ホリグチシンゴは1993年に京都府に生まれ、東大寺学園を卒業。2018年に多摩美術大学 修士課程日本画研究領域修了しました。
積み木のように重なり、崩れそうで崩れないタワーの様な造形。家のような箱型が並び、室内や建物に見える風景。
好奇心をかきたてるモチーフは不思議と穏やかさを持ち、作品に描かれている意味を想像させます。
伝統的な日本画の画材を駆使しながら、独特な制作方法で作られるホリグチシンゴの作品は、
誰にも思いつかないような革新的な実験を繰り返し、常に更新されていきます。
ホリグチシンゴ Shingo Horiguchi |
物質の情報化、情報の物質化
作品に描かれているのは、一見模型のように見えますが、不思議な形の建物や、どこかの街並みのような風景に見えるモチーフ。
ホリグチシンゴの作品は、ある独自の制作方法で作られています。
まず、厚紙で作ったブロックやドローイングを描いた布などを組み合わせて、実空間にインスタレーションを作り出します。
それを撮影して情報をPC上で抽出し、空間のアウトラインや模様を抽出することで下図を作り、作品を制作していきます。
このプロセスを経ることで、作家が手で線や色を加えることによって画面に手触りを与えられ、目で見たときや写真で撮影したときとは異なる要素が生み出されます。
作家自身でさえ、完成するまでどうなるか予測できない作品を作っているのです。
画材への新たな挑戦
ブロックを用いた具象画とは一見全く異なる抽象画のシリーズ。
具象画でも抽象画でも、作品に使われている画材は膠(にかわ)や顔料など、日本画に用いられる材料です。
通常、鮮やかに発色させることが難しいこの画材。
作家は「キャンバスに接着剤を塗り、その上から顔料を振りかける」という独自の技法を編み出し、一見して日本画とは思えないビビッドな作品を制作します。
まばゆい色がちりばめられた作品は、観る者に驚きを与えます。
アップデートし続ける作品
何気ない風景をスナップ写真に収め、日頃から描き溜めている落書きと組み合わせて、
古くからある写真の現像技法であるサイアノタイプで印画したシリーズ。
印刷されたモチーフは青い色に全て変換され、デジタルもアナログも同じ質感となり、独特のノスタルジーを醸し出します。
日本画の画材を用いながらも、様々な技法を実験的に取り入れ、試行錯誤し更新されていく制作方法により、作品は常に新しくなっていきます。
作家は「誰も見たことのない絵を描きたい」ことを目標にしているといいます。
その1点1点の作品は、観る者に新鮮な驚きを与えながらも、着実に未知の世界へと近づいています。
今もアップデートされ続ける作品は、一瞬たりとも見逃すことができません。
12月28日(火)より個展「The Field and Daylight 3.2」開催
個展では15点の新作を展示・販売予定。一部作品をご紹介いたします。
「トーテムジャンクション / Totem junction」
2021 H162×W130.3×D2.1cm
エマルションペインティング(キャンバス、膠、乾性油、顔料)
「ナイトホークス / Nighthawks 」
2021 H28.3×W42×D0.1cm
エマルジョンペインティング(楮紙、膠、顔料、銀箔、サイアノタイプ )
「シグナルス / Signals 」
2021 H40.3×W34.5×D1.8cm
エマルジョンペインティング(楮紙、膠、顔料、銀箔、サイアノタイプ )
※EC販売は12/28(水)13時からを予定しております。ご購入希望の方は、作家ページからご購入ください。
※店頭販売を優先しておりますので、ご希望の作品がECにてご購入頂けない場合もございます。予めご了承ください。
ホリグチシンゴ「The Field and Daylight 3.2」
ホリグチシンゴ Shingo Horiguchi |