塩見真由は東京都生まれ、2011年東京造形大学造形学部美術学科彫刻家卒業後、2016年愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻彫刻領域を修了。TAGBOAT AWARDなど多数のアワードを受賞するほか、台湾、米国、英国など海外でも作品を展示するなど、精力的に活動。彫刻、インスタレーション、ドローイング、ペインティングなど幅広い手法による表現を展開しています。
空き缶やブーツ、ぬいぐるみにサンタクロースなど、一見、一貫性が無いかのように思える様々なモチーフを全て同等に扱った作品群。そこには、どのような思いがこめられているのでしょうか。
塩見 真由Mayu Shiomi |
身近でありながら、異質な感覚
展覧会「TOKYO ILLUSION 東京幻境 日本當代藝術展」2018, Dali Art Plaza(台湾) 塩見真由によるインスタレーション Roll-up jeans(GIANT SIZE), Again & again
きらきらと輝きを放ち、金属特有の硬質な色合いを持つ彫刻。
見慣れたはずの既製品や文字をモチーフとした彫刻は、アルミニウム箔で作られており、そのきらめきは視覚に見慣れた感触を与えながらも、全体としてそのスケール感や佇まいが現実離れした感覚をもたらします。
作家は幼いころから、この世に存在するものに対して、一体何がそれをそのものたらしめているのかに強い興味を持っていました。
圧倒的な違和感と親近感が同居する作品群は、固定観念に疑問を呈し、当たり前とされているものを突き崩そうとするかのようです。
アルミニウムはく・グラスファイバー, 60x 43 x43cm, 2022
(Paint can) ガムテープにアルミ箔・アクリル・水性塗料・ラッカー (Paint brush) スタイロフォームに麻・水性塗料、・ラッカー, 380x 225 cm, 2021
アルミニウムはく, 195x 145 x 32cm, 2021
ぬいぐるみを彫刻に
果報は寝て待て (Everything comes to those who wait./PUNKUMA/COFFEE&MILK)
フェイクファー・粘土で制作したぬいぐるみを型取り・FRP・油性塗料・ラッカー, 27x 49 x17cm, 2020
作家のオリジナルのモチーフである ”PUNKUMA” は「世界を本気で変えようとしている気合いの入ったテディベア」。
PUNKUMAの肖像彫刻は「ぬいぐるみの彫刻」であることが軸にあり、粘土やフェイクファーを使ってぬいぐるみを制作し、それを原型としてシリコンで型を取る、という手法で制作しています。
やわらかく、愛らしく、本来愛でる対象であるはずのぬいぐるみ。
ぬいぐるみらしからぬ壮大な意気込みもさることながら、樹脂を固めて作られた「ぬいぐるみ」は、抱きしめようとしても固く拒むかのよう。そこがむしろ作品の魅力であると、作家は語っています。
FRPに油彩・アクリル, 35x 40 x36cm, 2021
STAND! STRONG! STRAIGHT! (Dawn)
FRPに油彩・油性塗料, 33x 21 x13.5cm, 2022
石塑粘土に油彩・アクリル・玩具, 19x 11.4 x18cm, 2022
石塑粘土に油彩・アクリル・玩具, 22 x15 x 19cm, 2022
人間の世界を取り巻くもの
FRPにスプレー塗料・アルミニウムライト, 157x 36 x55cm, 2023
既製品や音楽、サブカルチャーなど、私たちがよく親しんだ日常にあるモチーフなどを象った作品は、鑑賞者にシンプルでエネルギッシュな問いを投げかけます。
作品は大がかりなインスタレーションやインパクトある見た目でありながらも、どこかあたたかなユーモアを持ち、枠組みに囚われることのない自由な感覚をもたらします。
多種多様な素材を取り入れながら大衆のスピリットを表現する作品は、見るたびに新しい発見を与えてくれるでしょう。
木製パネルにアクリル・ガッシュ, 41x 53 x1.8cm, 2021
ブリキ・スプレーペイント・キャンバスにアクリル・オイルパステル, 99.8x 91 x7.5cm, 2023
The 6 emotions (Human Universals)
セメント・アルミ箔・カードボード・MDF・コンテ・顔料インク・アクリル, 75x 60 x20cm, 2021
キャンバスにアクリル, 53 x 40.9 x 1.8cm, 2021
塩見 真由Mayu Shiomi |
1982年 東京都生まれ 2016年 東京造形大学造形学部美術学科彫刻家卒業 2016年 愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻彫刻領域終了
「既製品と既成概念、それらを取り巻いている人間」というテーマから、彫刻、インスタレーション、ドローイング、ペインティング、様々な媒体を通して表現を展開しています。空き缶やブーツ、ぬいぐるみにサンタクロースといった表面的に一貫性のないモチーフを完全に同等に扱い、現実との大きな違和感が作品の特徴です。
主な展覧会、2020年「TAGBOAT × 百段階段 展」ホテル雅叙園東京、2019年「ART × KURASHIKI × SWEETS アートでふらっと倉敷」倉敷市立美術館、2018年「Brillia ART AWARD 2018」東京建物八重洲ビル Brillia Lounge「THE GALLERY」、「第21回 岡本太郎現代芸術賞展」川崎市岡本太郎美術館、2017年「Fresh 2017 塩見真由展」伊勢現代美術館、他多数。