2024年のIndependent Tokyoはこれまでと大きく変わることとなった。
前身である「Young Artists Japan」がスタートしたのが、2008年のこと。そこから15年という月日を経て、Independent Tokyoの存在意義について改めて考えるときがきた。
アーティスト主体のイベントであるIndependentは若手作家の登竜門としてその存在は浸透してきたのだが、基本的なパッケージとしては村上隆の「GEISAI」と同じように、ブース型の展示販売である。
これまで、審査員の数を大幅に増やしてスカウト合戦をしたり、いいねシールを貼るといった新手を繰り広げてきたのだが、やはりアーティストから見ると2日間での一発勝負なのだ。
実際にIndependentに行ったことがある人だと分かるのだが、出展者の中には明らかに展示の方法が下手だったり、アピールやプロモーションの仕方を間違ったりしているブースを散見することがある。
そうなってしまうと、展示ブースが本来、作品の良さを提案する場であるのに対し、逆効果になってしまうこともありえるのだ。
前回のIndependent Tokyoでは出展者向けの開催前ミーティングで「20秒くらいで作品の説明をできるようにしよう」や、「展示は余白をもってすっきり見せよう」といったことを指導した。
でも正直言って、それだけでは十分ではないと感じたのだ。
どういう作品を制作するかといった基本的なところにも事前に言及できたほうがよいし、コンセプトの作り方や、プロのアーティストとして勝負する考え方なども知っておいたほうがよいだろう。
もちろん、InstagramなどのSNSをどのように活用するか、出展するまでのストーリーを将来のファンや業界関係者に伝えるためにクラウドファンディングを使ったり、YouTubeに投稿したりとやれるべきことは山ほどある。
出展してもらう作家全員を勝たせる
上記のようなことを考えるにあたって、せっかくアーティストに出展してもらうのであれば、事前にコンサルティングを入れて出展アーティスト全員を勝たせたいと思うようになった。
出展したけど2日間で何も成果が得られなかった、ということがないよう事前準備を運営側と参加アーティストで入念に行うということだ。
そもそもIndependent Tokyoのミッションがアーティストのキャリア支援であるゆえ、アートだけで生計を立てられるようにサポートすることが目的だ。
そうすれば、知っておくべき情報とコンサルティングをイベント開催前に仕込んでおくことは重要なのだ。
最初の段階で、プロとして活躍しているアーティストから得られる戦略や、成功するための処方箋を知ってるかどうかで大きな差がつくことは間違いない。
何もせずに出展するのは、武器をもたずに無防備で戦いに出るようなものだ。
情報武装して挑まないと、多くの確率で成果を得られずに2日間を過ごしてしまうことになりかねない。
丸腰で勝てるほどアートの世界はあまくないし、才能があったとしても、その才能をいかに開花させることができるかは、「やり方次第」だと言ってよいだろう。
徒手空拳で敵に向かうと負け戦となる可能性が高いのだ。
そうならないために、アーティストがとれる手段を事前に細かく指導するというのが新しいIndependent Tokyoのやり方であり、参加者全員に武器を持たせて、戦いに臨んでほしいと思う。
トクミツコンサルを始める
今年より、タグボート代表の徳光健治が出展まで半年をかけて、出展アーティストに向けて数回にわたるセミナーや、個別に作品を見て意見交換するポートフォリオレビューを実施することとなった。
具体的には、アーティストがどのように差別化を図るかについての施策も指導していく予定だ。
例えば、どんなに絵の技術が高くても、写実絵画を描いていれば、現代アート市場で評価されることはない。
逆に、写実の技術をうまく使うことで大きく花を開かせることは十分可能だ。
しかし、個別の作家にとって他とは違う差別化要因とは何か、どのように見せるべきといったことを作家個人が分かっていないことが多い。
本人が自身の作品コンセプトは他にはない独自性を持っていると思っていても、それは単なる思い過ごしで、実はすでに多くの人がやっていることかもしれないのだ。
また、アピールするポイントが的外れで、専門家やアートコレクターからの反応とはまったく違うことはよくあることだ。
これまでタグボートは15年間かけてIndependent Tokyoを開催し、合計出展者は2,000人を優に超えているのだが、そのすべての展示現場を見てきた経験からのアドバイスやコンサルは、必ずや参考になるはずだと信じている。
*セミナーのテーマ(全四回予定)※内容は変更になる場合もあり
・プロのアーティストとして食べていくための基本姿勢
・SNSを活用したセルフプロデュース術
・クラウドファンディングの活用術
・海外へ出展するには 等々
※セミナー参加者は個別に作品のポートフォリオレビューができる
【Independent Tokyo 2024 出展の申込み】
◆募集期間 :2023. 11.1 (水) 18:00 ~ 2023. 12.31 (日)23:59
※申込み状況によっては早めに締め切ることもあり。
◆開催日程
2024. 8.3(土)11:00~19:00 / 2024. 8.4(日)11:00~18:00
公式ウェブサイトは以下URL
https://www.tagboat.com/artevent/independenttokyo2024/
https://twitter.com/gallerytagboat
タグボート代表の徳光健治による二冊目の著書「現代アート投資の教科書」を販売中。Amazonでの購入はこちら