タグボートは有望な若手アーティストを新しく見つける仕事をしています。
それは単発的ではなくて、常に探し回っているという感じです。
我々の活動は美大の卒展、展覧会、アートフェアに行ってなるべく多くの作品を目にすることで新しい芽を発見するだけではありません。
例えば、先日開催されたタグボートアワードやIndependent などのように、アーティストの登竜門としてのイベントをタグボート自ら主宰することで新しい才能を見つけようとしています。
またウェブサイトを通してオンラインによるポートフォリオ審査も行っております。
このような形でアーティストの発掘を行ってはいますが、実際にはそうそう素晴らしい才能に出会えるものではありません。
というのはアーティストの中で自ら積極的にアピールしている方はさほど多くないので、才能のあるアーティストは世の中に埋没しており、その才能に出会えるチャンスは限られているからです。
さて、アートの世界で頭角を現すというのは非常に難しいことです。
というのはアートの世界で戦うときには決められたルールというものがないからです。
スポーツであれば競技するときにきちんとしたルールがありますし、ビジネスにおいてもルールを前提として取引がなされるのが普通です。
しかしながら、アートの場合は作品を評価するルールが特に決まっていないので、その評価は鑑賞者に委ねられます。
アート作品を評価するのに、コンセプトの斬新さとか美術史の文脈に乗っているかを重要な指針とする場合もありますが、鑑賞する時点ではそれを気にする人は多くありません。
アートはあくまで鑑賞者の嗜好に左右されるものであり、それを土台としてコンセプトや文脈といった情報が付加されることになります。
つまり実質的には鑑賞者の共感を多く得られた作品が高い評価を得るということになりますので、ある意味で美人投票と同じようなことになります。
そうすると一部の熱狂者に支持されるエッジの効いた作品が評価されにくくなりますので、要注意です。世の中を動かしていく作家はそのような作家だからです。
だからこそ誰もがよいと感じる作家だけでなく、今まで見たこともない表現をする作家にはタグボートは興味を持ちます。
我々がアーティストを発掘する場合において、実際に購入するコレクターの嗜好というものを意識して作品を探します。
多くのギャラリーがするアーティスト選定についてはギャラリスト個人の嗜好が強く反映されますが、タグボートはオンラインならでは特徴として個人の嗜好を強く出さずに、顧客であるコレクターの嗜好を代弁する形で作品の多様性を重視しております。
コレクターには様々なタイプがいますので、彼らの嗜好に対応できるようにしなければなりません。
その上ではウェブで展開できる作品数は無限ですので、なるべく多種多彩な才能を紹介できるということです。
このように多様性を見せておりますが、写実や美人画についてはタグボートは取り扱いの範疇からあえて外しております。
それは写実や美人画というものが旧来型の技術に重きをおいた表現方法であり、世界の現代アートの潮流からは外れたものであるからです。
従い、どんなに上手い写実を描く作家でもタグボートで取り扱いとすることはありません。
一方で、作品だけでなくアーティストのもつキャラクターをも重視しているのがタグボートの特徴です。
取り扱いアーティストを選ぶときには必ずオフィスに来てもらい、その作家の個性をじっくり聞いたうえで今後永くコミュニケーションしていけるかどうかを判断しています。
やはり面白いのはオタク系、情熱系といった人たちでコミュニケーションの上手い下手に関係なく独特のキャラクターを持っている作家は貴重です。
そのような作家と出会って、一緒に新しい日本のアートシーンを作っていきたいと思っています。
そう思うとマーケット創造には作家の持つ力は大きく、タグボートのできることは限られておりますので、彼らの才能をどこまで活かすかが我々の進む道だと信じて本日も面白い作家を探してまいります。