タグボートは、これまでのべ20,000人を超えるお客様にアートを購入して頂いている。
従い、どのようなお客様が過去にどの作品を買っているかの全てのデータがそろっている。
その中には優良コレクターも数多くいらして、彼らがどのような買い方をしていたかを垣間見ることができるのだ。
我々がこれまで得た優良コレクターの購入情報から、最短でアート購入の達人になるために気を付けておくべきことを前回のコラムに引き続き説明していきたいと思う。
その中でも、どこからアートを買えばよいのかは重要なことのひとつである。
購入ギャラリーを選別する
国内で約300軒、東京だけで150軒を超えるコマーシャルギャラリーがある。
その中で、どのギャラリーから買えばよいかを見つけるのは非常に難しいことである。
そもそもギャラリーにこだわらずに、作品が気に入ればどこから買ってもよいのだが、購入後の資産価値を気にするのであればそうはいかない。
購入後に失敗したくないのであれば、ある程度ギャラリー選びは慎重にすべきだ。
さて、必ず資産価値が上がる作品のみ売っているギャラリーなどは全国どこを探してもない。
しかし、ギャラリー側が資産価値を上げようと努力をしているかどうかを見極めるのは重要だ。
特に、ギャラリーが購入した作品のセカンダリーについてどう考えているかというところに気を付けなければならない。
ギャラリーの考え方が「売り切り」である場合は注意しなければならない。
つまり売った後のケアを考えていないギャラリーだ。
アーティストの成長を考えているギャラリーであれば、長年にわたってアーティストとの関係を続けていくので、その間にアーティストの付加価値を上げるために展示のやり方やプロモーションを強化していく。
だからこそ販売価格を少しずつ上げていくことができるのだ。
顧客が購入後に再度そのギャラリー経由で販売できたりと、セカンダリーとして販売することにどこまで気をかけているか、ということが重要だ。
顧客にも儲けてもらおうと考えるギャラリーから買うことがひとつの目安となる。
もう一つ、アーティストからの評判というのは重要だ。
見かけ上は派手にやっていても、実はアーティストへの支払いが遅いところは要注意だ。
遅いだけならまだしも、支払いをせずにほっといているギャラリーの噂は後を絶たない。
普通の会社なら支払い遅延の噂が倒産へと繋がるのだが、アーティストが声高に訴えないことをよしとして画料を払わないギャラリーがあるのは事実だ。
表立ってはなかなか手に入りにくい情報であるが、アーティストからの口コミによる評判は伝わりやすいので、支払いが遅いギャラリーから買うのだけは絶対に避けたほうがよいだろう。
以上のように、購入したい作品の取り扱いギャラリーが、購入後もセカンダリーとしての販売をしてくれて、その時は購入時よりも高い価格で販売してくれれば購入者はリスクを軽減できるだろう。
購入したギャラリーが継続してアーティストのプロモーションに力をいれていれば、セカンダリー作品が売れる確率は高いだろうし、オークションに出品しても高値で落札できる可能性がある。
そういった購入後のことまでケアしているギャラリーで、且つアーティストからの評判に問題がないギャラリーを選べば安心して購入できるだろう。
どのアートフェアに出展していたかといった過去の略歴よりも、ギャラリーとしての姿勢をチェックすることのほうが購入した作品を長期的に保有する上では重要と言えるだろう。
既視感のあるアート作品は避ける
他にはない唯一無二のアートが資産価値として伸びることは紛れもない事実である。
それは制作方法、技法、モチーフ選び、コンセプト、展示方法など様々な部分において、これまで見たことのない初めての作品は美術史に残る可能性が高くなる。
とは言え、世界中のアート作品を隈なく見てきたプロならともかく、一般の方でコレクター歴が浅い人にとっては、それが唯一無二であるかどうかを判断することは難しい。
実際にはかなりのプロでも、「完全に」唯一無二であることは判定できないし、手探りで斬新性を見極めているのである。
これはある種の訓練的なものと感性に依存するのであるが、アドバイスするとすれば、「既視感のあるアートは避ける」の一点に尽きる。
どこかで見たことがあると感じるならば購入はあきらめて、初めて見る作品と感じれば買うという判断だ。
最初はその判断での成功確率は低いかもしれないが、実践を積むこと成功率を上げることはできるだろう。
こればかりは1年程度でマスターできるものではないが、コレクションの最初の時点で既視感があるものを避けるという早めの知識の蓄積が役に立つことは間違いない。
以上、アート購入の達人となるための最短コースとして実践すべきことを述べた。
お役に立ってもらえればありがたい限りである。