アートは部屋に飾るためだけに買うものではありません。
部屋を彩りのよいものにしたり、有名なアート作品を飾ることでそれを人に見せたりすることも購入の目的のひとつとしてあるかもしれませんが、現代アートの場合は部屋の装飾だけを目的とするのは少しもったいない気がします。
どちらかというと、アート作品のコンセプトが気にいってる人、買うことが作家支援につながるとして買っている人、どうせ買うなら資産的な価値を生む作品を、と選んでいる人が増えております。
資産的な価値のアートについては、その作品を売ったあとに、さらにその資金で今後成長しそうな作家の作品を買いたいと思っている人も多いようです。
一方で個人の好みとは関係なく「情報」でアートを買う人もいます。
ギャラリーの完売情報やオークションでの値上がり情報を把握して、資産拡大の手段としてアートを買う人です。
上記のように、アートは装飾品、嗜好品、エンターテインメント、資産といった様々な側面を持っています。
従い、購入者はそれぞれの目的に沿った形で購入すればよいのだと思います。
例えば、購入した作品を未来永劫売ることがなければ、資産としてのアートを気にする必要はまったくありません。
自分の感性に合う作品だけを買えばよいので、さほど難しくはありません。
とにかく自分が気に入った作品が見つかって予算内であれば買えばよいのです。
一方で、資産としての側面を意識して買う場合にはそうはいきません。
ここで必要なのは「情報」となります。
ギャラリーでの売れ行き情報やオークションハウスでの値上がりといった生の情報をもとに作品を買う30代の方が増えています。
例えば、そういったコレクターは五木田智央や名和晃平のような、ポスト村上、奈良を担うアーティストの作品がセカンダリー市場でも活況という情報が流れればすぐに購入に走ります。
最近では福岡出身のイラストレーターのKYNEや、ZOZO前澤氏がコレクションしている井田幸昌といったアーティストが国内のオークションで価格が急騰していますので、なるべくそれを買おうとする人が増えるでしょう。
また、ニューヨーク在住で先日の情熱大陸に出演した松山智一や、台湾や香港をはじめ人気拡大している小松美羽の作品が高騰しているといった情報を逃さないのも彼らのような情報で購入しているコレクターです。
作品の上がり時というのを判断して早めに購入しているという彼らですが、そのような情報をもとにした購入者が最近の日本のアートマーケットの一部を形成しているのは事実でしょう。
このようなブルーチップ的なアーティストはある程度資金的に余裕があれば買うこともできますし、長期的にみると資産価値が上がる可能性が高いと思われます。
実際にギャラリーの展覧会や海外でのアートフェアにも積極的に足を運び、ギャラリーのオーナーとも顔馴染みになることで優先的に作品を購入できる権利を得る必要があるのは事実です。
しかしながら、そこまで時間とお金をかけて情報を追いかけるコレクターは増えてはいますが、さほど多くはありません。
もう少し現実的に、少ない軍資金を使って効率的にアートを買うことを考えてみたいと思います。
タグボートは、これからのコレクター候補が「ほしいアートを見つける方法」について、数回に分けてわかりやすくご教示したいと思います。
特にコロナショックを受けて国内外でのアートフェアが軒並み中止となっている状況では、オンラインビューイングという形で出品予定であった作品をウェブに掲載して販売するという動きが最近始まっています。
今回を機会に、これまでリアルの場でしか作品を購入したことのないコレクター層もオンラインでアートを買うことにも慣れるでしょうし、オンラインとオフラインを並行してアートフェアを開催することも当たり前となってくるでしょう。
インターネットを活用したアートのマーケットを拡大を狙う業者がECプラットフォームを目指して参入が増えることは間違いありません。
そのような中でタグボートはどのようにアーティストを選べばよいのかを以下の7つのカテゴリーで見ていきながら、特にタグボートの取り扱いアーティストの中で明らかにしていきたいと思います。
1.作家の世代による年齢分け
2.ギャラリーでの個展・グループ展経験
3.超絶技巧的な技術の有無
4.コンセプトのユニークさ
5.ファッション、デザインとのコラボレーションの可能性
6.長期的にプロモーションをかけているか
7.海外での滞在、レジデンスの経験。展示経験など