12月1日から8日までニューヨーク、マイアミと出張した。
出張の全貌についてこちらのコラムをお読みの皆さまと共有したいと思う。
コラムの中ではアーティストが食べていける未来を作るためにタグボートが何をすべきかということを考えたので、次回のコラムでご興味がある方はそちらもお読みいただければありがたい。
さて、今回の出張の目的は2つあって、ひとつはニューヨークでタグボートのグループ展を開催すること、もう一つは米国最大のアートフェアであるアートバーゼル・マイアミビーチを視察することだ。
ニューヨークでのタグボートの展覧会であるが、ウェストハーレムにあるWhiteBox Project Spaceにて開催された。
Whiteboxはニューヨークでも指折りのアートNPO(非営利団体)であり、これまでも著名なアーティストが輩出する登竜門として、また美術史の中で重要なアーティストの作品を紹介するという2つの役割を担ってきた。
WhiteboxオーナーのJuan Puntesはニューヨークのアートシーンでは知らない人がいないほどの有名人であり、今回こちらのギャラリースペースを借りてタグボートが展覧会を開催することにはひとつの意義を感じている。
今回のタグボートの展示はEmerging Tokyoというタイトルでキュレーションをした。
日本の現代アートシーンを昭和後期から平成、令和へと続く一連のストーリーを紐解くような展示となっている。
その内容については以下のウェブサイトを参照していただきたい。
https://tagboat.tokyo/collectorinformation/tokyoemerging
イラストレーターおよびヘタウマ画としておなじみのしりあがり寿のインスタレーションを展示したほか、テレビ番組「1番だけが知っている」で紹介されたIQ188の天才、太田三砂貴の新作が出品された。
また、ドローンを空中に飛ばして絵を描いたりルンバに絵具を装着してアートを作ったりと奇想天外なアイデアで創作する山口真人はタグボートが開催するIndependent TOKYOのグランプリ獲得者だ。
アートとサイエンスをコラボレーションしたアーティスト・ユニットのあたりなどタグボートが新たに紹介するアーティストも出展者に盛り込んだ。
足立篤史は古い新聞紙という素材にこだわりつつ千と千尋の神隠しを彷彿させるインスタレーションに取り組んでいるほか、紙の作品にさらに彩を与えるのは先月ニューヨークのチェルシーで開催された個展でも話題となった錆びた和紙を使った伊藤咲穂と、相乗効果となる顔ぶれにもこだわった。
さらには、ベネチア国際映画祭のVR(バーチャルリアリティー)部門で最年少でノミネートされた伊東ケイスケといった日本のアートの最先端トレンドも紹介することとした。
オープニングレセプションでは踊りながら描く神田さおりのパフォーマンスは、単なる絵描きを超えたパフォーマーとしての実力があり見るものを圧倒させるパワーがあった。
そのほか米国でも十分に通用するカッティングエッジなアーティスト計12名を集めてのグループ展は、初日にTBSの地上波のほか、海外日本語放送のテレビジャパンや、週刊NY生活からも取材を受けることができ多くの来場者に作品を見てもらうことができた。
しかしながら、まだやるべき点や課題も見えてきたので、今回の展覧会を機会にさらなる海外での展示をより実りのあるものにしていきたいと思う。
さて、アートバーゼル・マイアミビーチであるが、行ってみた感想としては予想に反して思っていたよりも来場者数が少なかったこと、アートバーゼル・香港と比べたときにマイアミの熱気は穏やかに感じたのだ。
急拡大するアジアのマーケットのほうが勢いがあり、米国最大のアートフェアはどちらかというと安定したイメージを受けた。
さらに詳細なレポートはまたこちらのコラムの中で追記していきたい。