2008年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。
2016年にIndependent Tokyo にてグランプリ受賞、2019年に第14回タグボートアワードにてグランプリを受賞するなど注目を集める。近年の個展に「THE 4TH CROSSROADS HOTEL」(’18年、銀座三越)、「FACELESS」(’18年、Azabujuban Gallery)など。
2021年にtagboatで「Full Empty」を開催して以来2度目となる個展「Negative/Positive」を2022年9月開催予定。
清水智裕 Tomohiro Shimizu |
「Negative/Postive」にて展示されるのは、近年編み出した「拭き取り」技法による最新作です。
作家は絵具が乾ききらないうちに布などで拭き取って「消す」ことで、形を掘り起こすかのように「描く」という方法で制作しています。
鑑賞者の目は「余白」があることによって「かたち」を認識します。「拭き取り」によって作品を描くことによって、描かれる部分と消される余白の部分がだまし絵の「ルビンの壺」のように反転し、新しい見え方が生まれるのです。
個展のテーマであるネガティブ・ポジティブという言葉は、まさに作品の技法を象徴するかのようです。
これまで築き上げてきた独自の物語を感じさせる世界観と、瑞々しい描き味が組み合わさり、より深い魅力を生み出す新境地に達しています。
「Waiting Time (4)」
2022年 油彩、キャンバス
45.5x 45.5 x2.0cm
「Nest」
2022年 油彩、キャンバス
33.3x 33.3 x2.0cm
「伝言は雲の上」
2022年 油彩、キャンバス
41.0x 41.0 x2.0cm
「ヒーロー」
2022年 油彩、キャンバス
27.3x 27.3x 2.0cm
油彩の制作に入る前にドローイングを描き、完成イメージを固めます。
キャンバスを用意し、絵具を塗っていきます。 以前はキャンバス全体を塗りつぶしていましたが、現在はオイルでゆるく溶いたものを流し込んだり、 ドリッピング(絵具を飛び散らせる技法)を行ったりすることで、抽象的なイメージを描いています。
乾いた布や筆などを使って、最初に想定した形を残してその周りをふき取っていきます。
全体の形が現れました。
同じように、人物の顔や体の部分もふき取ります。
目鼻だけは最後に筆で描き入れます。
完成
2022年9月23日(金) ~ 10月13日(木)
営業時間:11:00-20:00
10月1日(土)より下記営業時間になります。
平日 12:00-20:00
土曜日、日曜日、祝日 11:00-20:00
*最終日は17時close、他、館の営業時間に準ずる
入場無料
会場:阪急MEN’S TOKYO タグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 7F
銀座、阪急MEN’S TOKYO 7F、タグボートのギャラリースペースにて、現代アーティスト・清水智裕による個展「Negative/Positive」を開催致します。
可愛さの中にどこかシリアスな一面を持つ清水の作品。緩急豊かな画面構成は独特な印象を残し、その作品性が高く評価されています。
そんな彼の作品は、”描く”のではなく、”消す”ことによって生まれます。
画面全体を絵具で塗り潰した後、絵具を拭き取り、全体の形の輪郭が浮かび上がるように周りを消していく。
まるで絵具を削りとるようなこの手法は、過去の記憶を掘り起こすようなイメージだといいます。
彼の記憶を探るような制作方法は、私たちの目に幻影のように映り、どこか懐かしさや心地よさを与えます。
タグボートで2度目となる本個展では、待望の新作を展示販売致します。余白があるから“かたち”が認識される。清水智裕が作る「ネガ」と「ポジ」の世界観を是非ご高覧ください。
CONCEPT
納得のいく作品が作れず、何度も描いては消し、描いては消しを繰り返していたときに、
描くのではなく、消していくことで絵画を作れないだろうか、と考えるようになりました。
キャンバスを絵具で塗りつぶし、乾かないうちに拭き取って、拭き取り忘れた残骸が絵画となる。
大量の絵具を拭き取れば、小さい形が現れ、ほんの少しだけ絵具をぬぐい取れば、大きな形が残されることになる。
自分のやっていることは何なのだろう、絵画を作っているのか、消しているのか。
その答えを探し求めるようにして作品を作っていました。
そして、新型コロナウイルスが蔓延し外出もままならない中、毎日毎日死亡者数の発表を聞いているうち、
細胞がいっとき集まり、人間の形を形成し、そしてまたすぐ散らばっていくというイメージが生まれ、作品がまた少し変化しました。
いま目の前にあるものは、ほんのたまたまそれっぽく見えているだけで、目を離したすきにバラバラになって消えてしまうかもしれない。
そうなる前になんとかかき集めて、つなぎとめておこうとする。いまの私の制作はそんな作業に似ている気がします。
清水智裕
清水智裕 Tomohiro Shimizu |
2008年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
<主な受賞歴>
2006年 「トーキョーワンダーウォール2006」入選
2008-2010年 「ワンダーシード」3年連続入選
2016年 タグボートアートフェス「Independent2016」グランプリ
2019年 第14回タグボートアワード グランプリ
<主な個展・グループ展・その他>
2007年 個展 Emerging artist support program 「たべちゃいたいくらい。」(東京/トーキョーワンダーサイト本郷)
2009年 個展「ま昼のまぼろし」(東京/ギャラリー坂巻)
2011年 個展「Emerging Japanese Artist – Shimizu Tomohiro」(シンガポール/iPRECIATION Singapore)
2012年 個展「清水智裕展“道の向こうに見えるもの”」(東京/銀座三越)
2014年 「YOUNG ART TAIPEI 2014」(台北/リージェント台北)
2015年 個展「惑星Qの定時連絡」(大阪/DMO ARTS) 個展「室内楽」(東京/Gallery SPEAK FOR)
2016年 個展「Wanderlust」(台北/pon ding)
2017年 「春を探して」(東京/アートスペース・モルゲンロート)
2017年「ART in PARK HOTEL TOKYO 2017」(東京/パークホテル東京)
2018年 「THE 4TH CROSSLOADS HOTEL」(東京/銀座三越)
2019年 「TAGBOAT AWARD Selected Exhibition」(上海/Shun Art Gallery)
2019年 「侵食作用」(東京/亀戸アートセンター) 「Full Empty」(東京/阪急メンズ東京・タグボートギャラリー)2021年 個展「ミカエル」(東京/KATSUMI YAMATO/無一物)
2021年「Japanese Group Show」(フランス/gallery JOYANA)
2022年 「tagboat Art Fair 2022」(東京/東京都立産業貿易センター)
2022年「ふるさと文学さんぽ 岩手」(監修・須藤弘明、大和書房)の装画を担当「手のひらの花火」(山崎聡子、短歌研究社)の装画を担当