先ほどのコラムでも書いた通り、タグボートがこれから目指す姿は「脱・オンラインギャラリー」だ。
とは言ってもオンライン販売をやめるのではなく、今後は日本で最も展示をするギャラリーとなることでリアルとバーチャルでの相乗効果を増やしていくということだ。
脱・オンラインとは、「オンラインだけに頼らない」という意味である。
以前書いたコラム「アーティストの楽園を作る」でも書かせて頂いたが、現在都内の超一等地にある解体前の7階建てビルをそっくりそのままアーティスト向けに活用するプロジェクトが進んでいる。
このプロジェクトのスタート時期は来年1月からとなる予定であるが、いま着々とその準備が進んでいる。
アーティストがこれまで自宅やアトリエで制作したり、ギャラリー側の販売の制約を受けた展示での不満を解放することを目的としており、アーティストが解体前の壁を壊したり、床をはがしたり、ペイントしたりと思い思いのことが自由にできる空間を作っていきたい。
まず最初に進めていくのは、クラウドファンディングというインターネット上で支援を募るプラットフォームを活用した資金作りだ。
解体前のビルの約5カ月間の運用費として、管理する人件費、プロモーション費用のほか、ビルの外壁をアーティストに作ってもらう制作費、映像制作費用など多岐にわたる 。
このクラウドファンディングのリターンは、プロジェクトに参加するアーティストからアート作品を出品してもらう予定だ 。
さらには一般参加者みんなで解体前のビルに集まってアートを作り、それを作品として残す権利の販売なども考えている。
ここで重要なのはプロジェクトを通じて多くの人を巻き込んでいくことだ。
自らプロジェクトに参加した人が次の参加者を呼ぶことにもつながるであろうし、アートを通したコミュニティーの拡大につながっていけたらと考えている。
こちらのビル解体前プロジェクトは来年1月から5月末までの5カ月間続くが、その後も様々なプロジェクトは続いていく。
その一つは来年6月からの国内最大級の百貨店ワンフロアの展示会場を使ったアート展示である。
この百貨店の来客数は年間なんと5千万人であり、約2週間の展示でかなりの集客が想定される。
ここではタグボートが取り扱いするアーティスト50名、約500点の作品展示を予定しており、過去最大規模の展示となる予定である。
次に東京オリンピックを挟んで9月から始まるのは、東京都の指定有形文化財となっている建物の中で開催されるタグボート主催のアートフェスだ。
伝統的な日本間の空間を利用して現代アートを展示するアートフェスは大きな話題を呼ぶだろう。
この指定有形文化財のある空間は「和」を意識した伝統芸能や芸術品を展示することが殆どであり、どちらかというとミスマッチになりかねない現代アートを飾ることで新しい世界観を作っていきたいと思う。
国内の展示はこれ以外にもあるが、アートフェアへの出展はひとつもない。
その代わりに再来年にはタグボート単独のアートフェアも計画している。
通常アートフェアといえば、100軒ほどのギャラリーを集めた展示作品の販売であるが、それをなんとたった一軒のギャラリーで開催するということだ。
少なくとも100名以上のアーティストの作品が必要であり、さらに来場するアートファンやコレクターに十分満足してもらえる展示でなければならない。
そこでは国内のアートフェアではあまり見られることのない大胆なインスタレーションや映像作品というものも数多く展示する予定だ。
このようにすでに現段階で大規模な展示が決まっているのだが、これまで書いて内容は国内だけであり、海外についてもこれと同等の規模で展示の計画が進められている。
どこまで実現ができるかはさておき、今後の海外の展示計画については次回以降でさらに詳細を見せていきたいと思うので期待してい頂きたい。
また、オンラインサロンの入会者でこのようなプロジェクトにも自ら参加してみたい、支援したいという方がいれば是非ともお声がけいただければ幸いである。