オクヤマコタロウは東京都出身、2021 年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業後、同大学院美術研究科絵画専攻油画技法材料に在学中の作家です。
作家はものごとがそこに在る状態をとりまく周囲や背景といった「うしろ」に抱く興味から制作を展開しています。
大学院進学以降は自身の続けてきた絵画制作という行為そのものに目を向け、「絵画」の構造や、その制作に対する自身の視点に着想を得た独創的な作品を生み出します。
オクヤマ コタロウ Cotalou |
′structure′ 絵画は絵具の積層によって顕現する
「絵画」を取り巻く複雑な状況や構造。作家はその本質をシンプルかつ大胆な方法で掬い上げ、鑑賞者の前に提示します。
structureシリーズでは、キャンバスに絵とパレットが並列に存在する状況を画中画として描き、生の絵具が人や物の図像に変容していく過程・状態を見せています。
画面にパレットを描き、その上を実際のパレットとして使用しながら制作することで、完成された図像と、制作の過程で変容した絵具という物質の対比を鮮やかに映し出しているのです。
ここでは映像のジャンルの一つである、フィクションをドキュメンタリーのように撮影するモキュメンタリーという手法を引用しており、絵画は図像(image)と物質(material)というふたつの性質から成り立っている、という作家の捉え方を端的に表したシリーズであると言えます。
キャンバスに油彩・アクリル, 30x 45 x3.5cm, 2022
キャンバスに油彩・アクリル, 45x 30 x3.5cm, 2022
綿布・油彩・アクリル, 77x 51 x4.2cm, 2022
′material′ 画材によって画材の姿を描く
紙に木炭, 100x 65 cm, 2023
紙に木炭, 65x 50 cm, 2023
紙に木炭, 100x 65 cm, 2023
′light_source′ 液晶の向こうに存在する光源
時代の変遷とともに、具象絵画の制作における参照元は写真から液晶の画面へと変化していきました。
絵画史の流れの中で今この時代に静物画を描くということについて見つめるとき、光源の存在や捉え方も変化していっているのです。
アカデミックな絵画制作の構造に切り込み、絵画が何によって成り立つのかを再認識させる作品には、
自身が絵を描くことについてストレートに見つめ直そうとする姿勢が垣間見えます。
キャンバスに油彩, 41x 41 x2cm, 2023
キャンバスに油彩・アクリル, 60.6x 91 x2.5cm, 2023
オクヤマコタロウ Cotalou |
東京都出身
2021 東京藝術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業
現在 東京藝術大学大学院 美術研究科絵画専攻油画技法材料 在学
2022 GEISAI#21 / 東京ビッグサイト / 東京
2022 ショートショート 東京藝術大学油画技法材料研究室修士課程一年展 / TURNER GALLERY / 東京
2021 Tabula / KYOK art studio-gallery / 東京
主に「絵画」の構造・制作に対する自身の視点を基にした発想を形にしています。
そのひとつとして、絵画を図像(image)と物質(material)というふたつの性質から成っていると捉え、制作を試みています。
’structure’ は、キャンバスに絵とパレットを並列に存在させて、生の絵具が人や物の図像に変容する状態や過程を提示しています。この変容の状態や過程は、具象的な絵画の当然の構造でありながら、絵画が絵の具の積層によって顕現している事を再認識させます。