1月16日-19日に台湾に訪問しました。
今回の主な目的は、台北にてタグボートと台湾のARTZDEALが共同で開催した0101アートフェアという新しいアートフェアに行くためです。
タグボートからは37名、約150点のアーティストの作品が展示されました。
こちらの作品は展示だけでなく、同時にウェブサイトからも購入できることがメリットとなっております。
タグボートは日本で最初にアートのオンラインギャラリーを始めた会社ですので、すでに16年の歴史があるのですが、台湾のARTZDEALは昨年11月にスタートしたばかりの会社です。まだ始まったばかりではありますが、台湾顧客を少しずつ確実に取り込み始めています。
ARTZDEALとタグボートの大きな違いは、インターネット販売だけでなく、ARTZDEALがオークションをそのメインに据えていることであり、これが台湾のアート市場の大きな特徴となっています。
台湾のアート市場では、ギャラリーなどのプライマリー(一次市場)とオークションなどのセカンダリー(二次市場)を比べると圧倒的にセカンダリーが大きくなっております。
最近の台湾の経済成長の鈍化と中国向け輸出が将来の景気に対する不安となり、まだ評価の定まらない新しいアーティスト作品の購入よりもすでに高い評価のセカンダリー作品の購入が大きくなっていると推測されます。
また台湾はSNSとネット販売の成長が著しい国なのですが、アートに関してだけいうとネット販売はまだまだ少ないようです。
一方、台湾のアートフェアは日本のそれよりも圧倒的に発展をしております。台北だけでなく、高雄、台中、台南と各都市で大規模なアートフェアが開催されております。
10月に開催されるアート台北はアジアで最も歴史の古いアートフェアで昨年すでに25回目の開催を迎えましたが、最近はローカル色が強くなり、アジアのトップギャラリーが敬遠するようになってきました。
それには昨年よりスタートし、今年1月に第二回が開催されたArt Dangdai(当代)というインターナショナルなアートフェアの影響があります。
今年は前回より10%増の99ギャラリーが出展しており、その顔ぶれもGagosian、David Zwirner、Hawser & Wirth、WhiteCube、Perrotinなど世界のトップギャラリーが顔を揃えました。
これは現在のアートバーゼル香港の前身であるART HKのエグゼクティブ・ディレクターを務めたマグナス・レンフリューの手腕によるものです。
出展ギャラリーの面々やフェアの運営手法を見ると、まさにアートバーゼル香港の縮小版であり、ここに行けば3月に香港に行かなくてもよいくらいのクオリティーの高いアートが集まっています。
地元台湾でもArt Dangdaiに出展できるのはわずか9軒と全体の10%でしかなく、ローカル色にはこだわらず質の高いアート作品を集めた結果となっております。
つまり、主にプライマリー作品を販売するアートフェアにおいては台湾のギャラリーは弱く、国際的に著名な作家に人気が集中しているということです。
セカンダリー天国の台湾ではありますが、その分贋作も多く出回っていることが信頼できるネット販売につながっていないことの原因となっているのが現地の特徴です。
作品の真贋をきちんと精査して販売しているネット業者が台湾では少なくアートを気軽にネットで買う市場が拡大しないままになっています。
従い、なるべく多くのアート作品を見せると同時にネットでの販売をも行うことが台湾では必要となってきます。
今回0101アートフェアという展覧会形式が、且つそれが全てネットで購入できるという新しいハイブリッド型のアートフェアを開催することになったのは、見ることの安心感とネットで買えることの利便性を台湾のアート市場で認知・浸透させることが目的となっております。
時代の潮流とマーケットの性質を見ていきながらその地域で最適の手法で新しい顧客を開拓していきたいと私どもは考えています。