飯島秀彦は1999年愛知県生まれ。2023年愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科デザイン専攻卒業。
タグボートが主催するアートイベントIndependent Tokyo 2022に出展し、見事グランプリを獲得。
作家は、破壊され、朽ちて見えるようなぬいぐるみの姿を作品に描いています。
ぬいぐるみたちはどこか可愛らしい面影を残しながら、その表情はかき消されて抽象化し、体は無惨にも引き裂かれています。そこにはどのような思いが込められているのでしょうか。
tagboatでの個展を控えた注目の作家による作品をご紹介します。
飯島秀彦 Hidehiko Iijima |
ネガティブな心と向き合う
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 45.5x 53 x1.8cm, 2023
荒々しく破壊された、無機質なぬいぐるみたち。
引き裂かれ、傷つけられた姿が胸を打ち、一目見たら忘れられないインパクトを放ちます。
作家は緻密なペン画の表現によって、人の心の中にある弱さ、ネガティブな部分を託して描き、
自分自身もそんな感情に向き合って表現しようとしているのです。
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 45.5x 53 x1.8cm, 2023
揺れ動く心のよりどころ
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 45.5x 53 x1.8cm, 2023
作家自身や人々の心の中にある、あまりにも混沌とした、目を背けたくなるような気持ち。
弱さを必死に隠そうと見栄を張り、しかしその見栄の中にも孤独を恐れる恐怖が存在します。
弱い心の拠り所ともいえるぬいぐるみの顔を、作家はあえて消し、曖昧にすることで、その複雑な感情を投影しています。
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 41x 31.8 x1.8cm, 2023
ありのままの自分
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 60.6x 72.7 x2.8cm, 2023
揺れ動くアンバランスな精神の葛藤と矛盾は、作家の手によって描かれると絶妙にチャーミング。
ヴィヴィッドな色彩で表現される背景の中で、ネガティブを象徴するモチーフはさらに際立って見えます。
作家はその独自のバランス感覚で、嘘偽りないありのままの人間の姿を暴き出します。
アクリル絵の具・顔料インク・木製パネルにジェッソ, 72.7x 60.6 x2.8cm, 2023
飯島秀彦「BRANCH」
2023年8月3日(木) ~ 8月19日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊日:日月祝
入場無料・予約不要(どなたでもご参加いただけます)
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboatギャラリーにて現代アーティスト・飯島秀彦による個展「BRANCH」を開催いたします。
tagboat主催の「Independent Tokyo 2022」にて見事グランプリを受賞した飯島秀彦。人の心にある弱さとぬいぐるみを結びつけた作品が人々の胸を打つ注目の若手作家です。
頭の中で構成される荒々しく破壊された無機質なぬいぐるみは、洗練されたビビッドな背景に落とし込まれ、どこか愛らしさと儚さを備えています。ぬいぐるみの表情を隠すという抽象的な表現によって、自分自身が持つ弱さとの葛藤、多種多様な感情の中で生じる違和感や矛盾を私たちに訴えかけます。
グランプリの副賞として開催される本個展では、約20点の新作を展示・販売致します。ネガティブを絶妙に表現したチャーミングな渾身の作品を是非ご高覧ください。
CONCEPT
今回の展示は、これまでモチーフとして扱っていたぬいぐるみを使い、自身のコンセプトをもとにさまざまな表現に分岐していく様を見せる展示になっています。
自身の弱さを必死に隠し、どうせ受け入れ難いものであるならばと、他者の前では滑稽に見栄を張る。
そんな虚栄心のなかにも、ときに孤独になることへの恐怖もある。
多様な意志が渦巻く現実で、自己を保つには自身の弱さと常に葛藤し、揺れ動きながら生きていかなければなりません。
答えはその葛藤のなかでさまざまな変化を遂げて見えてくるものです。
飯島秀彦
飯島さんが昨年参加され、グランプリを獲得したIndependent Tokyoを今年も開催いたします。
2023.8.5(土)11:00~19:00
2023.8.6(日)11:00~18:00
会場
東京ポートシティ竹芝 2F
東京都立産業貿易センター浜松町館
東京都立産業貿易センター公式サイト
入場料
1000円(税込)
飯島秀彦 Hidehiko Iijima |
1999年愛知県生まれ。2023年愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸科デザイン専攻卒業。破壊され、朽ちて見えるようなぬいぐるみを描いている。気持ち悪く、嫌悪感すらも覚えそうな、それでいてどこか愛らしい。そういった様は人間が自身の弱さを必死に隠すために攻撃性を帯びていく様に似ているのかもしれない。そういったことを考えながら制作しています。