日本のアート市場にも勝機は十分にある
このような状況の中で、日本のアート市場の未来をどのように見るべきだろうか。
高齢化大国への道をまっしぐらに走り、老人にとって平和な政治が選択されている日本は平均年齢が世界一高いとはいうものの、若い世代もまだいるし、その中で我々が出来ることを見出さなければならない。
アートにおいても、ファインアートとイラストレーターとの違いを定義として語るのは評論家に任せるとして、その棲み分けはすでに意味をなくしている。
世の中は個人の勝手な思い込みが集まってマーケットが出来上がっている。
その間違った事実が大衆に認識された時点でバブルが崩壊するのだ。
平成バブルの時の「土地は下がらない」という土地神話しかり、著名なアーティストの作品を買っておけば下がらないという神話も同じように危険であろう。
アート市場の拡大は、必ずしも既存のギャラリーや美術館、アーティストの価値観に依存するものではなく、新しい価値観や消費スタイルの創出によってもたらされるものである。
若者や新たな消費者層がアートに求める価値は、従来の価値観とは異なるかもしれない。彼らがアートにアクセスしやすい環境を整えることが、市場の拡大へとつながる。
例えば、デジタルアートによって牽引される若年層の需要、アート作品を気軽に楽しめる環境作りなどが考えられる。これらの新しいアプローチによって、アート市場はそのポテンシャルを拡大し、新しい消費層を引き込むことができるだろう。
未来のアート市場は、単に物を売るのではなく、体験や価値を提供する市場へと進化する必要がある。
その過程で、アートというものの本質的な価値が再評価され、より多くの人々にとって身近で価値あるものへと変わっていくのである。このような変化は、アート市場だけでなく、日本経済全体にとっても新たな成長機会をもたらす可能性があるだろう。