タグボートの事業ミッションとして、最も大切なこととは「アートで食べていけるアーティストの数を増やすこと」です。
弊社のtagboat wayに書かれている様々なことはアートで食べていける作家の数を増やすというミッションを実現するための考え方の元となるものです。
そのtagboat wayの中で、タグボートが事業運営をする上で大切なこととしているひとつに
アーティストの世界観を多くの人に共感させるため誰でも分かりやすく伝える
というのがあります。本日はこのことについてお話をしたいと思います。
さて、アーティストの持つ世界観を理解してもらうというのは簡単なことではございません。
現在はアーティストの作る作品はもちろんのこと、そのコンセプトが重要となっています。
見た目だけで作品を評価する時代はすでに終わっており、なぜその作品を作ったのかというコンセプトが共感をよび、心の琴線に触れて、人々を唸らせることが高い評価を受けるようになっております。
このような変化を感じ取れない画廊は、相も変わらず写実絵画や美人画を取り扱っておりますが、そのような技術だけに頼った作品は世界のトレンドではすでに終焉を迎えていることに気がついたほうがよいかもしれません。
それはさておき、作品を一目見るだけで作家の伝えたいことがすぐに理解できることは理想ではありますが、最近のアートはそこまで単純化できないことのほうが多いです。
パッと見は何だか分かりにくい作品でも、一言説明を加えることで作品のコンセプトが明確になり作家の世界観が理解できることが望まれます。
つまり、難解な図形問題に補助線を引くようなものです。
補助線となる説明を入れることで、その世界観が共有され、人々の心の琴線に触れるものとなっていくのです。
しかしながら、実際目にする作品のコンセプトは作家の説明だけでは意味不明なものが少なくありません。
ことばの使い方もあるのでしょうが、アーティストが書いた作品のコンセプトを読んで腹にすっと落ちることはあまりありません。
アーティストと顔を合わせてじっくり話を聞くと、「ああ、なるほど」とはなるのですが、そこまで時間をかけないと理解されない作品は通常の人にとってはわけのわからないものなのです。
また、何とか理解はできたとしても、そのコンセプトが人々の共感を呼ぶものでなければ、購入に至ることはありません。
つまり、アーティストは自分自身の世界観を持ち、それを表現するために作品づくりをしても、それをどう伝えるかについては完全に素人なのです。
にも関わらず、アーティストが書いたコンセプトを分かりにくいまま作品説明に載せているギャラリーが実は多いことにびっくりします。
我々ギャラリーの役目は、アーティストのもつ世界観をなるべく多くの人々に伝えて世の中の共感をよぶことです。
そこで重要なポイントは、アーティストの世界観を誰でも理解できる文面まで落とし込みという作業が必要となります。
イメージとしては小学校6年生の子供が読んでも理解できるくらいまで使う単語や表現を工夫するということです。
というのは、世の中の一般の方が美術史を理解しているわけでもないし、いかにもな外来語でいっぱいの表現では頭の中に記憶として残らないからです。
思わず難しい表現を使ってしまう学芸員や美大出身者が陥りやすい落とし穴に入らないよう、我々は気をつけてアーティストの世界観を伝えていかなければなりません。
さらに重要なことは、なるべく多くの方に伝えるということと、共感できるようにするということです。
ギャラリーなどの展示スペースに来られる人に口頭で説明するだけでは多くの方に伝えることにはなりません。
ウェブサイト、メルマガ、SNS、動画などあらゆるメディアを通してアーティストの世界観を広く伝えるのです。また、伝える人が共感する内容でなければ興味を持ってもらえないので、どのように表現するかは個別にアーティストと協議することになるかもしれません。
アーティストが作ることがプロでありますが、伝えることには慣れていません。
彼らの世界観の伝道師としての役割こそがギャラリーの仕事であると我々は考えております。