国内マーケットに満足していると、すべてが中途半端に終わる。
これは多くのアーティストやクリエイターに共通する課題だ。
国内と海外の市場に大きな差がある時期には、自然と海外マーケットを意識する。
しかし、その差が縮まり、国内での成功が見えてくると、多くの人が国内に留まる傾向が強くなる。しかし、これは非常に危険な選択だ。
音楽マーケットを例に挙げると、1970年代から1980年代にかけて、海外の音源のクオリティは日本のそれをはるかに凌駕していた。
そのため、日本の歌謡曲文化と海外のMTVロックとの差は歴然としていた。
しかし、90年代以降、日本の音楽クオリティは飛躍的に向上し、国内市場は繁栄した。
この成功が逆にタコツボ化を引き起こしている。現在では、若年層が聞く音楽の90%以上が邦楽であり、海外の音楽はシェアを失いつつある。
映画市場も同様の傾向を見せている。
1990年代から2010年代にかけては洋画が優勢であったが、近年では邦画の市場シェアが拡大している。
一見すると、これは国内のカルチャーが成熟している証拠のように見えるが、実際には市場が閉鎖的になり、海外進出の機会を逃していることを示している。
このような状況は、海外から見ると日本市場が矮小化しているように映る。
日本の音楽や映画が近年積極的に海外に出て行っていないことは、国内マーケットのみに満足していることの表れである。このままでは、今が国内だけで満足できる最後の世代となるかもしれない。
さらに、減り続ける人口と高齢化は、国内市場の縮小を加速させる要因となっている。
過度なコロナ対策により、外部とのコミュニケーションが遮断された結果、婚姻数の低下が出産数の低下につながり、予想以上に早く人口減少と高齢化が進行している。
これにより、アート、音楽、映画などのカルチャー市場はさらに小さくなり、パイの取り合いが熾烈になることは避けられない。
過当競争の中で、多くのアーティストが生計を立てることが難しくなるだろう。
では、国内のタコツボ化から脱出して海外展開するにはどうしたらよいだろうか。
国内での成功事例を海外に持ち込む必要があるだろう。
まずは、国内市場での需要を把握し、そこで勝つための方法を確立することが重要である。
国内での勝ちパターンを知っていると、それを海外で試し、問題点を修正するというトライ&エラーを繰り返すことができる。
しかし、勝ちパターンが確立されていない状態で海外に出ても、何をすべきか分からず、時間を無駄にしてしまうだけである。
これからの時代は世界のマーケットを意識した活動を行うことが、今後の成功の鍵となる。
従い、すべての作品に関するテキストは事前に英語で作成しておく必要がある。
幸いなことに、現在では翻訳アプリやAIが充実しており、英語のテキスト作成に困ることはほとんどない。問題は、覚悟を決めて取り組むかどうかにかかっている。
海外の市場は国内よりもはるかに大きく、可能性は無限大である。
もちろん、デリバリー方法や配送コストなどの課題も存在する。
しかしながら、日本人アーティストの作品はクオリティから考えると欧米はもとより中国人作家よりも圧倒的に割安であり、これらのコストを含めても十分に競争力があるのだ。
国内市場に満足することなく、積極的に海外市場を目指すことが、今後のアーティストやクリエイターにとっては非常に重要である。
国内での成功を基盤に、海外での挑戦を続けることで、新たな可能性が広がり、より多くの人々に作品を届けることができるのだ。
国内外での成功を目指し、これからの活動に取り組んでいく覚悟を持つことが求められる。