映画制作には、人件費、セット、撮影機材、編集、音楽といった様々な要素に多額のお金が必要である。
もちろん、作った映画のプロモーションにもかなりの費用がかかる。そして、これだけの投資をしても作品がヒットするかどうかはわからない。そのリスクがあるからこそ、最近ではすでにヒットした小説やマンガを原作とした映画や、「~2」のような続編が多く制作されているのだ。
今の市場が読みにくい状況では、企業もリスクを取りにくくなりがちだし、これは仕方ないことではあるが、その結果として、斬新なアイデアやクリエイティブな才能が初期段階でつぶされることがしばしばある。
音楽業界も似たような状況で、楽曲の制作には多大な時間と費用がかかる。さらに、その楽曲を演奏する会場の設備やプロモーションにも多額の投資が必要である。
リスクを軽減するために、音楽事務所はYouTubeやTikTokで再生回数が多いアーティストを積極的にスカウトすることがある。音楽プロデューサーは、自分の直感よりもすでに市場で成功している曲のデータを重視することが多いのが昨今の流れだ。
しかし、これでは真の意味での創造性を発揮して新しいものを生み出すことは難しくなる。大衆向けにデザインされた音楽が主流となり、時代を先取りする大手音楽事務所の数は減少するだろう。
これからのアーティストに必要な資金の集め方
さて、アートの世界でも、映画や音楽ほどではないにせよ、作品の制作や展示にある程度の初期投資が必要である。
資金不足を理由に制作費を削減するのは短絡的な思考であるし、見るからに狭苦しいスペースで小さな作品ばかり制作していると、世の中で評価されるような大作は作れない。
そういうアーティストばかりになると市場は縮小する一方である。
アーティストには、大胆な構想と世界観を形にするための資金が必要であり、そのためにはクラウドファンディングのような手段を通じて、支援を求めることも一つの方法である。
またはプロデュースするギャラリー側が制作資金の一部を負担することもある。
信じてくれる人々からの支援を得ることができれば、アーティストは経済的に自立し、持続可能なキャリアを築くことができるのだ。
このように、アーティストも事業会社と同様に、経済的な投資とその回収を考えながら活動する必要がある。
アートという情熱だけではなく、ビジネスとしての視点も持ち合わせることが、持続可能なキャリアへの鍵となるのである。