リッチマン・フィニアン、ももえ、岡村一輝。異なる背景とスタイルを持つ3人のアーティストが集う展覧会「PLAY GROUND」。
このタイトルには、単なる遊び場以上の深い意味が込められている。
漫画とアニメに育まれたリッチマン・フィニアン
日英のハーフであるリッチマン・フィニアンは子どもの頃、日本の漫画やアニメの世界に夢中だった。
テレビの前で時間を忘れ、手にしたマンガのページをめくりながら、彼はヒーローたちと一緒に冒険をしていた。
「漫画は僕にとってもう一つの世界だったんです。そこには、孤独や不安を乗り越えるヒーローたちがいました。」
彼の絵には、バロック絵画のドラマチックな光と影の表現と、アニメ特有のくっきりとした輪郭線が同居している。
例えば、立体的に見えるマチエールも、近づくとすべてが平らに描かれているというトリック。
このギャップは、まるで3D映画をメガネを外して見たときのような不思議な感覚だ。
サプライズを仕掛けるももえの世界
一方、ももえはギャラリーを遊園地みたいに使うアーティストだ。
展示の中には、観る人をびっくりさせる仕掛けがたくさんあって、まるで次は何が起こるのかドキドキしながら進む遊園地のアトラクションみたいだ。
「人は驚かされると、本当の自分が出ちゃうんです。だから私は、観る人にびっくりしてもらいたいんです。」
ももえの作品はカラフルでポップなのに、その中にちょっと怖いメッセージが隠されている。
たとえば、かわいらしいキャラクターが実は不気味な影を落としていたり、楽しい音楽の裏に不協和音が忍び込んでいたり。
まるでお菓子の家だと思って入ったら、魔女が待っていたおとぎ話みたいだ。
夢と現実が混ざる岡村一輝
岡村一輝の描く風景は、どこかで見たことがあるような気がするけれど、実は見たことがない場所だ。懐かしいけど知らない、不思議な気持ちになる。
「風景は、昔の記憶と今の気持ちが混ざったものなんです。」
彼の絵の中には、子どものころに見た夏祭りの夜のような、少し暗くて、それでいて光がキラキラしている場面がある。
でも、よく見るとそこにあるはずのないものが描かれている。お面をかぶった狐や、道端でしゃがむ見知らぬ影。
まるで夢から覚めたときに、「あれは何だったんだろう?」と思うような不思議さだ。
「PLAY GROUND」に込められた意味
3人のアーティストが描く世界は、どれも現実と夢が入り混じった遊び場だ。
漫画やアニメが好きだった子ども時代、サプライズだらけの遊園地、夢みたいな風景。どれも、ちょっと現実から逃げたいときにふらっと行ける場所みたいだ。
「PLAY GROUND」というタイトルには、ただ楽しいだけじゃない意味がある。
そこには、楽しいけれどどこか寂しい感じや、ちょっと怖いけど見たくなっちゃう不思議な世界が広がっている。
リッチマン・フィニアン、ももえ、岡村一輝の3人が作り出す遊び場は、観る人を現実とは違う旅に連れて行ってくれる。
この展示は、3人のアーティストが作る不思議な「遊び場」に遊びに行けるチャンスだ。ぜひ、その世界を体験してみてほしい。
2025年3月14日(金) ~ 4月5日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日3月14日(金)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:3月14日(金)18:00-20:00
※3月20日(木)は祝日のため休廊となります。
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F