タグボートは2月10日より現在の人形町のオフィスから徒歩2分の地に新しくギャラリーをオープンすることとなった。
阪急メンズ東京のギャラリーに加えて、これで2軒目のギャラリーが誕生することとなる。
新ギャラリーの大きさは幅10メートル×奥行10メートルで、天井高が5メートルの空間となっている。
現在のオフィスも同じ場所に移転してギャラリー併設となる予定だ。
今回の新ギャラリー開設によって、これまで実現が難しかったあらゆるサイズの作品の展示や大規模なインスタレーションが可能となった。
ギャラリーには販売する機能以外に作品をいかに魅力的に見せるかという機能があり、タグボートとしてはその部分を重視していく予定だ。
さて、日本のギャラリー空間は古くて狭いビルの一室を使ったものが多いので天井が低いという特色がある。
ニューヨークのソーホーやチェルシーにあるギャラリーは元々が倉庫だったところを改装したものなので、天井が高い。高い天井は大きな作品を展示できるだけでなく、展示を広く見せるというダブルの効果があるので、海外のギャラリーでは当たり前の条件となっている。
天王洲にある寺田倉庫のギャラリーも比較的天井は高いほうであるが、それでも3.5メートルくらいである。
新ギャラリーの5メートルの天井高のスペースのもつ魅力を十分活かすために、今回の杮落しの展覧会では三塚新司と小野海の二人展を開催する。
三塚新司は岡本太郎賞で岡本敏子賞を獲得した「slapstick」という6.5メートルの巨大バナナの作品を展示し、小野海は2.7メートルのPrismシリーズの立体作品を展示する予定である。
【プレスリリースの内容はこちら】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000042448.html
≪現在施工作業中ゆえに写真はスケルトンの状態≫
人形町という日本橋にある街の持つ可能性
最近の東京における新規アートギャラリーは原宿、天王洲などで開設することが増えている。
原宿はイラストなどの典型的な日本のポップアートのギャラリーが多く、天王洲は寺田倉庫が用意するギャラリースペースへの入居者が増えている状況だ。
一方、タグボートは現在もオフィスがある人形町の地にこだわることにした。これで人形町はかれこれ13年となった。
人形町にこだわる理由は東京駅に近く、下町があり、老舗があり、美味しいグルメが楽しめる場所があるからだ。
東京の中心地にありながら観光目的として来ている人が少ないこの地ではあるが、我々は潜在的な可能性を強く感じている。
近くの馬喰町にも現代アートのギャラリーは点在するように増えており、人形町界隈はアートの街へと近づきつつあるからだ。
ニューヨークを例にとるとソーホー、チェルシーといった計400軒を超えるギャラリー地区に共通するのは、都心に近いこと、以前は倉庫街であったこと、である。
ソーホーは縫製工場や繊維製品の倉庫があったところで、チェルシーは食肉倉庫があった場所である。
それを考えると、馬喰町は今でも繊維問屋が多く集まっているところであり、その繊維問屋が廃業となったときにマンション以外でカフェやギャラリーなどが増えてることもあり、ソーホーやチェルシーに環境としては最も近いのだ。
東京駅まで歩けば20分で行ける距離ゆえに、観光客がタクシーですぐに来れるという利点もある。
そのような地の利がある場所ではあるが、いかんせんファッションを中心とした商業施設が少ないため、現在は若い層が集まる街からはほど遠いイメージの状況である。
タグボートとしてはこの新しいギャラリーを旗艦として、人形町をアートの街へと変貌させていくことを企んでいる。
時間はかかるかもしれないが、人形町にオフィスを置いたのが2010年なので2030年までの20年を集大成として、界隈をアートの地として作り上げるよう周囲との協力を仰ぎながら着々と進めていきたいと思う。