後藤夢乃は1996年東京都生まれ。2019 年女子美術大学 洋画専攻卒業 、2022 年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻(第一研究室)修了。
何層にも重なった凹凸のある油彩画が持つ物質的な強さと、内に秘める精神的な世界で深い奥行きと重厚感を創り出します。
神話や伝承、魔術、聖母マリアや女神像などをモチーフとした作品には人の心に寄り添い、救いをもたらすメッセージが作品に色濃く込められています。
有楽町・阪急MEN’s TOKYO tagboatでの個展を控えた作家による魅惑の作品世界をご紹介します。
後藤夢乃 Yumeno Goto |
暗闇の中に浮かび上がる神秘的な世界
木製パネル・油彩, 76x 114 x5.3cm, 2022
西洋文化や宗教に由来したモチーフ、そこに宿される劇的な光と影。
作家は、世界は明るさだけではなく、影があるからこそ成立するということを強く意識しており、
自らのアトリエを人工灯によって極端にコントロールせず、あえて薄暗くして自然光の中で作品を描いています。
周囲の環境に呼応し、日本という場所が持つ湿度、明暗、自然が見せる色彩などを要素として取り入れます。
それらが作家の手によって作品の中に現れるとき、西洋らしいコントラストを併せ持ちながら、ある種の日本的な曖昧さも表現されているのです。
木製パネル・油彩, 26x 26 x5cm, 2022
木製パネル・油彩, 136x 61 x5.3cm, 2022
木製パネル・油彩, 35.4x 24 x5cm, 2022
油絵具を塗り重ねて生まれる魔術的な力
木製パネル・油彩, 34x 23.5 cm, 2022
後藤夢乃の作品は絵具が幾重にも厚く塗り重ねられて物質感を増し、絵が鑑賞者の側に迫り出してくるような迫力を感じさせます。
作家は自らを現代の魔女と自負し、絵具から色を抽出してオイルを調合し絵を描くことそのものを魔術行為と捉えているのです。
何種類もの色を駆使した深い色合いと、盛り上げられた絵具、ときには釘などの突起物が組み合わさり、ただならぬ気配を醸し出します。
Portrait of Gerard Castle- Princess Margarita(Ectoplasm)
木製パネル・油彩, 100.3x 81 cm, 2021
板パネルに油彩, 23.2x 19.2 cm, 2019
板パネルに油彩, 113x 61 cm, 2020
古の時代から現代へと続くもの
板パネルに油彩, 183x 136 cm, 2020
魔女、女神、精霊など、古くから語り継がれてきた神話の世界の者たち。
作家は絵を描くことにより、生と死、光と影、人間と神、そして古来からある神聖な存在に触れ、その根底にあるものを探求していきます。
連綿と続く人々の営み、今も昔も変わらぬ私たちの存在の不可思議さを紐解き、
現代に生きる人々に寄り添い、救済をもたらすメッセージを込めています。
木製パネル・油彩, 121x 62.5 cm, 2022
木製パネル・油彩, 46x 91 cm, 2022
木製パネル・油彩, 26x 21.5 cm, 2022
※下記の記事は2020年に公開されたものです。
<百段階段の注目作品>おぼろげに浮かび上がる光と闇の世界。映し出す私たちの姿とは|後藤夢乃【TAGBOAT×百段階段展】
後藤夢乃 「Venus in Furs」
2022年10月14日(金)―11月3日(木) 開催予定
営業時間:
※10月1日(土)より下記営業時間に変更いたします。
平日 12:00-20:00 / 土曜日、日曜日、祝日 11:00-20:00
※最終日のみ1Fは17時閉場
※他、館の営業時間に準ずる
会場:阪急MEN’S TOKYO 7Fタグボート
(〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 1F main base、7Fタグボート)
入場料:無料
後藤夢乃 Yumeno Goto |
1996 東京都出身
2019 女子美術大学 洋画専攻卒業
2022 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻(第一研究室) 修了
〈受賞歴〉
女子美術大学美術館奨励賞、 加藤成之記念賞 ( 総代 )
東京藝術大学O氏記念賞
第55回神奈川県美術展 準大賞
2020年
絵画の筑波賞 優秀賞
神山財団奨学金