アーティストの見つけ方のコラムも今回で3回目。
1回目は我々のようなギャラリーがアーティストを見つける方法、2回目はコレクターが買うべきアーティストを見つける方法について述べた。
3回目はアーティストがプロとしてやっていくために、どのようにすれば「見つかるアーティストになれるのか」について考えてみよう。
アーティストは制作するだけの時代は終わった
最近感じることとして、アーティストとして活動していても、それが世間に見つからないのは存在していないのと同じであるということだ。
せっかくよい作品を作っていても、それを世の中に認知してもらわなければ売れることはないのでプロとして活動する意味はなく、趣味の延長でしかない。
プロのアーティストとして活躍しようと思えば、できるだけ自らの作品を見てもらうためにプロモーションが必要であることは言うまでもない。
コマーシャルギャラリーに所属していれば、プロモーションをギャラリー側がやってくれるのだが、その程度もギャラリーによって大きく違うと思ってよいだろう。
作品が完売になるまできちんと販促をしてくれるギャラリーであればよいのだが、そのようなギャラリーは残念ながらまだ日本では少ない。
ギャラリー側がSNSで投稿するだけではさほど集客は望めないし、広告宣伝によるプロモーションをしっかりやってくれるところでないと、「無料で展示をしてくれる貸しギャラリー」のような状態になってしまう。
つまり、展示は出来ても売上が望めないのだ。
ギャラリーの持つプロモーション力が頼りなければ、その穴を埋めるために作家自らがプロモーションせざるを得ないだろうし、実際に作家が主体となって新しい顧客を見つけている場合も多い。
活用すべきメディア
広報活動だけでは十分でない場合、広告宣伝費を払ってプロモーションをすることになるが、それも簡単ではない。
特に日本の場合は、海外と比較すると美術メディアが脆弱なので、よほどのアートファンでなければアートに関する情報は美術メディアを通して滅多に入ってこない状況である。
従い、既存の美術メディアの広告に期待することはせずに、SNSを駆使してセルフプロモーションをするほうが費用対効果の面でよいと思われる。
しかしながら、SNSは知り合いやコミュニティによるネットワークが主体なので、アーティスト個人がある程度有名でない場合にはSNSだけのプロモーションにも限界があるのだ。
SNSは「認知」にはよいが「人気」には遠い
SNSの中でも特にInstagramは、個人の知り合いやコミュニティだけではなく、ハッシュタグをつけることで世界中のアートファンに作品を見てもらうことができるので、認知度を上げることには最強のツールだと言ってよいだろう。
だからこそ多くのアーティストがInstagramを活用していることは間違いない事実ではあるが、Instagram上で作品を多く見てもらえても、作品の購入までつなげていくのは実はハードルが高い。
2,3万円くらいの安価な作品であれば、インテリアのひとつのような形でInstagram上のやり取りで売買が成立しても、10万円以上の作品となると認知だけではなく「ファン」の数を増やさなければならない。
そのためには、リアルの場所で作品を直に見てもらう必要があるし、できれば来場者との直接のコミュニケーションがあるほうがよいだろう。
直接作品を見てもらう場所を作ることは、認知されるアーティストから人気の高いアーティストへと変えていく重要なポイントである。
アートイベントに参加する
作家が一つのギャラリーで個展やグループ展をする場合のプロモーションに限界を感じる場合に、参加するアーティストの数の力を活用したイベントに参加する方法がある。
タグボートが主催するIndependent Tokyoは約200名のアーティストが参加するアートイベントなので、 参加者みんなの力で多くの顧客に来てもらえるというメリットがある。
一人一人の集客力はそれほどでなくても、多くのアーティストの集合力で全体としての来場者を増やすことが可能なのだ。
来場者は時間をかけてそれぞれの各アーティストの作品を見ることができるので、このようなアートフェア形式のイベントは一人ではプロモーション力の足りない部分を補完することができる。
このようにIndependent Tokyoは、審査員がアーティストをスカウトする場所であり、コレクターが新しい才能を発揮する場所であるとともに、多くのアーティストが結託することで作品を見てもらう機会を増やす場所でもあるのだ。
Independent Tokyo概要
https://www.tagboat.com/artevent/independenttokyo2022/index.php
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