石山あゆみは1991年福島県生まれ。多摩美術大学 美術学部絵画科油画専攻を卒業後、東京藝術大学大学院に進学。修了後、研究生を経て、一時期は活動休止していましたが、現在は作家として活動を再開しました。
石山にとっての絵は、現実の先にある夢の世界や、
そこには、人の像や、
石山あゆみ Ayumi Ishiyama |
ー絵を描き始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
小さい頃のためはっきりとした記憶ではありませんが、父や祖父が画家であったためか、家には絵や音楽や映画を楽しむ人間がいました。
そんな中で自分も楽しいものとして絵を描いており、家族の年賀状にもよく採用されていました。
ーアーティストを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?きっかけはなんですか?
本当の意味でアーティストを目指そうと決心したのは最近の事です。2019年の冬、自分はどのように生きていきていくのか?の問いに一区切りがつき、しばらくの間は東京で様々な機会に触れながら作品を作りながら暮して行こうと決めました。
2020年の秋に開催される亀山トリエンナーレ(2022年予定で延期開催予定)への参加が決まったことも後押しとなり、作品を作り続けようと思うことが出来ました。
まだ未熟な天使
ー作風が確立するまでの経緯を教えてください。
私の中では作風はまだ確立したとは言えません。
しかし学生時代に自分の個人的な悩みに取り組みながら生活していた時間や、制作の上では、縛りを設けず浮かんでくるイメージを描いて、後からその意味を考える事を繰り返していた行為に意味があったと思います。
後者に関しては、自分の単なる好みだったり個人的な体験も混ざるのでなかなか形になりませんが、それでも「気になる物を形にして考える」というやり取りが、今の制作にも繋がっています。
ー作品を発表し始めたのは何時頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
学生時代は個人的な悩みに向き合っている時間がとても長くて、グループ展にお誘いいただいて参加することはありましたがあまり活動的な方ではありませんでした。
コンスタントに作品を発表し始めたのは、2020年12月のインディペンデントTokyo以降だと思います。
それまで参加してこなかった公募やイベントに参加して、たくさんの方とお話しました。
今年の2月にオオシマファインアートさんで予定している展示もここから始まっています。
休んでいる天使
ーアーティストステートメントについて語ってください。
私の作品に共通する重要なテーマは、人間や物事が持つ葛藤や複雑な心の揺れ動きを切り捨ててしまわないことです。
一つの物事の中に、一つでない感情や答えが共にあったり、時に片方が選ばれたり、選ばれた後も自分の中ではもう一方が消えないでいたり。
前へ前へと毎日生きていくためには邪魔なことなのかもしれませんが、整理されつくせない物事が、一つ一つの営みと共に日々の生活を紡いでいて、その間に希望があるのではないかと思っています。
ー作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
現在の作品の多くは、キャンバスや板、自作の支持体に油絵具でできています。
きっかけとなるイメージは、定期的にノートにメモのような感覚で描きとめていて、実際に作品を作る前には油絵による小さなドローイングのようなものや鉛筆等でのスケッチをして、同時に下地作りを進めます。
規格のキャンバスサイズの事は一旦忘れて、大きめのキャンバスを張らずにイメージとあったサイズに描くことが多いです。
描いたり消したり、行ったり来たりしながら作っている事が多く、層を作っていけるところ、乾く間に描いたり消したりすることで少しずつ進めていけるところが、自分に合っている気がしています。
立ち止まっている人 瞳 1
ー作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
身の回りやメディアを通して、気になった出来事やイメージが取っ掛りとなることが多いのですが、最初は感覚的なので、どういう理由で気になっているのか、その事を通してどんな事を探りたいと思っているのか、整理しながら作ります。
実際に形にするにあたっては、新しい素材を試したり、使い慣れた素材であっても、取り組み方が無限にあるように思え、毎回最初の作り出しで迷っていることが多いです。
ー今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
知らないことが多いと自分では思っているので、まずは身の回りの事や関心の向くことからで良いので見識を広げていきたいと思ってきます。
そうした中で選択肢を増やしたり絞ったりして作品を進化して行きたいです。
亀山トリエンナーレという地域芸術祭で、実際に人が暮らしていた邸宅での展示を予定しているのですが、普段とは別の空間やルーツなどと向き合った大きな作品に挑戦したいと思っています。
また、最近成人を迎えた弟に油彩で描いたネクタイを渡したのですが、人の身につけるものなので身につけた時のかっこよさも意識したのですが、デザインともまた違って、そこだけの特別なイメージという面白い感覚だったので、他でも挑戦してみたいと思っています。
そして、これらをなるべく多くの人に見て頂けたら幸いです。
石山あゆみ Ayumi Ishiyama |
〈経歴〉
1991年 福島県生まれ
2015年 多摩美術大学 美術学部 絵画科 油画専攻 卒業
2017年 東京藝術大学 大学院 大学院美術研究科 絵画専攻 油画第四研究室 修了
2017年4月~2018年3月 東京藝術大学 大学院 大学院美術研究科 絵画専攻 油画第四研究室研究生
2018年8月~ 活動休止
現在 活動再開
主な展示歴
2017年
個展 第65回東京藝術大学卒業・制作修了展「小さい天使」東京藝術大学
グループ展「油画第四研究室展」東京藝術大学
アートフェア「神戸アートマルシェ2017」神戸メリケンパークオリエンタルホテル
アーティストミーツギャラリー 入選
グループ展 石山あゆみ 篠原詩織 二人展「まぶたのうら」 gallery fu
2018年
グループ展「油画研究生報告展示」東京藝術大学
グループ展「ブルースカイ・ホール」gallery fu
2020年
グループ展「ギャラリーへ行こう2020」数寄和
アートフェア「UNKNOWN ASIA 2020 ONLINE」審査員徳光健治賞 レビュアー岡田慎平 賞
アートフェア「Independent Tokyo 2020」かんの自然賞 麻生順一賞 大島義之賞
2021年
グループ展「春よ! /東日本大震災から10年」gallery fu
芸術祭「亀山トリエンナーレ」 三重県亀山市舘家(2020年より延期開催)