主に陶器で立体作品を制作する小池正典。独特の形を持った生き物のような作品には、それぞれ詩や物語の一節のようなタイトルがつけられています。
日本は一神教ではなく八百万(やおよろず)の神があり、万物にはそれぞれ宿っている魂がある、という考え方を軸に、毎日目にする空の色や身近にある建造物などからインスピレーションを受けて制作を続けています。
日常にある言葉、物の名前、音、匂いなど、通常では記憶に残らないような目立たない存在に名前をつけるように作品を作っているのです。
日頃書き溜めている言葉やスケッチから生まれる陶器の作品には、魂が吹き込まれているようです。
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小池 正典Masanori Koike |
陶器に魂を込める
アニミズムなどの自然崇拝に制作動機が起因しているという小池正典。
経過した時間を感じられるようなもの、例えば岩に生えた苔などの自然物や遺跡など、過去を感じられるものが好きで、道端に転がるの石のような物言わぬ存在を作りたいという気持ちが大きいといいます。
時間の風化に耐えることができる素材である陶器は、作家の手によって魂の宿る生き物のように形作られます。
何気ない日常から生まれる感触
作家のインスピレーションは、毎日見る空の色や家やビルなどの建造物など日常の風景から得られます。
日常の風景、たとえば青空の下の陽気な気持ち、夕立の後の虹、北斗七星の子供など、
様々なものから着想を得て写し取る色、形、言葉をメモに残し、
作家独自の感覚で、物言わぬ存在に名前をつけるように制作しています。
想像の世界に願いをこめて
作家は幼いころから絵を描くことが好きで、欲しかった馬をよく描いていたといいます。
古代、人々が壁画を描いたように、想像の生物に願いを託して表現するのは、今も変わらない営みのひとつです。
作家は、見たことのないような新しい物を生み出す想像力は、願いとともに誰の胸の中にも眠っているはずだと感じています。
作品の作られた背景に思いを馳せると、身の周りの何気ない風景に目を向け、好奇心と創造力を膨らませることができるかもしれません。
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小池 正典Masanori Koike |
明星大学版画専攻卒業
佐賀県有田窯業大学校卒
グループ展
2013 GEISAI#18 東京都立産業貿易センター
GEISAI#18 ポイントランキング受賞者展 HidariZingaro
2016 TokyoDesignWeek
2017 タグボートインディペンデント台北
SICF18 スパイラルインディペンデント TOKYO JUNCTION BLOCK HOUSE
2018 2人展「怪獣たちのいるところ」 タグボートギャラリー
タグボートインディペンデント東京
個展
2011 「どうしてここへ そしてどこへ」 dining&gallery繭蔵
2013 「軽くて小さな日々」 Oz Zingaro カイカイキキスタジオ ポンコタンカフェ
2015 「この先のユートピア」 NANJOHOUSE
2016 「音になって宙になって何も見えなくなってしまうまで」 NANJOHOUSE
2019 「明日発掘される未来」 ギャラリーMUMON
「おはようpeopleお休みdancing」 NANJOHOUSE
受賞歴
2013 GEISAI#18ポイントランキング5位
2016 TokyoDesignWeek アート部門グランプリ
2017 タグボートインディペンデント台北 特別審査員賞
2018 ワンダーシード2018入選