陶器が持つ様々な特性や意味を考察しながら、
その作品では、一本一本の粘土の紐を丁寧
陶器に込められた様々なコンセプトは、個人の生活の中にある問題や疑問をあたたかな眼差しで反映しています。
毛塚友梨| Yuri Kezuka |
ARTIST INTERVIEW
「紐作り」で作る陶芸
陶芸家の父を持ち、幼いころから父のアトリエで粘土遊びをしていたという毛塚友梨。
東京藝術大学では工芸科陶芸専攻に進学し、陶芸を学びました。
ほとんどの作品を、陶芸の技法の中で最も原始的な方法の一つである「紐作り」で作っています。
「紐作り」は粘土を紐状に伸ばし、少しづつ積み重ねて形作る技法です。1万年以上前の遺跡などから発見された土器でも使われています。
この技法では、ひもを積み上げた痕跡の模様を消すことが一般的ですが、作家はそれを意図的に残して、渦の様な模様にしています。
粘土を積み上げた痕跡を残したままにすることで、個人や過去の人間が陶芸と共に歩んできた歴史の積み重ねを暗示しているのです。
「循環(バケツ、じょうろ、ペットボトル)」24 x 34.7 cm, 陶器(手びねり(紐づくり)1240度、酸化焼成)
「器3(パレット)」35 x 31 cm, 陶器(紐作り、酸化焼成)
生活の中にある身近なモチーフ
現代陶芸で一般的に重んじられる、作品の色彩や形態だけでなく、作品に込められた意図を重視している作家は、
コンセプトを持った陶器を目指し、生活用品や室内設備を制作するようになります。
そのモチーフは、パソコン、浴室のシャワー、台所の蛇口、タオル、哺乳瓶などとさまざま。
デジタル技術が発達し、非物質的なものの価値が実際の物質に取って代わりつつある現代で、原始的な方法で現代に存在する物質を形作ることは、作家にとって非常に意味深いことなのだといいます。
「思い出す限りでは」165 x 180 cm, 陶器(手びねり(紐づくり)1250度、還元焼成)
「8年間」手びねり(紐づくり)1220度 酸化焼成, 175x 110 x340cm
人の「心」を表す容器の形
作家は、現代の人々の営みの中にある問題提起をコンセプトとしています。
たとえばこちらの作品は、蛇口とバケツという具象的な物質を形作っていますが、「愛情とそれを受け取る心」という、本来は目に見えない抽象的な存在を表現しています。
「愛情」は周囲から誰かに注ぎ込まれるものというイメージを持っていることから、「蛇口から出てくるもの」に例えています。
一方、「愛情」の受け手である「心」を、「容器」に例えています。
心によって、中に入れられる物や量は違うため、大きさも形もそれぞれ。
容器は大きなバケツであったり、ポットやパレットであったりと、多様な形で蛇口からあふれるものを受け止めています。
誰の生活の中でも遭遇する問題とささやかな実感を、温かみのある陶器で表現する毛塚友梨。
その形にどんな意味が込められているのか、是非想像してみてはいかがでしょうか。
「愛 – バッグ」34.7 x 23.5 cm, 陶器(手びねり(紐づくり)、薪窯焼成)
「器7(壺)」 67 x 68.5 cm, 陶器(手びねり(紐づくり)1220度、酸化焼成)
Art Fair GINZA 2023 tagboat x MITSUKOSHI
株式会社タグボートが2023年9月2日(土)~9月11日(月)まで、東京・銀座にある銀座三越 新館7階 催物会場にて、「Art Fair GINZA tagboat x MITSUKOSHI」を開催いたします。
会場:
銀座三越 新館7階 催物会場
期間:
2023年9月2日(土)~9月11日(月)
Part1:9月2日(土)~9月6日(水)
Part2:9月8日(金)~9月11日(月)
営業時間:
午前10時~午後8時 Part1、Part2ともに最終日は午後6時まで
※9月7日(木)は催物会場はお休みとさせていただきます
※各会期初日の9月2日(土)、9月8日(金)は、エムアイカード プラス会員さま及びご招待顧客さまの優先入場とさせていただきます。
出展アーティスト:
Part1:
アンタカンタ/石井七歩/大谷太郎/大谷陽一郎/大山貴弘/小野海/片桐直樹/カネコタカナオ/Kamihasami/工藤千紘/コムロ ヨウスケ/榊貴美/シムラヒデミ/田村久美子/TARTAROS/丹治基浩/中風森滋/額賀苑子/橋本仁/林恭子/ビオレッティ・アレッサンドロ/深澤雄太/福井直子/フルフォード素馨/柳田有希子
Part2:
Aira/AKIKO KONDO/有村佳奈/池伊田リュウ/石川美奈子/今関絵美/VIKI/大城夏紀/岡村一輝/オクヤマ コタロウ/北村環/木村美帆/久木田大地/毛塚友梨/小木曽ウェイツ恭子/鈴木ひょっとこ/高橋夏代/月乃カエル/都築まゆ美/中島友太/ナカムラトヲル/廣瀬祥子/ホリグチシンゴ/三塚新司/曄田依子
毛塚友梨| Yuri Kezuka |
略歴
1984 栃木県栃木市に生まれる
2003 作新学院高等学校 卒業
2009 東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻 卒業
受賞暦など
2011 京畿世界陶磁ビエンナーレ 入選
2011 YOUNG ARTISTS JAPAN VOL.4 小暮ともこ賞、石井信賞
2012 2nd International Ceramic Triennal UNICUM 2012 入選
個展
2012 -陶 蒼い心- 毛塚友梨展(LIXIL ギャラリー ガレリアセラミカ 東京)
2012 毛塚友梨 -CONTAINTS- (Lower Akihabara. 東京)
2012 毛塚友梨 個展 「3年間」(EARTH+GALLERY 東京)
2015 現代陶芸 毛塚友梨作陶展 (東武宇都宮百貨店 栃木)
2018「鏡」(Lower Akihabara. 東京)
2020 10 years(ログズビル1F 東京)
2021「10+1years」(BLOCK HOUSE4F
主なグループ展
2009 Landscape展(Pepper’s Gallery、東京)
2010 SICF11(スパイラル、東京)
2010 第 19 回 SOSABEOL 国際芸術シンポジウム(ピョンテク、韓国)
2011 土土土工展(TURNER GALLERY 1F、東京)
2011 Blijven 展 (G671gallery、東京)
2011 京畿世界陶磁ビエンナーレ(ワールドセラミックセンター、イチョン、韓国)
2011 YOUNG ARTISTS JAPAN VOL.4(ラフォーレミュージアム六本木、東京)
2012 SICF13(スパイラル、東京)
2012 Young Art Taipei(台湾)
2012 2nd International Ceramic Triennal UNICUM 2012(マリボル、スロベニア)
2014 青島国際陶芸シンポジウムにて展示(青島、中国)
2016 第1回time crossing展-陶造形11人展(壷中居、東京)
2017 第2回time crossing展-陶造形10人展(壷中居、東京)
2018 第3回time crossing展(壷中居、東京)
2018 INDIVISUALISM / DIVIDUALISM展(tmh. & L’INTERIEUR、東京)
2019 ONE ART Taipei(The Sherwood Taipei、台北、中華民国)
2019 Art Central(CENTRAL HARBORFRONT、香港、中国)
2019 time crossing 4th exhibition(壺中居、東京)
2020 Art Fair Philippines 2020(The Link Ayala Center Makati、マニラ、フィリピン)
2020 GARDEN展(西武百貨店渋谷店 美術画廊、東京)