アートの仕事をするときに、これから先に重要となっていく3つのことを紹介しようと思う。
アートでビジネスをする場合に、アーティストだけでなく、販売業者、仲介業者、美術館といったすべてのプレイヤーはこれからの時代は3つすべてが重要であり、今後はその3つの組み合わせによるビジネスが求められることとなるだろう。
それは以下の通りアルファベットの頭文字の3つの「P」で表される。
・Personal
・Platform
・Project
この3つがこれからのアート市場の拡大においてもキーポイントとなり、この3つを意識したアートビジネスが次々と立ち上がっていくことが予見される。
1)Personal
作品という「商品」ではなく、アーテイストという個人のキャラクターがより重要になっていくことは間違いない。
つまり、「個」の時代が本格化するということだ。
さらに展覧会をキュレーションする人やギャラリーのオーナーだけでなく、そこで働く個々人もクローズアップされていくだろう。
個性と個性のぶつかりはより強くなり、SNSの全盛時代になってより強化されていくこととなる。
つまり誰が選んだ作品なのか、選ばれた作品は誰が作っているのか、ということがより分かりやすくダイレクトに購入者に伝わることとなる。
さらには購入者であるコレクター個人にも光が当たり、誰が買ったのかというということも重要となる。
こういう個々の活動や発言・発信する内容というものがより強い意味を持つようになり、それまで作品の良し悪しや好き嫌いだけで購入されていたアートの判断基準が変容していくということだ。
組織や団体で戦っていた時代から、具体的に「誰」が率いる組織なのか、そこにいる個々人がどのような人であるかがよりクローズアップされる時代になるということだ。
この流れに逆らうことはすでに難しく、個人名が埋没される時代からPersonalが力を生む時代へと変遷するのだ。
2)Platform
我々が日常で生活するうえで必要なインフラとして、Google、Amazon、Twitter、Facebookなどを利用しているが、これらの株式時価総額の高い巨大IT企業のほとんどがプラットフォーム事業である。
圧倒的な利用しやすさと集客力で他の追随を許さなくなっているプラットフォームであるが、今後は新興企業の新たなイノベーションでプラットフォームの入れ替えるもありえるだろう。
アート業界もギャラリーや美術館でのリアルでの展示だけではなくて、ネットによるプラットフォームで作品を見せたり販売することが普通になってきた。
特に写真をメインとしたSNSであるInstagramは、世界の不特定多数の人に作品を見てもらえる機会があることから、ある種のプラットフォームになりつつある。
今後もネットを中心としたプラットフォーム競争は拡大を続けるであろうし、多くの人がプラットフォームなしにはビジネスが成り立ちにくくなるだろう。
3)Project
ギャラリーで展覧会を続けていくことの意味は重要だが、一方でプロジェクト単位でイベントを開催することは増えていくだろう。
都心で広い展示スペースを確保することは難しく、ギャラリー内の展示だけでは常に十分な集客が見込めない今となっては、常に新しいプロジェクトを立ち上げる機動力が重要となる。
マンネリでは人を惹きつけることはできなくなり、新しい企画を起こし続けることができる力が求められるのだ。
タグボートは常設のギャラリーを銀座の阪急メンズ東京に持っているが、取り扱いアーティスト全てをそこで展示することは難しく、常にプロジェクト単位でイベントを開催することが求められる。
今年3月でのアートフェア東京との二大アートフェアとして開催されるタグボートアートフェアのほか、百貨店の催事場を貸し切った形でのアートフェアも複数予定されており、今年はプロジェクトがてんこ盛りで企画されている。
アートをより多くの方に見てもらうためには、プロジェクトをやり続けることはマストなのだ。
3月に始まる二大アートフェア
さて、アートフェア東京と同時期の3月11-13日の東京はタグボートアートフェアも入れてアート一色の3日間となる。
昨年タグボートは日本初の単独ギャラリーによるアートフェアを開催したが、今年は更に規模を2倍に拡大しての開催だ。
2フロア3060平方メートル 、111名の取り扱い作家の個展となる。
タグボート取り扱い作家111名以上によるアートフェアはオンラインでも販売
出展するタグボートの取り扱い作家111名には、それぞれ個展サイズのブースが提供される。
選ばれたアーティストの渾身の作品約2,000点が一堂に会し、それぞれの個展は現地でもオンラインでも買える。
今年3月はアート東京とタグボートアートフェアによる2大アートフェアの競演となるので、ぜひ期待していただきたい。
■開催概要
2022.3.11 (金) ~ 2022.3.13 (日) ※11日はプレビュー