変わりつつある業界地図
3月9日から有楽町の東京国際フォーラムで「アートフェア東京」のプレビューが始まる。
暖かくなってくるこの時期からアートフェアなどのイベントが一気に増えていくこととなる。
つい先週末(3月4日、5日)には京都で「ARTISTS’ FAIR KYOTO」というアーティストが主体となるアートフェアが開催されたばかりだ。
アートフェアはコロナ禍での規制で縮小ぎみであったが、ようやくここに来て本格的に復活し始めたというところだろう。
アートフェア東京が終わると、今度は3月22-25日にアジア最大のアートフェアであるArt Basel Hong Kongが開催され、3年ぶりにコロナ関連の制限が一切撤廃される予定だ。
次に5月12-14日は台湾でTaipei Dangdaiが開催され、7月6-9日は横浜パシフィコでTokyo Gendaiという新しい国際的アートフェアが開催されるほか、Frieze Seoulが9月6-9日と次々に開催されることになる。
これによって、アートフェア東京を除いた上記4つのフェアのように欧米主体の運営組織によるアートフェアがアジア全体に浸透してきている。
それとは対照的に、アジアでもっとも歴史がある台湾のArt Taipei(10月20-23日)はローカル色が強くなり、2002年から続くKIAFという韓国最大手のアートフェアの名前は消えてFrieze Seoulとの共同運営となった。
どちらも各国のギャラリー協会が運営組織であるアートフェアが欧米主体のグローバルなアートフェアに押されるような形でその動きに巻き込まれる構図となっている。
このように東アジアのアートフェアが春から夏に集中的に開催されていることを受け、タグボートは4月14-16日に自社主催のtagboat Art Fairを開催する予定だ。
ポートシティ竹芝の2フロア(3,060㎡)を使った巨大なアートイベントとなる予定である。
昨年はアートフェア東京と同時期に開催して二大アートフェアとしたが、今年は時期を1か月ほどずらして単独開催することとなったので期待していただきたい。
グローバルな流れとローカルの流れ
グローバルなアートマーケットの流れは欧米のメガギャラリー中心に作られており、そこでは1000万円を超えるアートが積極的に売買される世界がある。
メガギャラリーはあらゆるマーケットを覆いつくすように各地のアートフェアに出展し、現地でのシェアをじりじりと広げている。
日本のプロ野球選手が米国の大リーグに行くようなもので、各ギャラリーはより大きなマーケットに向けて次の階段を登るようにグローバルなアートフェアを目指すようになってきている。
そうなると、ローカルから始まったアートフェアがバーゼルやフリーズといった国際的なアートフェアの2軍のようなイメージになってしまうかもしれないという危惧がある。
そうなるとローカルなアートフェアは現地のアートファンを増やし、まだ価格が安いうちから若いアーティストを購入する市場へと変わらざるをえないだろう。
そこでは、これまで以上に顧客にとって買いやすい仕組みが重要となっていくことになるだろう。
会場に行けない顧客に対しより門戸を広げた対応が求められることから、オンライン購入などはそのメインストリームになる可能性があるのだ。
顧客の利便性の追求がアートフェアの将来を決める
そもそもアートフェアというものはアートの見本市という意味合いで、各地に散らばるギャラリーの作品を一堂に見て買える機会が得られるということから、コレクターにとっても合理的かつ効果的な売買の場であった。
実際には、よくあるプロモーションとしての見本市ではなくて、行商のように集まってくるギャラリーがその場を売買のメインとすることがアートの世界では多いのだ。
特に日本のギャラリーは国内でのマーケットが小さいため、より大きなマーケットを目指して海外のアートフェアに出展しているところが少なくない。
出展したギャラリーの中では顧客獲得の競争が始まり、次にはアートフェア同士での格式競争やブランディングが出現することとなった。
顧客はよりブランディングの高い作品を求める一方で、すでに評価が決まった作品を買うことに興味を失い始めている人も増えている。
そこで我々タグボートは、これから成長著しく海外の国際的なアートフェアで活躍する可能性のあるアーティストを初期の段階から取り扱うことを目的にアートフェアを開催している。
タグボートがこれまで数万人のアーティストを見てきた実績と経験から、厳選したアーティストのみが出展するアートフェアだ。
将来の巨匠を探すキュレーションされたアートフェアという意味では、世界でも唯一無二の規模であり、しかもオンラインで購入できるというメリットを十分味わっていただきたいと思っている。
「tagboat Art Fair」
2023年4月14日(金)13:00-19:00 プレビュー
2023年4月15日(土)11:00-19:00 パブリックビューイング
2023年4月16日(日)11:00-16:00 パブリックビューイング
〒105-7501
東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝
東京都立産業貿易センター 浜松町館 2F,3F
https://www.tagboat.com/artevent/tagboatartfair2023/
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