20年の軌跡と奇跡
タグボートが2003年10月に日本で最初の現代アートのオンラインギャラリーとしてスタートしてから20年が経った。
これまで販売した作品数は25,000点を超える。
この20年の間に多くのオンラインギャラリーが生まれては消えていった。
タグボートがここまでやってこれたことは奇跡のようなものだろう。
この間には、リーマンショックを起源としたアート作品の暴落など様々なアート市場の変化が起きた。
しかし、そういう中でも一環として、アート市場全体におけるオンライン販売のシェアは上がってきている。
一方、これまでオンラインでアートを売ることを否定する人が少なからずいたことは否定できない。
実物を見ずにアートを買うなんてありえないと言う人が当時はいて、確かにごもっともな話ではある。
PCや携帯の狭小画面から見る世界は、実物のアートとは似てるように見えるが、迫力や素材感などは画像からでは知ることができないからだ。
しかしながら、そういった問題を当然理解した上で、我々はアートをオンラインで売ってきたのだ。
オンラインでアートを売るメリットを熟知する
アートをオンラインで売る場合のメリットは多い。
特に、プライマリー作品を売るギャラリーがオンラインを利用する場合は、販売だけではなく、アーティストのプロモーションやプロデュースに利用できるからだ。
多くの作品の選択肢から選んでもらえる、アーカイブを作れる、拡散できる、顧客との距離を縮める、といった様々な利点を顧客に提供することが可能だ。
端的に言うと、アートにおけるオンラインの強みというのは、「情報のスピード」、「情報の拡散」、「情報の蓄積」の3つを同時に進めることができることにある。
つまり、SNSなどで瞬時に情報を投稿・提供できる(スピード)、ネットからネットへバズることで一気に広がる(拡散)、いつでも整理された過去のアーカイブを参照できる(蓄積)、ということはネットなしには実現不可能なのだ。
もちろん、上記のオンラインだけではアート作品の魅力を顧客に十分に理解してもらうことはできない。
そこで、タグボートがオンラインに加えてリアルイベントを開催する理由は以下の2点である。
1)バーチャルだけでは作品の持つ魅力は伝わらない
2)作品だけでなく作家のキャラクターも重要
まだまだ日本のオンラインギャラリーで、個別の作家のプロデュースまで関わっている業者は少ない。
オンラインはあくまで顧客への販売チャネルを増やす手段のひとつであり、展示の代替になるとは考えられていないからだ。
タグボートはネットを国内で最も活用しているコマーシャル・ギャラリーであり、我々は自身を「オンライン・プラットフォーム」と名乗ることは微塵も考えていない
この20年で培ってきたことは、オンラインを通じたプロモーションのノウハウと蓄積である。
それは、リアルを補完するための手段であり、代替するものではないのだ。
タグボートは、6年前にオフィス内に小さなギャラリースペースを展開したことに始まり、現在では150名の取り扱いアーティストの作品3,000点以上を、自社ギャラリー、アートフェアなどのリアルのスペースで展示販売している。
アートというものはオンラインだけで完結できるものではなく、リアルでの展示に力を注ぐことで作家・作品をエンパワーメントできることを、これまで事業を続けてきたことによって証明したのである。
さて、この20年の節目の年である2023年10月-12月は立て続けにオンラインによるイベントを行う予定である。
まずその第一弾として、10月23日~31日にかけてこのタグボートを応援して頂いた皆様に向けて全作品を対象とした「感謝祭」を開催する予定である。
21年目は、まだまだ成し遂げれてないことに向けて、新たなスタートを切りたいと思う。もっともっと面白いことをやるので、ご期待頂きたい。
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