2022年に東京藝術大学大学院 彫刻専攻を修了したばかりの小野海。修了展で展示した高さ約5mにもなる圧巻の大作〈Prism-Aureola〉が好評を博しました。
タグボート取扱いアーティストとなって初の展示「CORE Part8」でも展示予定の最新シリーズ〈Prism Series〉など、作品の見どころをご紹介します。
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小野 海 Kai Ono |
圧倒的なインパクト
一度見たら忘れられない、強烈な存在感。
作品〈Prism series〉はその名の通り、見た途端に七色の色彩が目に飛び込んで来ます。
東京藝術大学大学院彫刻専攻の修了展にて展示された〈Prism-Aureola〉は、巨大な作品の量感と色彩が引き起こす錯視効果があいまって、空間全体を揺るがすかのような迫力を持ちます。
「全ての輪郭線に触れる」という感覚
作品の形状を一から生み出し、立体を形作る作家にとって、
「自分が生み出す彫刻の形を一度くまなく自分が触ることによって、その作品に対する実感が自分の中で生まれる」のだと言います。
毛糸を一本ずつ巻いて作られるその制作過程は、まさに全ての輪郭線を追う行為そのもの。
細やかな手作業が生み出す質感は、鑑賞者の視覚にかつて感じたことのないような手触りを残します。
作品という装置
幼少期から目で見て触れて確かめることができる彫刻に惹かれ、立体制作に力を注いできた作家。
最初は動物など具体的なものを象ることから始まり、現在はモチーフを限定しない抽象的な形状を作品に用いています。
現代において目から入る情報のほとんどは、画面から入ってくる実態の不確かなもの。
彫刻作品は作り手にとっても見る方にとっても、直接見て、触れて、実感を伴う情報を得られる装置であると言えます。
まるで「目で触れている」かのように感覚が開かれる、小野海の作品が持つ魅力を、実際に見て味わってみてはいかがでしょうか。
グループ展「CORE Part8」にて作品を展示します。是非ご高覧ください。
2022年7月22日(金) ~ 8月11日(木)
営業時間:11:00-20:00
*最終日は17時close
*他、館の営業時間に準ずる
入場無料
会場:阪急MEN’S TOKYOタグボート 新スペース(旧:FOX)
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 7F
銀座、阪急MEN’S TOKYO 7F、タグボートのギャラリー新スペースにて、「CORE part8」を開催致します。
COREでは、今注目のアーティストを次々とご紹介していく予定です。COREでは作風やジャンルにとらわれず、現代アートの持つ面白さをダイレクトに受け取っていただけるような作品を中心に選んでおり、見るたびに新しい発見があるでしょう。タグボートの取り扱いアーティストの若手から中堅がそれぞれの個性を生かした展示が、新しい「核」となり、化学反応を起こします。ご期待ください。
CORE Part8では、アンタカンタ、小野海、JunKjapunk、鈴木ひょっとこ、中島友太、額賀苑子、増田恵助とタグボートでおなじみの人気作家や新人作家を混ぜた展示となります。ぜひ、ご高覧いただければ幸いです。
小野海 展示予定作品
アクリル毛糸、ウレタン樹脂、セラミック, 49x 13 x13cm, 2022年
アクリル毛糸、ウレタン樹脂, 110x 110 x60cm, 2017年
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小野 海 Kai Ono |
1995 兵庫県生まれ
2019 東京藝術大学美術学部 彫刻専攻卒業
2022 東京藝術大学大学院 彫刻専攻修了
高校在学時から石膏、テラコッタ、FRP、紙など作品ごとのテーマに合わせた様々な素材を使って彫刻を制作。東京藝術大学入学後は“意図して生み出されたモノの中にある美しさと違和感の混在”をテーマに、主に人の暮らしに関わる動物をモチーフとした塑像による具象彫刻を制作。その後、素材の幅をさらに広げアクリル毛糸を使った作品〈Prism Series〉を展開。学部卒業時に制作した視覚効果を用い、錯覚を引き起こすことで立体が平面に見える作品〈Prism-Rainbow Mountain〉。日常生活の中で自然と人が交わる瞬間に着目し制作した巨大な彫刻で大学院修了制作である〈Prism-Aureola〉などを制作してきた。SNS・メディア社会における彫刻の新たな可能性を自然科学の観点や錯視効果などを用いながら研究している。