現代アートというのは、Contemporary art の日本語訳であり、そもそもはその時代を反映させたアートのことを言う。
したがって、従来の技法での風景画、人物画といった作品はコンテンポラリーアートとは言い難い。
ただし、日本では現在生きている作家が何らかのコンセプトを持って作品を作っている場合、それらをすべて現代アートと呼ぶことが多い。
そういった言葉の解釈の問題はひとまず置いといて、その時々によって時代背景を反映した作品を作っているアーティストをタグボートの取り扱い作家の中から紹介していきたいと思う。
現在のメディアと表現の自由度
昨今のニュースを騒がしているように、芸能の世界でも世間の倫理観の変化に対応しなければ生きていくのが難しい時代になってきた。
彼らは芸能の仕事だけでなく、プライベートにも強い倫理観を持つことが強要され、世間がそれを監視する時代なのだ。
今は、自由な表現をしようとすれば、そこに倫理的な問題を指摘する一般人が、「けしからん」だの「子供に悪い影響が」とか言い出してしまう。
それが世の常だと言ってしまえば元も子もないのだが。一般人の少数意見をそのまま受け入れて、メディア側が表現に対して許容が低い状態を作ることは、文化の停滞をもたらしてしまう可能性があるのだ。
中国はかつて、文化大革命によって統制された思想を自国のメディアで流布しようとしたが、その結果としてアートは文化として育成されず、伝統文化の破壊と学術活動の長期停滞をもたらすことになった。
天安門事件後にようやく現代アートの萌芽が始まったのであり、中国における芸術文化は60-70年代の時期がぽっかり空いている。
さすがに中国はかなり典型的な例ではあるが、日本はいまだにメディアが世論を動かす時代であり、一部の人たちは思想がコントロールされている。
昨今のゴシップ雑誌や低俗なワイドショーによって簡単に煽られてしまう情報弱者の層が一定数いるのは事実である。
メディアが視聴率や販売数といった目先の数字を追うあまりに、エンタテインメントとしての価値を無視してしまうのと同じようなことが、アート界にも起こりうることを我々は警戒しなければならない。
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