アートを買うことについてまったくの初心者の場合、どこにどんな情報があるか、またどうすれば自分のほしい作品や作家にめぐりあえるのか、わからないかもしれません。アートに関する情報収集はある意味で時間がかかる作業です。アートを知るにはたくさんのアート作品を見ることが重要ですが、そのためには美術館に行くだけでなく、以下のような方法もおすすめします。
1)ギャラリーに行ってみる
2)作家に直接会いに行く
3)芸術祭やアートフェアに参加する
4)コレクター仲間をつくる
5)ネットを活用する
それぞれに、それぞれの良さや楽しさがあります。たとえばギャラリーにいけば、ギャラリストの客観的な解説やアドバイスを受けることができるかもしれませんし、作家に会いにいけば、作家の人となりについて知ることができます。コレクター仲間をつくれば、自分とは違う感性の持ち主と意見を交換することで世界が広がりますし、芸術祭・アートフェアのスケール感は、ギャラリーでは得られないものがあります。またインターネットを使えば言うまでもなく、多くの情報をリアルタイムで得ることができるでしょう。
ここからはそれぞれの情報収集の方法について、紹介をしていきます。
まずは、ギャラリー巡りについてです。ギャラリーは一般的には日曜日と月曜日を休みにしているところが多いため、平日に仕事がある人は、ギャラリーの開いている土曜日の昼間にまとめて訪問する人が多いようです。
ただし国内の現代アートギャラリーは東京に点在しているので、一日で効率的に回るのは至難の技です。あらかじめアートマップなどで調べておく等しないと、ギャラリーの場所を探すだけでも骨が折れることになります。
このときに、例えば『GUIDE』という東京の現代アートギャラリーのMAPを活用することでかなり楽になることは間違いありません。各ギャラリーにこの『GUIDE』のMAPが必ず置いてありますし、展示企画の情報も一覧で見られるので非常に便利です。
好きなアーティストの展覧会初日(金曜日の夜が多い)に照準を絞って訪問するのもよいかもしれません。アートを知りたいならば美術館だけに行くのではなく、ギャラリーでアーティストの新作を観るのが一番ですし、見た作品を実際に買える醍醐味はほかに代えることができません。
有楽町 阪急メンズ東京7F tagboatギャラリー
作品だけでなく作家のことをより深く知るためには、実際に本人に会うのが一番良い方法です。ウェブサイトやSNS、展覧会などでその作品を知った場合には、ぜひそのアーティストと直接会ってみましょう。アーティストはギャラリーに来てもらい作品を観てもらいたいと思っていますので、できればギャラリーで会うのがベストでしょう。
可能であれば、アーティストの展覧会のオープニング(初日)に行くことです。多くのギャラリーではオープニングで簡単なレセプションを開催していることがあり、そこには必ず本人がいるはずですので、会って話をしてみましょう。パーティーには作家の友達や知り合い、コレクターなど多くの人がワイン片手に集まってきます。作家は多くのギャラリーのお客様と話をするのに忙しいのですが、そこをなんとか割り込んで話をしてみることをおすすめします。
話をしてみると、そのアーティストがなぜその作品をつくったのかの動機や、強い想いを直接うかがい知ることができるでしょう。もちろん、会った後のコミュニケーションでアーティストの人となりをさらに深く知ることもあるかと思います。直感でアート作品を買うのもよいのですが、ある程度の金額の作品を買う場合には作家と会って判断するというのは賢明だと思います。
とはいえ、忙しい方は展覧会のオープニングに行く時間がないかもしれません。アーティストが展覧会、とくに個展を開催するのは年に1回程度だからです。そのような場合には、FacebookなどのSNS上で友達になることで作家の人となりを知ることも可能です。作品を見るだけでは分からない作家のもうひとつの横顔を知ることにもつながるでしょう。
鑑賞のために各地で開催されているビエンナーレ、トリエンナーレなどの芸術祭に行くのも楽しい旅になります。芸術祭は地域の公共団体が主催していることが多いため、観光とアートが一体となっていて、観光各所を探索しながらアートを楽しむことができます。
芸術祭では展示できるスペースが広く提供されていることが多いので、アーティストも通常のスペースでは展示できないような大型のインスタレーションなどを制作することがあり、売れるかどうかを度外視して本領を発揮します。
アート・バーゼル香港、タイペイダンダイ、ART021、ART SGをはじめ、アジアでは新しいアートフェアがどんどんできています。日本のアート・マーケットでは体験できないような作品が多く見れる上、成長著しいアート・マーケットをダイナミックに感じることができる機会にもなるのでおすすめします。
アート・バーゼル香港の様子
アートを買う際は、個人の判断で行うことが多いでしょう。本人の嗜好が反映される商品なので、友達とああだこうだと言いながら買うものではないし、アートに費やされる予算も、人によって千差万別だと思います。
購入したアート作品を人に見せたいとは思いますが、定期的に自宅でパーティーを開催するのは面倒ですし、そもそも日本にはあまりそのような習慣がありません。また、アートを買うというのは一般的には贅沢な行為でもあるので、それを自慢しているようにも思われるのが嫌で、積極的にアートを他人に見せる人は多くないのが現実です。
しかしここは視点を変えて、コレクションが社会性をもつものであるという認識へと変えていきたいところです。コレクター同士の交流の場として、《ワンピース倶楽部》という年に1点以上アートを購入するアートコレクターの団体があります。東京では毎月定例会と称して、ギャラリストやアーティストに登壇してもらう勉強会を開催するほか、ギャラリーツアーなども時折開催しており、アートファンでかつアートの購入にも興味をもつ人であれば、定例会に参加してみるのもよいでしょう。
アートにまつわる情報や人が集まる場を提供している団体も、インターネットがあれば気軽に探すことができます。たとえばオンラインサービス《tagboat.com》ではアートを販売するだけでなく、アートファンに向けたさまざまな情報発信や交流の場を提供しています。
最近ではネットでアートを買う人も増えてきました。タグボートでは10,000点以上の現代アートを販売しており、若手作家の10万円以下の作品から、100万円を超える草間彌生のシルクスクリーンなど、幅広い作品を取り扱っています。
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