
日本のアートの実力は、あんなものではない
国内アート市場の復活を前にして、言いたいことが山ほどある。
世間では「アートバブルが弾けた」などと囁かれているが、現場に身を置く人間からすれば、あんなものはバブルですらない。あえて「プチバブル」と呼ばせてもらいたい。
私はこれまで、アジア各地のアートフェアや展覧会を、それこそ血眼になって見まくってきた。
その審美眼から断言できることがある。
日本のアートが持つ力強さ、そしてクオリティの高さにおいて、アジアで追随できるものなど、本来どこにも存在しないのだ。
しかし、現実はどうだ。
コロナ禍のアートプチバブルと呼ばれた狂騒の中で、市場を席巻したのは「初心者でも分かりやすいイラストアート」ばかりだった。
買い手たちが熱狂していたのは、作品そのものの深淵ではなく、単なる「価格高騰への期待」に過ぎなかったのである。
実力のある日本人アーティストたちが、正当に評価され、国内から海外へと通じる道筋はいまだ確立されていない。
この現状を打破せねばならないという、強い危機感がある。
「プチバブル」という偽物の盛り上がりを猛省する
コロナ禍を経て起きたあの盛り上がりを、今、業界として猛省すべきである。
初心者向けに分かりやすいアートが売られ、オークション市場で一時的に価格が跳ね上がる。
そんな底の浅い熱狂が長続きするはずもなかった。
本来、アートとは未来永劫続く文化であり、極めて知的な遊びである。だからこそ、揺るぎない「資産」となり得るのだ。
文化とは本来、海外の批評家やマーケットによって作られるものではない。
その国のコレクターの手によって作られるべきものである。
一人の熱狂が強烈なコレクションを生み出し、それが世間に伝播していく。
その熱量こそが、百年の時を耐えうる文化の礎となる。我々日本人が、自国の手でそれを成し遂げなければ、日本のアートは世界から置いてけぼりにされるだろう。
今こそ、作家、ギャラリー、そしてコレクターが三位一体となり、歯を食いしばって世界にキャッチアップする必要がある。
そのために、私は全二十回にわたるこの連載を通じて、痛い部分に目をつぶらず、本音の言葉を綴っていく覚悟だ。
全二十回、知的な資産防衛としての「本物」を語り尽くす
これからお届けする連載の全体像をここに提示する。
これは単なるハウツーではない。不安な時代において、何を信じ、何を手元に残すべきかという生存戦略の記録である。
まず序盤では、今回のプチバブル崩壊の真実をえぐり出す。
なぜイラストアートは失速したのか、投機と投資の決定的な違いはどこにあるのか。
耳の痛い話もあろうが、ここを直視しなければ次のステージへは進めない。
中盤では、アートを持つことの多角的なメリットを定義し直す。
ビジネスエリートがなぜ直感のためにアートを買い、経営者がなぜ現物資産としてのアートに舵を切るのか。
株式のトップディーラーの投資哲学を引用しながら、AI時代において「問いを立てる力」がいかに資産価値に直結するかを、徹底的に論じていく。
そして終盤では、アート作品の具体的な買い方を提案する。
百点満点の答えなどないアートの世界で、いかにして「自分の一枚」を選び抜くのか。
100年後も残る「本物」を選ぶために
我々は何を選べばよいのか。
今の時代、ブランド品は古び、現金はインフレで目減りし、株は乱高下する。
しかし、社会的な問いを持ち、歴史的系譜に裏打ちされたアートは、価格がゼロにならず、精神的満足を与え続け、最後には「文化資産」へと昇華される。
この連載は、プロフェッショナルの立場から、あらゆる角度でアートの真価を説明するものである。
「日本のアートの実力は、あんなもんじゃない」
その確信を、全二十回の言葉を通じて証明していきたい。
これからガンガン書いていくので、楽しみにしてほしい。
【次回の予告】
第2回からは、いよいよ本論へ。今回のプチバブルの課題とも言える「イラストアートの暴落」を皮切りに、投資専門家の視点を用いた負けないアート選びの深淵に迫ります。ご期待ください。
2026年3月13日(水)からtagboatは牛木匡憲 個展『WIELD』を開催いたします!
2026年3月13日(金) ~ 4月4日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の3月13日(金)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:3月13日(金)18:00-20:00
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
牛木匡憲は日本の漫画やアニメ、特撮などのサブカルチャーを、少しトゲのある独自の視点で再構築し、肖像画の新境地を切り拓く牛木匡憲。武蔵野美術大学で培った確かな描写力と、多角的なフィールドで磨かれた感性は、国内外で高い評価を得ています。
【初日3月13日(金)の販売について】
作品は3月13日(金)17:00~20:00までの間、会場優先販売といたしますが事前抽選販売がございます。
応募期間:2026年3月4日(火)~3月9日(月)
当選連絡:3月10日(火)
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2026年4月開催の「tagboat Art Fair 2026」のチケットお申込フォームです。
チケットをお持ちのお客様は、 4月 24日(金)・25日(土)・26日(日)の3日間に無料でご招待いたします。
通常入場料1500円が無料になるお得なチケットです。是非この機会に新しい現代アートとの出会いをお楽しみください。
タグボート代表の徳光が「のらギャルおーかの現代アート学」に出演して、アートの楽しみ方について分かりやすく解説してます。
ぜひご視聴ください!
https://www.tagboat.com/artevent/tagboatartfair2026/