タグボートが当時親会社であった株式会社エムアウトからMBOによる事業譲渡を受けてから10年が経過しました。
会社を設立してから10年以上継続するのは10%を切ると言われておりますので、国内景気がよくない中でここまで会社を継続できたことについて皆さまに感謝したいと思います。
さて、タグボートにはtagboat wayという独自の企業理念があり、その中に以下のような言葉があります。
強いものや賢いものよりも、変化に柔軟なものが生き残る
つまり、資金力とか優秀な人材を抱えているというのは会社として強みにはなりますが、環境の変化に耐えていくには柔軟性というものが最も重要であると考えています。
恐竜やマンモスのような生物が絶滅したのは環境の変化についていけなかったためであり、強くて巨大なことは会社を継続させることにおいてメリットとは言えません。
現在のように経済環境が大きく変化する状況においては、現状のビジネスモデルを捨ててでも果敢に新しいものにチャレンジしていけるような大胆さと柔軟性が必要です。
人間は一度の成功体験があればそのやり方に固執しがちですが、今の世の中のスピードでは3年もすればその成功例は「オワコン」となりえます。
常に新規ビジネスを追っているくらいがちょうどよく、現状のビジネスモデルに満足していては変化に対して柔軟に対応できなくなってしまうでしょう。
アートビジネスにおいても状況は同じであり、一般的に顧客の年齢層がやや高めということもあって事業主側が変化に気づきにくい傾向にあります。
ネット環境の変化が進み、ECサイトから何でも買えるような時代においては、アートをネットで購入することは当たり前になっております。
以前あるギャラリーのオーナーから「本物を見ずしてアートをネットで買う人なんかいるの?」と言われたこともありましたが、そのギャラリーはいまもう跡形もありません。
また、アーティストのプロモーション方法についても、DMハガキを送ったり、美術雑誌に広告を掲載するという時代も終わり、SNSとYoutube動画の時代となりました。
しかしながら、現状ではこのようなプロモーションに対応できているギャラリーはほとんどありません。
またアーティストがクラウドファンディングを利用して資金を作ることについても、それをよしとしないギャラリーもあるそうです。
理由を聞くと、クラウドファンディングの仕組みを理解できていないか、理解しようともしないことが原因のようです。
柔軟性については、ギャラリーだけでなくアーティストにおいても重要です。
売れない作品をずっと続けて制作することは、趣味であれば問題ないのですが、プロを目指すアーティストの行為ではありません。
「今は売れないけどいつかは売れる」というのはゴッホの時代であり、情報化社会においては「今売れなければ一生売れない」というのが現実です。
従い、タグボートも変化に柔軟なアーティストをなるべく取り扱うように心がけております。
現在人気のあるアーティストも、時代の趨勢によって自身の作風を変えることができなければすぐに飽きられてしまいます。
もちろん時代の変化とは関係ない作品を作れればそれに越したことはありません。
しかしながら、時代を超越した価値を作るということは名を歴史に残すということです。アーティストにとっては並大抵のことではないので、変化に対応して作品を作るほうが勝てる可能性は高いでしょう。
タグボートの事業理念は、規模の拡大を目指しておらず、変化に柔軟に対応できる先見性と俊敏性を持つこととしています。
すでに起きている未来の萌芽を見つけて早めに対処することと、変化が起きたときにすでに次の新しいビジネスを始める準備ができているかどうかで差がついてくると思われます。
天変地異、病原菌など予想をはるかに超えることが起こると、人々は正気を失い経済活動が停滞することもあります。こういう事態に備えるためにも、十分な柔軟性をギャラリーやアーティストは持っているべきなのです。