オクヤマコタロウ Cotalou |
作品を作り始めたのはいつ頃ですか?きっかけはありましたか?
絵を描くことは物心つく頃にはもう好きだった気がします。グラフィックデザインを仕事にする父親の影響も大きかったと思います。
現在の制作は、大学院に進学した頃に絵の具で描く絵画という物体や自分の行為そのものを一度、改まって見つめてみようと考えたことから始まったように感じています。
アーティストを目指そうと思ったきっかけは何ですか?
はじめは、絵を描くことが他の事よりは好きで得意かなというくらいの熱量で美大を意識しはじめました。
美術史・現代美術やアートシーンみたいなものとは、美大受験へ向かう時間の中で接触していった様に思います。
structure XIV
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
正直なところ、この「オクヤマコタロウ」名義を使って発表している‘絵画について’の制作は、まだ確立しているといえる作風は無かったり、また制作体系としてもある種のドローイングに近いもののつもりで意識していたりします。
自分が‘絵画’や‘作品制作’に対して感じたものを形にしている制作で、作風や技法も動いていくと思います。
作品を発表し始めたのはいつ頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
大学入学後、学祭や進級展などの学事での発表で自作を見ていただき、徐々に外部での展示の機会に繋がっていった様に思います。
現在制作を続けている「structure」というシリーズは、企画・施工から自身も参加して行ったスタジオ兼ギャラリーのオープン記念展示で発表を始めました。場をつくる施工の過程は、シリーズの制作へ大きなフィードバックがありました。
structure ⅩⅨ
アーティストステートメントについて語ってください。
意識しているのは、今、絵画という物体をつくるという行為です。
この制作自体が、続けてきた自分自身の絵画制作という行為や、その作品自体を疑うことから始まっています。キャンバスやパネルといった‘支持体’に‘絵の具’という色材をのせていく絵画は、モノである事を強く実感します。ボディを伴った絵画は、イメージとマテリアルのふたつの性質がくっついたモノであり、それを見てもらう為にも鑑賞者の移動を要求します。
マテリアル性をもたない独立したイメージが液晶の中で常に移動し、世界中どんな場所からでもそれらにアクセスできる環境が、社会の中の視覚情報や、ビジュアルアートの前線にいる現在において、またその様な環境の中で個人を形成する時間を過ごしてきた自分が、絵具によって描かれる絵画という物体について見つめた時、考えることが制作の起点となっています。
作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
それぞれのテーマや視点を向けていることによって変わりますが、ここでは「structure」という制作の主なつくり方です。
structureは、絵の具が絵画というイメージに変容する在りようを提示しようとしています。意識としては、絵を2回描いている感じです。
はじめに、画面内にパレットや画中画のキャンバスが置かれている状況を描いていきます。画面の中で準備が整ったら、そのパレットに絵具を絞り出して、混色しながら画面の中のキャンバスに絵を描いていきます。
重視しているのは、この画中画を描く時に、あくまでその絵を独立した一枚の絵だと意識することです。パレットを使う上でも、作品の一部としての見え方を考えること無く、描く為の道具として考える様にしています。
strucuture Ⅴ
作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
この制作に限ったことでも無いと思いますが、自分の思考したことがストレートに視覚化できているかは常に気にしています。そして、とても難しいです。
過程や技法の面では、画面の中で描く絵画ではなるだけ自分に馴染んでいる捉え方や手癖みたいなものの無い、独立したひとつの絵になってほしいと考えていて、描き方や絵の具の扱いも新しいことを試したりしているのでその中で常に挑戦と苦戦があります。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
常に、その時に考えた発想や思考を素直にアウトプットする制作として取り組んでいきたいです。
現在のこの制作はドローイング的な性質を大事にして、なるだけ定まった手順や技法に留まることなく軽やかさももちながら継続していけたらと思います。
image Ⅱ
オクヤマコタロウ Cotalou |
東京都出身
2021 年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
現在 同大学院美術研究科絵画専攻油画技法材料 在学
主に「絵画」の構造や、その制作に対する自身の視点を基にした発想を形にしています。
’structure’ は、キャンバスに絵とパレットを並列に存在させて、生の絵具が人や物の図像に変容する状態や過程を提示しています。
展示 / Exhibition
2022 GEISAI#21 / 東京ビッグサイト / 東京
2022 ショートショート 東京藝術大学油画技法材料研究室修士課程一年展 / TURNER GALLERY / 東京
2021 第 69 回 東京藝術大学卒業・修了作品展 / 東京都美術館 / 東京
2021 Tabula / KYOK art studio-gallery / 東京
2020 EPIC PAINTERS Vol.7 / THE blank GALLERY / 東京
受賞 / Awards
みなかみ町長賞 ( 卒業制作)
TURNER AWARD 2020 未来賞
はたちのりんかく – 二十歳の自画像コンクール展 優秀賞