石山あゆみは多摩美術大学の油画専攻を卒業後、東京藝術大学大学院にて引き続き油絵を学びました。
その制作の初期から作品の中に現れる、天使のような存在。何かのために祈っているような仕草で、悩んだり悲しんだり、人ならぬ存在というよりは、私たちに近しい感情の動きを持っているように感じさせます。
その作品の中には、どんなことが描かれているのでしょうか。
石山あゆみ Ayumi Ishiyama |
祈りの世界の天使たち
石山あゆみにとって、絵は現実の先にある夢の世界や、
そこには、人の像や、
名付けられない感情を丁寧に掬い上げる
作品のテーマとして掲げられているのは
「人間や物事が持つ葛藤や、複雑な心の揺れ動きを切り捨ててしまわないこと」です。
ひとつの物事の中に相反する感情や、矛盾する答えが共存しています。その中でも作家は、選ばなかったほうの答えも無かったことにしないで向き合い続けているのです。
日々生きていく中で整理しつくせない物事に向き合うことが、希望につながると作家は考えています。
揺らぎを物語るキャンバス
石山が独自に制作した支持体に描かれることも多い作品。
キャンバスの規格にとらわれず、あえて大きく切ったキャンバスを木枠に張らずに描くなど、
あくまで描きたいイメージに合わせて自由に作っていきます。
納得がいくまで少しずつ描き加えるという作品は、幾層も色を重ね、作品の隅々まで感情や気持ちの揺らぎを伝えてくれます。
石山あゆみ Ayumi Ishiyama |