武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科(インテリアデザイン専攻)卒業。
本の装画をはじめエディトリアルを中心としたイラストレーション、ハンドメイドプロダクトFabric trophyの制作販売など幅広く活動中。
リソグラフのシリーズはデジタルとアナログを掛け合わせた独自の手法で制作されており、黒の鉛筆によるグラデーションでモノクロの版をシアン用、イエロー用、マゼンダ用というように色ごとに数枚描き、それを版にして刷られています。作品に描かれる風景はどこか懐かしく、そして不穏さが漂います。
都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki |
ー作品を作り始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
27〜28歳頃イラストレーターとして活動し始め、自分のスタイルを構築するために、また、何をどのように描きたいのかを追求するためにオリジナル作品を制作し始めました。
とはいえ、絵を描いたり紙や布でものを作ったりするのは子供の頃からずっと常にしていますね。
ーアーティストを目指そうと思ったきっかけはなんですか?
イラストレーションとアートの境界を行き来しながら、ずっと仕事と並行してオリジナル作品の制作を続けてきました。でも特に数年前にリソグラフに出会ったことは、よりコンセプチュアルに作品を描くようになったきっかけかと思います。
ー作風が確立するまでの経緯を教えてください。
古い印刷物の版ズレの感じや版画の質感がすごく好きだったことと、鉛筆デッサンが非常に得意だったことから、自分なりの表現を試行錯誤していく過程で、鉛筆によるモノクロのグラデーションにプリントゴッコという手軽に使える孔版印刷機で色を付けていく方法で作品を制作するようになりました。
その後プリントゴッコが製造中止となったことで色を重ねる過程をデジタルに移行し、ジークレーで仕上げる期間が長かったのですが、数年前にリソグラフという私にとって最適な印刷機に出会いました。色を刷り重ねていく版画の質感と、細密な鉛筆画を版にすることができる技術が両立していて、鮮やかなインクカラーの魅力も相まって、表現の幅が広がったと同時により深くなったと感じています。
ー作品を発表し始めたのは何時頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
装画や挿絵など文芸の分野でイラストレーターとして軌道に乗り始めた頃から育児のために6年ほど休業したので、仕事や活動を再開する時に多くの人に知っていただきたいと思い初個展を開催しました。
ーアーティストステートメントについて語ってください。
身の回りにある日常的な物事をモチーフにして、日常からこぼれ落ちる感情や記憶をカラフルに(同時にある意味ダークに)描くことで、そこに潜む非日常的なファンタジーや狂気を表現しています。
明るい色彩なのにその重なりが奥行きのある暗さを生み出していたり、可愛らしいのにどこか少し怖い佇まいの人物というような、両義的な要素を常に作品の中に取り入れています。その両義性を含んだ普通の光景が、色の重なりで形成され、重ねることで自然に生まれるほんの少しのズレの部分は、日常の中でも漫然とやり過ごすことのできない鋭く繊細な感性を示唆しているのです。
ー作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
細密な鉛筆画を複数描いてそれを版にしてリソグラフで仕上げるという、アナログ×デジタル版画の手法です。
リソグラフとは、シルクスクリーンと同じ技術を利用したデジタル孔版印刷で、海外ではアート作品制作の技法として広く認知されています。
私の場合は、1点の作品につき、鉛筆によるグラデーションでモノクロの版をシアン用、イエロー用、マゼンダ用というように色ごとに数枚描き、それを版にしてリソグラフ で刷るという珍しい方法で作品を制作しています。
ー作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
最終的な色味をイメージしながらモノクロの鉛筆画で描いていくので、リソグラフ で刷った時にイメージ通りにいかない場合は鉛筆画を描き直すところからやり直すこともあります。
ー今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
リソグラフ は印刷機の都合上、作品サイズに制限があります。これまでも様々な制約の中で試行錯誤した結果自分なりの手法を生み出してきたので、大きな作品も描きたいという気持ちに忠実に、新しいアイデアや技術を取り入れて制作していきたいと思います。
都築まゆ美 Mayumi Tsuzuki |
鉛筆画を版とするアナログ×デジタル版画の手法でリソグラフ作品を制作。
本の装画をはじめエディトリアルを中心としたイラストレーション、ハンドメイドプロダクトFabric trophyの制作販売など幅広く活動している。
武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科(インテリアデザイン専攻)卒。
・主な出展歴
WAVE2019 , 2020 , 2021, 2022 / 3331Arts Chiyoda
Bunkamura Box Gallery / 渋谷東急文化村
SCOPE ART SHOW /バーゼル・マイアミ
Affordable Art Fair/ニューヨーク・シンガポール・ロンドン
他個展、グループ展多数