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森を焼いて、未来をつくる
ヒョーゴコーイチの作品は、「焼く」ことから始まる。
木を燃やすのではない。じっくり、ゆっくり、何日もかけて炭にするのだ。まるで、木に新しい命を吹き込むように。
ヒョーゴコーイチが使うのは、ヒノキという香りのよい木。
炭にするにはあまり向いていないと言われる木材だが、彼はこのヒノキに惚れ込んだ。
焼き上がったヒノキの炭は、ほかの木では出せない、深くて静かな黒をまとっている。
栃木県の山あいに移り住んだのも、このヒノキを自分の手で選び、特別な炭窯で焼いてもらうためである。
都会の喧騒を離れ、自然と近くで暮らす決意をした。炭を作ること、それ自体がすでに「作品づくり」の一部になっている。
木は焼かれることで、ただの素材からアートの種へと変わる。
その姿はまるで、火の試練をくぐり抜けたあとの勇者のようだ。表面に入ったひび割れも、焦げ跡も、すべてが自然が描いた模様である。
炭の黒は、闇ではなく光だった
炭といえば、私たちはバーベキューの道具や暖をとるための燃料を思い浮かべるかもしれない。
けれど、ヒョーゴコーイチの手にかかると、それはまったく別の存在になる。
炭は黒い。でも、その黒さはただ暗いのではなく、よく見ると光を吸い込み、また跳ね返す。
角度を変えてみると、黒が銀に、灰に、ほんのり青にさえ見えることがある。
どうしてそんなに輝くのか。
実は炭というのは、ダイヤモンドの親戚なのだ。どちらも「炭素」からできている。
違うのは、原子の並び方。まるで、同じ言葉を違う順番で並べると詩になるか日記になるかが変わるように、炭も並びが変われば性質も変わる。
ヒョーゴコーイチは、この炭をナイフやヤスリでじっくりと磨いていく。
すると、表面がなめらかになり、光を受けて不思議な輝きを放つようになる。
その手触りは、まるで絹のようにやわらかい。
こうして生まれた彫刻は、人工的なデザインではない。
ひとつひとつが、木の個性と、焼かれたときの偶然、そして作家の意志が混ざり合ってできている。まさに、「自然と人間の合作」である。
炭の彫刻が語りかけてくること
ヒョーゴコーイチの作品がすごいのは、ただ「きれい」なだけではないところだ。
彼が目指しているのは、炭を「現代アート」の素材として成立させること。これまで見過ごされてきた炭という存在に、光を当てようとしている。
炭の黒は、無のようにも見える。でも、その黒の奥には、たくさんの問いかけが詰まっている。
「人は自然とどう関わっていくべきか?」「破壊と再生はどうつながっているのか?」そんな問いを、作品は静かに語りかけてくる。
最近では、複数の炭を組み合わせて磨くという手法も取り入れている。
そうすることで、木ごとの個性や光の反射が複雑にからみ合い、より豊かな表情が生まれる。
炭たちはまるで、宇宙の中で軌道を描いて動く星々のように、作品の中で互いに光を放ちあっている。
アートは、ときに難しく感じられる。でも、ヒョーゴコーイチの作品はちがう。
ただ「黒い彫刻」としてではなく、「なぜ黒いのか」「どうしてこんなに光るのか」と想像をめぐらせたくなる。そして見れば見るほど、じわじわと心をつかまれてしまう。
もしあなたが、自然の力と人の手が生んだ「黒の奇跡」に心を奪われたなら、ぜひ一度、ヒョーゴコーイチの作品をそばに置いてみてほしい。
日々の光が変わるたびに、炭の彫刻もまた新しい顔を見せてくれるはずだ。
Schedule
Public View
4/19 (sat) 11:00 – 19:00
4/20 (sun) 11:00 – 17:00
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