2022年に東京藝術大学大学院 彫刻専攻を修了したばかりの小野海。修了展で展示した高さ約5mにもなる圧巻の大作〈Prism-Aureola〉が好評を博しました。
2023年10月27日(金) ~ 11月25日(土)tagboatのギャラリーにて個展「Tomboy」開催を予定している小野海。その作品の魅力に迫ります。
小野 海 Kai Ono |
圧倒的なインパクト
一度見たら忘れられない、強烈な存在感。
作品〈Prism series〉はその名の通り、見た途端に七色の色彩が目に飛び込んで来ます。
東京藝術大学大学院彫刻専攻の修了展にて展示された〈Prism-Aureola〉は、巨大な作品の量感と色彩が引き起こす錯視効果があいまって、空間全体を揺るがすかのような迫力を持ちます。
「全ての輪郭線に触れる」という感覚
作品の形状を一から生み出し、立体を形作る作家にとって、
「自分が生み出す彫刻の形を一度くまなく自分が触ることによって、その作品に対する実感が自分の中で生まれる」のだと言います。
毛糸を一本ずつ巻いて作られるその制作過程は、まさに全ての輪郭線を追う行為そのもの。
細やかな手作業が生み出す質感は、鑑賞者の視覚にかつて感じたことのないような手触りを残します。
作品という装置
幼少期から目で見て触れて確かめることができる彫刻に惹かれ、立体制作に力を注いできた作家。
最初は動物など具体的なものを象ることから始まり、現在はモチーフを限定しない抽象的な形状を作品に用いています。
現代において目から入る情報のほとんどは、画面から入ってくる実態の不確かなもの。
彫刻作品は作り手にとっても見る方にとっても、直接見て、触れて、実感を伴う情報を得られる装置であると言えます。
まるで「目で触れている」かのように感覚が開かれる、小野海の作品が持つ魅力を、実際に見て味わってみてはいかがでしょうか。
小野海「Tomboy」
2023年10月27日(金) ~ 11月25日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※オープニングレセプション:10月27日(金)18:00-19:00
※11月3日(金)、11月23日(木)は祝日のため休廊。
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboatギャラリーにて現代アーティスト・小野海による個展「Tomboy」を開催いたします。
東京藝術大学入学後、“意図して生み出されたモノの中にある美しさと違和感の混在”を基盤に具象彫刻を制作する小野海。メディアにも多数出演している圧倒的な存在感を持つ注目の若手作家です。
高校在学中から石膏、テラコッタ、FRP、紙など作品ごとのテーマに合わせた様々な素材を使って制作を続けてきた作家は、彫刻と視覚効果を組み合わせて、美しさと違和感が混在する独自の造形を追求しています。
本個展の根幹となる大学院修了制作の巨大な彫刻〈Prism-Aureola〉は、日常生活の中で自然と人が交わる瞬間に着目し制作しています。〈Prism Series〉は7つの異なる極彩色のアクリル毛糸で構成されており、不規則な形状と表面の変化を体感することができます。
外界との相互作用から生まれた、空間を支配する彫刻の可能性を是非、ご高覧ください。
CONCEPT
自分と自分の外が交わるコトを考えている。
大概それはいつも一瞬の出来事で、あっという間に過ぎ去って次の一瞬がやって来る。
日常は一瞬の繰り返しで、その一つ一つにとてつもない幸せや、どうしようもない恐怖がある。
制作は一瞬ではない。付けてみたり外してみたり、何度も自分の言葉を修正していく、それが許されている気がする。
そうやって作品を制作している。
展示予定作品紹介
*オンライン作品販売開始:2023年10月27日(金)13:00から
*一部作品は事前抽選販売となります。詳しくは展覧会ウェブサイトをご覧ください。
紙・木・石膏・アクリル絵の具, 28x 23 x2cm, 2023
紙・木・石膏・アクリル絵の具・ステンレス, 51.5x 36.5 x2cm, 2023
小野 海 Kai Ono |
1995年 兵庫県生まれ
2019年 東京藝術大学美術学部彫刻専攻 卒業
2021年 東京藝術大学大学院彫刻専攻 修了
展示歴
2022年 7月 「CORE Part8 」tagboat
2022年 8月 個展「Prism-Reimport」 コートヤードヒロオ
2022年 8月 グループ展「GALLERY SCENA Pre OPEN展」GALLERY SCENA
2022年 10月 グループ展「松阪カルチャーストリート」 三重県松阪市
2022 10月 グループ展「P.O.N.D2022」渋谷パルコ
2023年 2月 グループ展「CURVE」tagboat新ギャラリー柿落とし展
2023年3月 フジテレビ「Core」出演
2023年 6月 コレオグラフィーモンタージュ舞台「タイタス・アンドロニカス」舞台美術&出演
高校在学時から石膏、テラコッタ、FRP、紙など作品ごとのテーマに合わせた様々な素材を使って彫刻を制作。東京藝術大学入学後は“意図して生み出されたモノの中にある美しさと違和感の混在”をテーマに、主に人の暮らしに関わる動物をモチーフとした塑像による具象彫刻を制作。その後、素材の幅をさらに広げアクリル毛糸を使った作品〈Prism Series〉を展開。学部卒業時に制作した視覚効果を用い、錯覚を引き起こすことで立体が平面に見える作品〈Prism-Rainbow Mountain〉。日常生活の中で自然と人が交わる瞬間に着目し制作した巨大な彫刻で大学院修了制作である〈Prism-Aureola〉などを制作してきた。SNS・メディア社会における彫刻の新たな可能性を自然科学の観点や錯視効果などを用いながら研究している。