先日、タグボートの取り扱いアーティストである山口真人の大型作品が受注となったことを受け、作品をアーティストと一緒にお届けしに行くことになった。
山口真人にとっても130号(194㎝×162㎝)という大型サイズの作品が売れたのは初めてとのことであり、お客様のところに一緒に行くことには喜んで同意をしてもらった。
実はお客様の場所が山梨県の都留市と東京からやや離れていることから、通常の配送業者だとこのサイズになるとトラックを一台仕立てる必要があり、とてつもなく送料がかかってしまう。
今回はたまたま、別のお客様からセカンダリー作品の見積依頼があったのだが、なんと同じ都留市でしかも距離にして車で5分しか離れていなかったということが分かり、ハイエース1台借りれば両方一気に訪問できるというメリットもあったためアート作品を持っていくことにした。
通常はこのような偶然が重なることはないため、直接作品をお届けすることはないことを読者にはあらかじめご了解いただきたいと思う。
さて、ハイエースを借りて山口真人のアトリエに行って作品を積みこんだ後、高速を飛ばして約1時間半でお客様の会社に到着した。
お客様は田邉耕平様で、最近都内から都留市へUターンして起業された方だ。
C-tableというウェブマーケティングの会社を経営しており、この会社は都留市の各種情報をまとめて検索・無料掲載できる「
・まちマーケットLINE
https://lin.ee/4yHnPJf
・企業サイト
https://www.c-table.co.jp/
以前は精肉店であった古い物件をフルリノベーションしたオフィスに新しくアートを置いてみたいということからタグボートのサイトを検索して見つけたのが、山口真人のアップルの作品だ。
この作品は山口真人が昨年開催されたタグボートのアートイベント「Independent TOKYO」に出展するにあたり、海外でも通用する大型作品を見せたいと思って展示したところ、見事にグランプリを獲得した記念すべき作品だ。
彼にとっても記念すべきこの作品を販売したいと思っていたところだが、そのサイズは自宅に展示するには日本では大きすぎるということからこれまで受注がなかったのだ。
お客様である田邊様がこの作品を気に入ったのには訳がある。
ご自身が運営している会社のサービスは人と街の情報をアプリという情報サービスを介して繋いでいるのだが、山口真人の作品も直接自分の手で描くのではなく、プログラミングされた機械から絵具を落とすことで描かれている。
その他にも山口真人はドローンやルンバなどを使って絵を描くなど、いずれも自らの手を使うことなく機械を媒介とすることで作品を制作しているのだ。
彼は自身の手を通した直接的な表現を限りなく無くし、アーティスト性を機械に委ねていこうとしている。
機械と人とが同化することで新しく生まれる表現を見つけようとしているのだ。
この作品コンセプトに田邊様が強く共感された。つまり、田邊様の会社のサービスもアプリというITによってできた機械を通して人と街をつなげて同化していくことを目指しており、新しいオフィスに飾るのにぴったりだということだ。
実際にアーティストが直接顧客のもとに訪問して、そこで意気投合するという光景を見るのは本当に清々しい気持ちになる。
アーティストの世界観がダイレクトに伝わった喜びはひとしおだ。
このような機会はめったにないのだが、お客様がどのような経緯で買うに至ったかを知ることは重要だ。
オンライン販売では購入者の顔を見ることなく作品が納品されてしまうのだが、フェイス・トゥー・フェイスでのやり取りを通じて、ネットを媒介として顧客と作品をつなげる役割を我々もしていることを強く感じた。
ダイレクトに作品を届けることで気付くことがあり、それを今後ともオンラインでのビジネスに活かしていきたいと思う。