先週のコラムからの続きとなるが、アーティストのキャリア支援としてタグボートは様々な施策を提供している。
順を追って説明すると、①ポートフォリオレビュー、②タグボートアワード、③Independent Tokyoの3つだ。
さて、最初の ポートフォリオレビューというサービスはアーティストであれば誰でも作品集をタグボートに提出して、無料で講評してもらえるものである。
アーティストはウェブサイトのフォームからPDF形式の作品集を送ると、タグボートが独自の基準から審査し、ポートフォリオに関するレビューを添えて結果を連絡している。
もちろんその中で有望なアーティストにはタグボートから声をかけてギャラリーで面談をすることもある。
審査は以下の4点のポイントを見ており、それぞれの視点からのレビューを個別に返信している。
・基本的な技術があり、作品のクオリティーが高いか
・コンセプトに独自性や新しさがあり、作品を通して表現できているか
・表現力やイメージ力が豊かであるか
・将来性が感じられるか
2つ目のアーティスト支援であるタグボートアワードは、公募である。
ポートフォリオレビューは通年で行っているが、タグボートアワードは年に一回公募のイベントとして開催しているものだ。
著名なギャラリストやコレクター、美術家を審査員として迎え、入選者のグループ展を開催している。さらに、グループ展の中で海外の展覧会に出展できるアーティストを選出しているのだ。
昨年は台湾、今年は上海とアジアでもアートマーケットが盛んな場所を選び出し、その中で作品を見せているのが特徴だ。
選出されたアーティストはその後にタグボートが取り扱い作家として選ぶこともあり、長年にわたってアーティストを支援している。
3つ目のIndependent Tokyoは、アーティストを主体としたブース形式のアートフェアだ。
今年東京藝大美術館で初めて開催された「東京インディペンデント」という展覧会とは名前は似ているものの、コンセプトや取り組み方が大きく違うため同じようなイベントであると誤解されないよう、今回あらためて内容を明記しておきたい。
タグボートが主宰するIndependent Tokyoはきちんと木工パネル付きのブースで仕切っており、アーティストの個々の世界感を見せることを目的としている。
今回28名のギャラリスト審査員が個別に審査をして彼らの取り扱いアーティストを探す場となっているほか、出展アーティストはその場所で来場者向けに作品販売をすることができる。
しかも審査で選ばれたアーティストはニューヨークなど海外のギャラリーで展示もできる特典もあるのだ。
つまり、Independent Tokyoは一貫して作家のキャリアを考えたイベントであり、一過性のカオスな展示に終わるイベントとは違うのだ。
今年もIndependent Tokyoは8月17日と18日の両日にわたって開催されるのだが国内外合わせて151組のアーティストが出展している。
28名のギャラリストとの真剣勝負はアーティストのキャリアにとって重要だ。
一般来場者としても、どの審査員がどのアーティストを気に入ったかは彼らが貼った「いいね!シール」によってチェックできるので、プロの目から見た作品の良しあしを観察した後で購入することもできる。
また来場者自らも29番目の審査員として「オーディエンス賞」の投票ができるのも魅力だ。
このようにタグボートはウェブサイトだけでなく、リアルなイベントを介してアーティストを応援している。
もちろんその中で才能のある有望なアーティストの取り扱いを増やして作品を販売しているのだ。
来週末にはイベントが東京の浅草橋にあるヒューリックホールで開催されるので、まずはこれらのアーティストが頑張って展示する作品を見てほしい。
さらには展示するアーティストの中から将来の巨匠となる才能の原石を見つけてほしいのだ。