3月15日から銀座にある阪急メンズ東京の7階にギャラリーを移転することとなった。
今回は阪急メンズ東京が2011年10月の開業以来初の大規模なリニューアルということで、その中身は完全に「攻め」の恰好だ。
従来のスーツ売り場が縮小し、男のこだわりやカルチャー発信の要素を強めている。
高級なものを身にまとうだけでなくライフスタイルそのものに文化度の高いものを求めていることが店舗に入った瞬間に分かる。
その中で、阪急メンズ東京のリニューアルの目玉となるのが7階のビンテージ&リバイバルのエリアだ。
ここに来ると阪急メンズ東京の本気度がわかる。
通常百貨店は古着を取り扱うことはないのだが、ここではビンテージものの古着を多く取り扱っているし、こだわりの家具やレコードショップ、バーバー(理容)などが店を構える。
関西ではトップブランドの阪急であるが、東京では伊勢丹、三越の後塵を拝していることで戦い方を完全に変えてきている。
百貨店同士の競争を回避し、男性のライフスタイル向上を目指して、ほかの業種や店舗との競合へとシフトしているのだ。
さて、実際に阪急メンズ東京に店を出しての感想であるが、
一言でいうと「これまでとは来ている客の質が変わった」ということだ。
タグボートのオフィスのある人形町付近には歩いてない人たちがそこに来ている。
地下鉄の銀座駅から直結している足回りの良さと、有楽町マリオンという街のシンボル的な分かりやすさが気軽に来れる客を呼ぶのだろう。
また、銀座という地名が住所にあっても一等地にあるかどうかの違いは大きいと感じた。
大通りとそこから一歩入ったところとはやはり違うのだ。
YahooニュースのTOPとそれ以外の地方ニュースくらいの違いはあるだろう。
海外から多くの観光客が訪れることも銀座の大きな特長だ。
東京に来る外国人の大半がここ銀座に消費を目的として来ている。
しかも来ている人は30歳以上の男性でそろいもそろって流行に敏感なおしゃれな人が多い。
襟を正して接しなければならないと強く感じた。
さて、とはいえすべてが順風満帆ということではない。
店舗を持ってすぐに感じたことであるが、いかにオンラインで販売するほうが効率的であるか、ということをあらためて認識することにもなった。
タグボートにとっては、ネットの側にいるほうが居心地がよく、ウェブでのアクションが結果としてどうつながっていくのかが予想できるのだが、実店舗はそうはいかない。
スマホやPCの狭い画面の中で起こっていることと、ギャラリーで体験することとは別次元だ。
だからこそオンラインでは出会えない人とここで出会うことができるし、それがここにギャラリーをオープンした目的だ。
ここで人と接するときの感情をいかにオンラインに取り入れるかが今後の課題だ。
こけら落としの展覧会は杉田陽平の個展となった。
4月18日まで土日祝休みなしで開催される。
今回の杉田陽平は、作品に使われる画材をどのように使うかについて徹底的に研究した意欲作が並ぶ展示となっている。
また、タグボートは通常の月1回の展覧会に加えて、VRアートという新しいカテゴリーを常設することとした。
VR(=バーチャルリアリティー)は現在は特にゲームの世界での進展が著しい。
しかし、アートという範疇でVR作品を制作する人がまだ少なく、これからは自分でプログラミングをするというよりもその世界観をアーティストが作り、別の人がプログラミンするようなことが増えていくだろう。
VRをゲームの世界だけにしておくのは本当にもったいないことだ。
タグボートでのVRアートの反応はすこぶるよく、映像アート作品が多くなる中でVRは没入感のある作品としての面白さが受けているようだ。
まだ始まったばかりの銀座進出であるが、独立系のギャラリーが百貨店に出展するのは初の試みである。
ここを通常のギャラリーとして運営することはあまり考えておらず、オンラインギャラリーとのゲートウェイとして、またオムニチャネルとして購入者がどこでもアートと触れることのできるショーケースとしての意味合いもある。
実店舗とオンラインギャラリーの2つのチャネルを結合することで、どの販売ルートからも同じように作品を購入できるマルチチャネル体制を構築するのが最終的な狙いである。
今後の動きに注目していただきたい。
プレスリリース: タグボートが銀座・阪急メンズ東京にギャラリーをオープン