今回からタグボートが入手している膨大なデータから分析した結果を皆様に分かりやすく解説するコーナーを作ることとなりました。
タグボートは年間を通して世界中のオークション会社の入札・落札のデータを保持しており、それを元に分析してお客様の査定依頼に応えたり、取り扱いアーティストの作品の参考にしております。
その一部を少しずつ、お見せしたいと思います。
まず今回は、オークションの落札価格について、考えてみましょう。
オークションでは「エスティメート」という値があるのを、みなさんご存知かと思います。
これはオークション主催者であるオークションハウスが決める予想落札価格で、
たとえば、ある作品に対して「100万円〜150万円」という価格範囲の形で提示されます。
上の例では、100万円がエスティメートの下限、150万円がエスティメートの上限と言われます。
作品が競売にかけられるときには、この下限を少し下回る価格から入札が始まるのです。
エスティメートというのは簡単に言うと、オークションハウス側が考える、
「作品に対して妥当だと考える落札価格帯」なのです。
たとえば、草間彌生のこちらの作品、Pumpkin 2000 (yellow) の版画を見てみましょう。
モチーフは、世界的にも人気のある黄色いカボチャで、作品の大きさは
約30センチ x 35センチと、小さめで手ごろなサイズのものです。
こちら ↑ のプリント、実は今年(2019年)6月にロンドンで落札されたものなのですが、
ご参考までに、その時の「エスティメート下限」は、10,143ドル(約109万円)からとなっていました。
おそらく、100万円くらいから入札が始まったことになります。
その後、こちらのオークションでは入札が多くて価格が競り上がった結果、
実際の「落札価格」は、エスティメート下限の2倍以上、23,851ドル(約256万円)となりました。
人気作品ではエスティメートが安くても、最終的に収まるところはある程度高くなることがわかります。
このように、はじめにオークションハウスが提示した金額に対して、実際の作品の需要が高い場合には、
当然価格がつりあがり、上限以上での落札に落ち着くことになります。
では「エスティメート」と「落札価格」の概観がわかったところで、
次回は、草間彌生の作品が日本と海外でどのように落札されているか、
データを元にひもといてみましょう!
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