アートの街は実現するのか
よくアートによる町おこしについて質問をされることがある。
確かにビエンナーレ、トリエンナーレといったアートイベントを定期的に開催している地方都市はあるが、それを起爆剤として町が活性化したという話は聞いたことがない。
見に来る観光目的の来場者が一時的に増えても、見るだけで終わるイベントはその後の経済的な活況につながりにくいということだ。
イベントに参加する人がいることはそれはそれで有難い限りであるが、観光で来ているのでイベントがない期間は閑古鳥が鳴くこととなる。
一方で、アートを購入される方というのはある程度金銭的に余裕のある人であり、そういう人が町にお金を落とす仕組みがないと一度きりで完結してしまうイベントではお祭り騒ぎだけに終わってしまうのだ。
つまり、アートによる町おこしは見に来る人だけではなく、その地で購入するコレクターが増えないと町としての活性化は難しいと考えてよいだろう。
買うことを目的とした場合には鑑賞の仕方も真剣になるし、コレクターが増えればそれを目的としたアーティストの移住者も増えていくからだ。
そこで注目されるのが「アートフェア」というプラットフォームである。
アートフェアには外から買いに来る来場者もいるが、地元のコレクター層が増えることにメリットがある。
最初はアートに興味がなかった人でも、アートフェアで最初にアートを買い、その後も継続してアートに興味を持ってもらうことで長期的に地元の経済に貢献していくからだ。
さて、アートフェアで重要なのは現代アートに特化した若者向けのフェアであることと、開催地には一定の商圏人口が必要だということだ。
アートのコレクターになりえる母数が少なければ、アートの街としては成立しない。
また、アートフェアを起爆剤として年に数回開催される街として定着すればなおよいだろう。
そうすれば、その街にギャラリーが増えていくことにも繋がるだろう。
実際にアートバーゼルが開催されているスイスのバーゼル、マイアミビーチ、香港には多くのギャラリーやコレクターが集まってきているので、アートフェア開催日以外でもアートの街としての活性化が進んでいる。
福岡に期待がかかる
日本において東京の次にアートの街として活性化が可能な街について考えてみたい。
よく出てくる都市の名前が「京都」である。
京都は歴史的にも長い文化が残っており、美術大学も数多く存在する。
大阪のような商圏人口を持つ大都市もすぐ近くにひかえており、来場者が期待できるといったことだ。
しかしながら、京都という都市の勢いについては正直言ってアートフェアの開催地としては厳しいだろう。
1975年から約47年間、人口は145万人前後とほぼ横ばいで増えていない。近年にいたっては人口が減少傾向にある。
これは観光地としては素晴らしいが、都市として新たな移住者を引き付ける魅力に欠けていたということだ。
一方、福岡市は現在の人口が163万人で、1975年に100万人と突破してから60万人以上も人口が増えている。
人口の増加数、増加率は政令指定都市でトップを独走しており、川崎市、神戸市、京都市を抜いて日本では札幌市に次ぐ規模にまで成長している
特に福岡市は15~29歳の若者の人口比率は17.6%で、大都市の中で最も高いのだ。
こういう数値的な事実に基づいて、アートの街としての活性化の可能性を考えてみるのもひとつの方法だ。
街が現代アートで活性化するにはどうするかを考えたときに、ニューヨークの中にある街が手本となるだろう。
例えば、現在は400軒以上のギャラリーが集まるソーホーやチェルシーといった場所はそれまでは貧困層が住む地域だったところが、アーティストが移り住むようになってそこにギャラリーが出来てその後にカフェやファッションブランド等が立ち上がっていくのだが、起点は常にアートだったのである。
現在、国内における文化の発信地は東京に一極集中しすぎている。
福岡市がアジアの窓口としての機能だけでなく、文化発信都市としての機能が備われば、多くの若いアーティストが集まる場になる可能性があるだろう。
コレクターが増えれば彼らを目的としたアーティストが移住すると考えれば、アートフェアを起爆剤に若い富裕層が集まるよい循環を作ってほしいと思う。
もちろんタグボートは将来を見込んで、11月23日(水・祝)~11月28日(月)に、福岡市にある博多阪急にて「Art Fair HAKATA」を初開催する。
言うまでもなく、会場とオンラインの同時開催だ。
https://www.tagboat.com/artevent/artfair_HAKATA/
■個性豊かな46名のタグボートアーテストが集合!
今回出展するのはタグボートが厳選した46名のアーティスト。人気アーティストから若手アーティストまで、国内外から注目される実力派が集結。多彩な表現方法で皆様に驚きや発見をご提供する。
■展示作品はオンラインで購入可能!
■開催概要
開催期間:2022年11月23日(水・祝)~11月28日(月)
営業時間:10:00-20:00
*最終日は1階は18時終了、8階は17時終了
会場:博多阪急 1階MEDIA STAGE・8階催事場 ※博多駅直結
〒812-0012 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1−1
入場料:無料
オンライン販売:2022年11月23日(水・祝)12:00より販売開始
出展作家(五十音順)
AKIKO KONDO / ayaka nakamura / Calvin Hashi / Kamihasami / TARTAROS JAPAN / 足立篤史 / 有村佳奈 / 池伊田リュウ / 石井七歩 / 石川美奈子 / 今関絵美 / オオタキヨオ / 大谷太郎 / 大山貴弘 / 小木曽ウェイツ恭子 / 海岸和輝 / 加藤崇亮 / 北村環 / 木村美帆 / 工藤千紘 / 小池正典 / 後藤夢乃 / サイトウユウヤ / 榊貴美 / 佐藤弘隆 / 塩見真由 / シムラヒデミ / 鈴木ひょっとこ / 田村久美子 / 月乃カエル / 都筑まゆ美 / 徳永博子 / 富田貴智 / 中浦情 / 中島友太 / ナカムラトヲル / 西川美穂 / 橋本仁 / 濱村凌 / 林恭子 / ヒョーゴコーイチ / 廣瀬祥子 / 深澤雄太 / フルフォード素馨 / 三塚新司 / 宮内裕賀