都築まゆ美は武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科(インテリアデザイン専攻)卒業のアーティスト。
本の装画をはじめエディトリアルを中心としたイラストレーション、ハンドメイドプロダクトFabric trophyの制作販売など幅広く活動しています。
リソグラフのシリーズはデジタルとアナログを掛け合わせた独自の手法で制作されており、黒の鉛筆によるグラデーションでモノクロの版をシアン用、イエロー用、マゼンダ用というように色ごとに分けて描き、それを版にして刷られています。作品に描かれる風景はどこか懐かしく、そして不穏さが漂います。
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都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki |
明るさの中にある陰
都築まゆ美の作品に描かれているのは、一見穏やかで明るい理想の日常風景。
しかしよく見ると、人物の虚ろな目やぎこちない表情が、かすかな違和感を呼び起こします。
明るいけれど暗い、可愛らしいのに怖い。相反する二つの要素が作品の中に散りばめられ、重なり合い、
心の中に忍び寄るような不穏な空気を生み、背後にある物語への想像を掻き立てます。
Everyday Life in the Past – 赤い車
リソグラフ・紙, 28x 28 cm, 2021
リソグラフ ・紙, 64.5x 95x 3cm, 2022
Everyday Life in the Past – Girls in front of the house
リソグラフ・紙, 28x 28 cm, 2022
アナログとデジタルの融合へ
作家が制作するリソグラフは、アナログの鉛筆画をデジタル上で版にするという特殊な方法で生み出されています。
黒の鉛筆によるグラデーションでモノクロの版をシアン用、イエロー用、マゼンダ用というように色ごとに数枚描き、それを版にして刷られているのです。
趣向を凝らしたこの制作方法による作品は、色の重なりが独特の風合いと奥行きを生み、唯一無二の存在感を放ちます。
Everyday Life in the Past – ブルーのセーター
リソグラフ・紙, 28x 28 cm, 2022
リソグラフ・紙, 35.5x 28 cm, 2022
紙・リソグラフ, 42x 29.7 cm, 2020
好きな要素を取り入れ新たな表現へ
ジャンルに関わらず、イラストレーションやアートなど幅広い領域で制作を展開してきた作家。
様々な興味を制作に柔軟に取り入れ、今のスタイルが徐々に形作られていきました。
得意としていた鉛筆デッサンに、古い印刷物の版ズレや版画の質感への憧れが組み合わさり、
誰も想像しなかった新たな表現へと展開していくのです。
Everyday Life in the Past – ビーチ
リソグラフ・紙, 28x 28 cm, 2021
Everyday Life in the Past – 子犬
リソグラフ・紙, 33x 33x 2.3cm, 2022
Everyday Life in the Past – 人形とクマのぬいぐるみ
リソグラフ・紙, 28x 28 cm, 2021
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都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki |