深澤雄太は1996年東京都生まれ。2019 年東京藝術大学絵画科油画専攻卒業。
実際に自分の目で見た風景を収めた写真からモチーフを選び、何気ない日常のワンシーンを鮮やかな色彩表現と大胆なストロークで叙情性豊かに美しく描き出します。
10月16日より開催の「ART FAIR GINZA 2024」への出展にあわせ、作家と作品の魅力をたっぷりとご紹介いたします。作家本人が語る意気込みとあわせてご覧ください。
深澤雄太 Yuta Fukazawa |
作家の目を通して変化しながら描かれる風景、日常に潜む美しさの描出
深澤が描き出すのは、日常に秘められた美しさ。自身が撮影した風景の写真から作品のモチーフを選び、新たなる風景としてキャンバスの上に蘇らせます。
作家の目や体験といったフィルターを通して描かれる風景画は、鑑賞者の心までもその場所へと誘います。
「新緑のある公園(国立市)」キャンバスに油彩, 80x 80 x3cm, 2024
「国立市の何でもない風景。」キャンバスに油彩, 117x 91 x3cm, 2023
色彩へのこだわり
透明色と隠蔽色を何度も繰り返し重ねることで表現される絶妙な色合い。
さまざまな絵の具を使い分け、厚く、薄く、幾度も塗り重ねることで生まれる僅かな色のニュアンス。
深澤雄太だからこそ出せる唯一無二の色と色が、キャンバスの上で響き合います。
「向日葵」キャンバスに油彩, 117x 117 x3cm, 2023
メディウムを用いずに絵の具のみで表現する理由
深澤はメディウムの類を用いずに絵の具のみで表現することにこだわります。
それは色彩の鮮度を優先し、自然乾燥だからこそ得られる僅かな色の綺麗さを損なわないようにするため。それゆえに制作は複数枚並行して進められます。
それでもキャンバスに色を乗せる瞬間は作品それぞれで全く異なるもの。一枚一枚、自身の世界の中で向き合いながら描くため、複数の景色が作家の脳内で交錯することはありません。
作品ごとに全く新しい色と世界を見せる深澤雄太の風景画を、是非「ART FAIR GINZA 2024」の会場でご堪能ください。
深澤雄太2023年個展「soul」展示風景, tagboat
「ART FAIR GINZA 2024」に向けて
開催を目前に控えた「ART FAIR GINZA 2024」。深澤さんから出展に際してのコメントをいただきました。
絵筆をとる理由
深澤雄太(以下省略):「他者と繋がりを持ちたい」。それが今、私が絵を描く理由の一つです。今回の「ART FAIR GINZA 2024」の展示では、絵画を通してどれだけ鑑賞者と繋がることができるかという点に挑戦しています。
体験の共有
私は普段、散歩や音楽、人との関わりから作品へのインスピレーションを得ています。日々撮り溜めた写真から描くモチーフを選び、その時に感じたリアルな空間や景色を絵に反映させています。
私個人の体験から生まれた絵を観た方々は、あたかも自身がその風景を体験したかのような郷愁を覚えるといいます。生まれ育った町、青春を過ごした橋の上、出産した妻を迎えにいく際に通った桜並木。
私の絵は、そうした鑑賞者自身の経験や体験に基づく風景を記憶から呼び覚ますのだそうです。
「畑がある風景の一本道(国立市)」キャンバスに油彩, 80x 65 x3cm, 2024
「豊島の朝焼け」キャンバスに油彩, 45x 45 x2.5cm, 2024
絵に投影される人間らしさ
この「体験の共有」の鍵は、私の絵に存在する「光と影」だと考えています。それは「人間らしさ」ともいえるかもしれません。なぜなら、人間は誰しも表に出て光を放つ部分とその影となる部分を持っているからです。当たる光が強いほど、影はより濃くなります。例えば私の作品はよく「色彩が豊かである、鮮やかである」と評されますが、私自身はそれに反していつもどこかで孤独を感じています。
幼少期、私は授業中に席に座っていられない子供でした。人と同じ様にできない自分をとても情けなく感じていました。私自身を認めて欲しい。そんな気持ちで最初は絵を描き始めたのだと思います。
「金色の夕焼け(昭和記念公園)」キャンバスに油彩, 117x 117 x3cm, 2024
「丘に立つ木(昭和記念公園)」キャンバスに油彩, 53x 46 x2.5cm, 2024
作品のモチーフ
今回の展示では、豊島(てしま)という瀬戸内海の島と、今暮らしている国立市を題材とする作品を出展します。
初めて豊島を訪れたのは2016 年でした。そこには青い空と広がる海、豊かな自然がありました。コンビニや信号機もないこの島を訪れた時、心が洗われるような気持ちになったことを今でも鮮明に覚えています。そこから豊島へ通うようになり、島の人々とも仲良くなりました。
島で4 ヶ月間の滞在制作をしたこともあります。2020 年の冬、私は元々上海で滞在制作をしており、次にフィレンツェに行く予定でしたが、勿論世界はそれどころではなく海外滞在は中止となりました。そして緊急事態宣言が出る前、私は豊島へ向かったのです。すると知り合いの宿の方が「今空いているから家を使っていいよ」と、快く私を受け入れてくださいました。そんな「繋がり」や「ご縁」を経て、私は豊島の絵を沢山残すこととなりました。
私が描く風景が、観てくださる方に、大切な記憶を呼び起こす体験をお届けできることを願っています。
「田んぼがみえる風景と空と海(豊島)」キャンバスに油彩, 117x 91 x3cm, 2024
「甲生の海(豊島)」キャンバスに油彩, 65x 65 x3cm, 2024
深澤雄太
1996年 東京都日野市生まれ
2015年 東京都片倉高等学校 普通科 造形美術コース 卒業
立川美術学院 絵画科 卒業
2019年 東京藝術大学 絵画科 油画専攻 卒業
2014年 「立川美術学院 タチビ祭」ギャラリー賞
2018年 初個展「泣いて、静かになる。」/tagboat
2019年 中国 上海 2ヶ月間の滞在制作(corona virus発生の為、中断)
個展「吊るされた肉」/gallery MARUHI
個展「nostalgia」/tagboat
2020年 香川県 小豆郡土庄町豊島 4ヶ月間の滞在制作
個展「HINO BURNING」/gallery MARUHI
個展「Landscape」/tagboat
2021年 個展「tagboat art show 2021」
2022年 個展「tagboat art show 2022」
「tagboat art fair 2022」/ポートシティ竹芝
「ART FAIR HAKATA 2022」/博多阪急
個展「Stand up!!」/tagboat
個展「‒どこにでもある青‒」/gallery TRiCERA
2023年 東京都国立市在住
「tagboat art fair GINZA 2023」/銀座三越
個展「soul」/tagboat
実際に見たときの色や形とは違う独自のフィルターを通して世界を描く。何気ない風景を研ぎ澄まされた感覚でノスタルジックな色合いに置き換え、絵具をたっぷりと塗り重ねた大胆な筆致で抜けるような清々しさと躍動感を生み出している。
開催時間
2024年10月16日(水)~ 10月21日(月)最終日午後6時終了
営業時間:
午前10時~午後8時
※エムアイカード プラス会員さま・ご招待顧客さま優先入場について
2024年10月16日(水)開店時のご入場につきまして、エムアイカード プラス会員さま及びタグボートご招待顧客さまで入場順番の抽選を行います。
優先入場が終わり次第どなたさまでも自由にご入場いただける予定となっております。
・展示作品は初日の10月16日(水)21:00からタグボートオンラインでも販売開始予定です。
会場
〒104-8212 東京都中央区銀座4-6-16銀座三越 新館7階 催物会場東京