さて、タグボートの海外戦略であるが、販売を念頭に置いてはいるが、それよりもアーティストの作品をどれだけの人に見てもらえるかが重要だ。
と同時にこれからの成長性が高いマーケットを狙っていかなければならない。
そうなると、狙うべきマーケットはアジアであり、当然中国ということになる。
まずタグボートの基本方針としてはアートフェアへの出展は考えていない。
日本のギャラリーは海外に向けた販促をアートフェアに絞っているところが多いが、実際には複数回出展することでようやく地元の人に顔を覚えてもらえるのであり、一回出展したぐらいでは著名なギャラリーに優良顧客を全部持っていかれるのがオチだ。
アートフェアはある意味でギャラリーが競争する場であり、そこは顧客をとりあっている弱肉強食の世界だ。
そのような場所で生き残るためには、作品の良しあしもあるが、実は勝負けは出展する前の段階でほぼ決まっており、十分なプロモーションがされていなければ、よいコレクターに見てもらえないのだ。
多くのギャラリーが出展するアートフェアは見本市なのである意味でごった煮状態であり、メガギャラリーによる目立った展示以外で頭角を現すのはかなりの労力が必要となる。
そのような労力をかけてうまくいけばよいのだが、競争が苦手なタグボートとしては別の手段をとりたい。
また、アートフェアはあくまでブース出展なので複数のアーティストの作品を出品することになり、そこでは各アーティストの世界感を感じてもらうにはスペースが狭すぎるのだ。
そこでタグボートは基本的には美術館での展示を考えている。
美術館または同等クラスのスペースを全館貸し切りで1-2カ月の展示をするということだ。
中国の場合は国土が広大で人口も多いので、各都市を巡回して展示したほうが効率がよいだろう。
さて、その施策の一部をオンラインサロンの会員だけに公開するのだが、タグボートは今年、10月17-20日に台北でタグボート取り扱いアーティスト26名による展覧会を開催する。
時期は台湾最大のアートフェアART TAIPEIと同時期であり、しかも展示会場はART TAIPEIが開催される世貿中心の真上だ。
その後は12月2-7日にニューヨークで12人ほどの展覧会だ。
場所はマンハッタンの北側にあるWhite Box。NY屈指のアートスペースで、200㎡の広さだ。
アート・ディレクターJuan Puntes を中心に、国際的に活躍する複数のキュレーターによる企画展示が開催されている。
この二つの展覧会は会期も短くタグボートとしては海外戦略の初期段階であるが、来年以降は中国の美術館での展示が目白押しだ。
成都、上海、広州など大都市の美術館での展示が続く。
それぞれ全館貸し切りで2カ月ほどの展示となる予定だ。
もちろんその間に台北での展覧会を2つほどこなしながら、同時に国内では銀座の阪急メンズ東京で個展、グループ展を毎月開催していく。
Independent Tokyoは来年は規模を2倍にして会場は1500㎡を超えるスペースをすでに予約済みだ。
300人のアーティストが集まるイベントとして、そのコミュニティ機能はますます高まるだろう。
タグボートは「オンラインギャラリー」のイメージだけから脱却し、銀座のギャラリー運営、海外展示、アーティストのコミュニティの形成まで幅広く事業を拡大していきたいと考えている。
さらに2021年の計画については、次回のコラムにてさらに説明したいと思う。