フランスで誕生した「アンデパンダン」
このようなアカデミー主体の保守的な展覧会に対抗する形で、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックらが中心となって1884年にアンデパンダン協会を設立し、アンデパンダン展という美術展が開催される様になったのである。
アマチュアにとっては、展示する機会が増えるので制作意欲にもつながり、斬新過ぎてアカデミーでは受け入れられなかった画家にとっては新たなムーブメントを起こしやすくなる母体だったのだ。
Independentの精神を引き継ぐ
上述のように、アーティストがプロアマ問わず、様々な作品を展示できることがアンデパンダンの精神であったはずであるが、日本にてその名前は「公募団体」などで残っている。
国内には日展、二科展、院展といった美術の公募団体が200以上もあり、国立新美術館と東京都美術館では1年中、毎日のように公募団体展が開催されている。
いわゆる「画壇」と呼ばれるものを形成しているの公募団体に所属する作家である。
公募団体では入選を何度か重ねれば会員に推挙され、さらに出世して理事、理事長にまで上りつめて文化勲章を受けるのが最終ゴールとなっている。
団体の会員はピラミッド構造となっており、出世するには芸術性よりも政治力や協調性や師弟関係がものをいうのだという。
従って、新しい創造や実験的な試みは育ちにくくなっており、まさに日本の高齢化社会の縮図に近いと言っていいだろう。
このような団体に属さずに、インディペンデントに活動する現代アートの作家を支援することがIndependent Tokyoのコンセプトであり、そのコンセプトは継続することに意味があるのだ。
おそらく、公募団体もその出発点では高邁な理想を掲げる革新的な在野組織だったのだろう。
しかしながら、時が経つにつれ理想は形骸化し、在野精神も薄れて保守的・権威的になっていったと思われる。その歴史と安定感において公募団体展は大衆的な人気を得ているものの、もはやそこからアートの革新は望めそうにないのは事実である。
アーティストを長期視点で支援する
Independent Tokyoでは、毎年出展するアーティストのトレンドを定点観測のように観察することができる。
出展しているアーティスト達の作品の傾向、個別のキャラクター、技術力といった変化をイベント内で一気に見て、感じとるができる。
例えば、出展作家のレベルは毎年少しずつ上がっていることは間違いない。
ここ最近は募集希望者が多く集まるようになって、すぐ締め切りとなっている。本気でプロを目指すアーティストがそれだけ増えているということだ。
他の公募などと比べて、アートの市場にさらされることになるし、多くのギャラリーからの評価を直に受けることができる、多くの来場者に販売するチャンスがあるからだろう。
一方、出展作家が少しおとなしめになっているのは気になるところだ。
コロナ禍前までは、台湾から来る出展作家が全体の10%ほどいたのだが、それが減少したことと、強烈なキャラで積極的にアピールするアーティストが少なくなったこともあるのかもしれない。
そういった中で、今年はお笑い芸人のとろサーモン・久保田が本気で出展されていることは注目するところだ。
昨年、本人から「アートで世界を獲りにいきたい」という心意気を聞いて、Independent Tokyoの出展を薦めたのだが、とにかく意気込みが半端ないのだ。
2017年にM-1グランプリでチャンピオンとなっただけあって、ある領域でトップを獲ったことがある人間はアートでの戦い方も非凡なものになるだろう。
いずれにしてもIndependent Tokyoに出展している作家は、売れたとか、賞を獲ったとかではなくて、どうしたら市場で戦えるのかを試す場としてこの場所を有益に使ってほしいと思っている。
プロを目指す作家にとっては、マーケットにさらされる経験を詰むことが大事であり、そのためにIndependent Tokyoがあるのだ。
来場者もIndependent Tokyoをそのような俯瞰的な目線で楽しむのもよいかもしれない。
Independent Tokyo 2023
【日程】
2023/8/5(土)11:00~19:00
2023/8/6(日)11:00~18:00
【会場】
東京ポートシティ竹芝 3F 東京都立産業貿易センター浜松町館
(浜松町駅)
【公式サイト】
https://www.tagboat.com/artevent/independenttokyo2023/exhibition.php
『ご招待券お申込み受付中 』
2日間の入場(通常¥1,000)が無料になるご招待券のお申込みを受付けております。
この機会に下記フォームより是非お申込みくださいませ。
▼ご招待券のお申込みはこちら
タグボート代表の徳光健治による二冊目の著書「現代アート投資の教科書」を販売中。Amazonでの購入はこちら