美 インタビューその2
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